当社は、業界で初めて、フリップチップ構造*1を用いたデジタルビデオカメラ向けの超小型マルチチップモジュールを開発いたしました。本マルチチップモジュールは、キヤノン株式会社(社長:御手洗 冨士夫、本社:東京都大田区)様の製品に搭載されております。当社は今後も同様に、お客様のニーズに合わせたマルチチップモジュールを開発してまいります。
近年、デジタルビデオカメラのようなハンディタイプの民生機器に搭載するLSIには、機器の高性能化や小型化に伴い、多ピン化や高性能化、小型化、また、基板実装技術には、高密度化、小型化、ローコスト化が要求されております。しかしながら、現状では、これらの要求に対応するための機能をすべてワンチップ化することは、開発期間の長期化と開発コストの増大につながり、必ずしも最適なコストパフォーマンスを得られるわけではありません。
当社は、開発期間と開発コストを考慮し、既存の複数LSIを1パッケージ化したデジタルビデオカメラ向けのマルチチップモジュールを開発し、LSIの小型化と多ピン化を実現いたしました。当社のマルチチップモジュールは、ピン数の削減や、ピン間隔の最適化により、高密度実装技術を提供します。
今回開発したマルチチップモジュールは、デジタルビデオ方式対応の画像処理用システムLSIと、データ処理用64メガビットSDRAMの2チップを1パッケージ化したものです。
従来、デジタルビデオカメラ向けシステムLSI*2は、ピン数の多いFBGA*3とFD-FBGA*4の2パッケージで構成されておりましたが、今回、マルチチップモジュール化したことにより、約36%の小型化(273mm2)と多ピン化を同時に実現いたしました。
本マルチチップモジュールは、LSIチップと外部との電気的接続に、フリップチップ構造を用いているため、ワイヤボンディング接続に比べ、配線長が短く、また、チップ背面が露出しているので高い放熱性と実装信頼性を実現しております。
当社は、今後ますます拡大が予想される、ハンディタイプの民生機器や、モバイル機器市場において、LSIの小型化を実現するマルチチップモジュール化へのニーズにお応えしてまいります。
【主な仕様】
- 構造:フリップチップ構造
- マルチチップモジュールパッケージ:フルグリッド型BGA273ピン
- パッケージサイズ:13mm×19mm×1.7mm
- チップ構成:
- デジタルビデオカメラ用システムLSI:カスタム品(当社 CE71相当品)
- メモリ:64メガビット SDRAM(MB81F641642D相当品)
【用語説明】
- *1:フリップチップ構造
- LSIチップから外部への電気的接続には、一般的にワイヤボンディングと呼ばれる金線による接続方法が用いられているのに対し、バンプと呼ばれる接続電極をチップ上に形成して、配線用基板に直接接続する構造がフリップチップ構造。ワイヤボンディングに比べ配線長が短かく、チップ背面を露出し放熱性が高いなどの特徴がある。
- *2:デジタルビデオ方式対応画像処理用システムLSI
- デジタルビデオ方式対応画像処理機能をメインにデジタルビデオカメラで必要な各種機能をワンチップ化したLSI。主な搭載機能として、 記録信号処理・再生信号処理機能、画像圧縮・伸長処理機能、音声信号処理機能、誤り訂正信号処理機能、ビタビ検出機能、制御用RISCコア、IEEE1394インタフェース、SDRAMインタフェース、テープ走行制御用サーボ機能を搭載している。
- *3:FBGA:Fine Pitch Ball Grid Arrayの略。
- BGA(Ball Grid Array 表面実装型パッケージ)のボールピッチを 0.80mm以下に狭くしたものを指す。
- *4:FD-FBGA:Face Down FBGAの略。(富士通独自の呼称。EIAJでは、FBGAのカテゴリーに入る。)
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以 上
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