平成10年11月5日
富士通株式会社
ソニー株式会社
富士通株式会社(以下、富士通)とソニー株式会社(以下、ソニー)はこのほど、1.3GBという大容量(現行の最大容量は640MB)を達成した3.5型光磁気(MO)ディスクシステム、およびそのフォーマット規格を共同で開発いたしました。
本システムには、光学限界より微小な磁気情報を識別できる磁気超解像(MSR:Magnetically induced Super Resolution)技術を世界で初めて採用しております。これにより、リムーバブル装置において大容量のマルチメディア情報を一層手軽に利用できるようになります。
今後、本規格にそって、富士通は装置、ソニーは媒体(メディア)の製品化に向け、それぞれ取り組んでまいります。そのため、本規格名称として『GIGAMO(ギガモ)』を今回新たに設定し、ギガバイト級容量の3.5型光磁気ディスクシステム製品に適用してまいります。
『本規格開発の背景と目的』
パソコンの処理能力の急速な発達や動画像等取り扱う情報量の増大によって、大容量かつ高速のリムーバブル型データ記録システムへの要望が高まっています。『開発した製品の主な特長』
3.5型光磁気ディスクシステムは、1991年の128MB容量製品の発売以来、230MB、540MB/640MBと発展を続け、大容量リムーバブル記録システムとして幅広く採用されています。その結果、1997年度で装置が160万台以上、媒体が2080万枚、今年度は装置が210万台、媒体が2820万枚の出荷が見込まれており、現在累積で500万台以上が使用されています。(数字はすべて全世界)このように、3.5型光磁気ディスク装置は、小型、高性能、高信頼性等の優れた特長が評価されて大きな市場を形成しつつありますが、市場からはさらに大容量製品が求められています。富士通とソニーはこれに対応し、各々の長年の開発・技術力をもとに、ギガバイト級容量の3.5型光磁気ディスクシステムの規格を世界で初めて開発しました。
今回開発した3.5型光磁気ディスクシステムは、MSR技術を採用することにより、大容量1.3GBと、高速転送速度5.92MB/sを実現しています。また、現行の3.5型光磁気ディスクシステムとの記録・再生互換をとることが容易なので、従来の媒体に蓄積された膨大なユーザ資産を継続して使用することが可能です。さらに、保存信頼性、繰り返し再生耐久性・書き換え耐久性も従来システムと同等の性能があります。(詳細は次頁ご参照)
なお、本規格には装置メーカとして、オリンパス光学工業株式会社、コニカ株式会社、媒体メーカとして京セラ株式会社、帝人株式会社、東ソー株式会社、日立マクセル株式会社、Philips/PDO、三菱化学株式会社が賛同しています。今後、各社は本規格に対応した商品化を積極的に推進していく計画です。
『本規格を実現した新技術: MSR』
本規格の1.3 GBの記憶容量は従来と異なる方式、磁気超解像(MSR:Magnetically induced Super Resolution)を世界で初めて実用化することにより実現いたしました。MSR方式は、データ再生時にビーム径が光学的要因により制限を受けることなく、ビーム内の温度分布と磁性を利用することで光学限界以上に光の実効ビーム径を小さくし、光学限界より微小な磁気的に記録されたマークを読み取り識別する方式です。『本規格の概要』
MSR技術は、1991年にソニーが「アイリスター(IRISTER:IRIS Thermal Eclipse Reading)」として開発した超解像技術に基づく光信号記録再生技術です。このMSR技術は、実用化のための課題だった再生磁界強度を、富士通が提唱するダブルマスク方式を採用することで解決し、今日の実用化にいたったものです。
本規格のディスク、およびカートリッジケースの物理諸元は、現行ISO/IEC国際規格と同一で、従来媒体との互換性を維持しております。
項 目 ISO/IEC 15041規格 本 規 格 カートリッジサイズ 90mm×94 mm×6mm 同左 ディスク直径 86 mm 同左 記憶容量/カートリッジ 540 & 640 MB 1.3 GB セクターサイズ 512 & 2048 Bytes 2048 Bytes トラックピッチ 1.10μm 0.90μm ビット長(磁気) 0.49μm 0.29μm 線記録密度ID部 3125 channel bits/mm 2634 channel bits/mm MO部 3125 channel bits/mm 5268 channel bits/mm 記録開始位置 内周 外周 注:ID部とMO部で線記録密度が異なる理由: ID部はCDと同じように基板上に凹凸情報としてあらかじめ記録されています。この凹凸情報は磁気的読み出しでなく、反射率の変化として読み出すため、従来と同程度の記録密度にしています。
以 上