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1998-0060
平成10年3月31日
富士通株式会社

フランス気象庁 スーパーコンピュータVPP700Eで業務を開始

〜 フランス ツールーズに「フランスFECIT」を設立 〜

当社およびフランス気象庁(Meteo-France:メテオ フランス)はこのほど、当社スーパーコンピュータVPP700E(*1)を使用し気象予報の業務を開始することを、発表しました。
加えて 当社は、今回のフランス気象庁の業務開始に伴い、フランス ツールーズに研究開発センタ「フランスFECIT(*2)」を設置し、アプリケーションの研究・開発を行います。

同気象庁のスーパーコンピュータVPP700Eは、同庁のコンピュータセンター(ツールーズ フランス)に設置されており、フランスにおけるベクトル型スーパーコンピュータでは最大性能を持ちます。 フランス及び海外のフランス領土に短期気象予報の提供と、大気/海洋/積雪の状況などの観察と研究に使用されます。
当社のスーパーコンピュータを使用することで、より高い解像度でさまざまな予報アプリケーションを高速に実行し、精度の高い気象予報を行うことができます。
同コンピュータセンターに設置したVPP700Eの計算処理能力は、現行システム(CRAY C98)と比較して5倍以上の処理性能をすでに達成しており、1998年末までには、全てのアプリケーションを当社機による新システムに移行し、業務を行います。 さらに1999年には、新システムにアップグレードし、現行システムの約20倍の性能を提供する予定です。

なお当社は、1996年に設立したFECIT(富士通欧州情報処理センター*3)を通して、ヨーロッパにある最先端の研究機関及びヨーロッパのスーパーコンピュータユーザと、相互の技術移転を行っており、このような相互利益を発展させるために、フランス ツールーズに「フランスFECIT」という研究開発センターを設立し、より最適で効率のよい並列計算機使用を実現します。

当社はフランス気象庁に対して、単に世界最高のプロセッサを提供するだけでなく、ツールーズに新しい情報処理センタを設立することで、機器設置から、メンテナンス、移行サポート、アプリケーションサポートと幅広いサービスを提供していきます。

当社は、フランス気象庁と共に2000年に向けて研究開発を行うことを誇りと考えており、今後も21世紀のHPC(ハイパフォーマンスコンピュータ)分野においての地位を確立していきます。

当気象庁のスーパコンピュータVPP700Eは、公開入札があり、当社のVPPシリーズのアーキテクチャ(分散メモリベクター)が示すスケーラビリティと、ベンチマークテストにおける高性能に加え、VPPシリーズの日本と欧州市場での導入実績、信頼性、サポートが高く評価され、1997年4月に受注が決定しました。 1997年10月に第一段階の設置が完了し、現在 気象予報のアプリケーションをCRAY C98システムから移植しております。

今回のVPP700Eの導入に関し、フランス気象庁のジャン・ピエール・ベイソン長官は、『我々は、より高い解像度でさまざまな数値予報モデルを高速に実行し、精度の高い気象予報を行うことを目標としている。 選定過程で課されたベンチマークテストを通じ、富士通が提供するハードウェアおよびサービスにより、こうした目的を達成することができるものと確信している。』と語っています。

当社のスーパーコンピュータVPPシリーズは、ヨーロッパですでに25台以上導入されており、フランスでは、IDRIS(国立科学研究センター)などの科学機関や、SNECMA(航空エンジン開発会社)、ONERA(国立航空技術研究所)などの工業研究機関で幅広く利用されております。 また、イギリスのECMWF(ヨーロッパ中期気象予報センター*4)をはじめ、ドイツでも数々の大学がVPPシリーズを使用しています。

VPP700Eについて VPP700Eは、VX-E, VPP300E, VPP700Eから構成される当社VPPベクトルパラレル型スーパーコンピュータシリーズのハイエンドモデルです。 VPPシリーズの並列アーキテクチャは、VX-Eシリーズの1プロセッサから、VPP700Eシリーズの512プロセッサまでの構成が可能で、計算能力において抜群のスケーラビリティを達成しております。
プロセッサは、最新テクノロジである低消費電力CMOS(相補型金属酸化膜半導体)を採用したLSIとSDRAMメモリから構成されています。 1プロセッサの最大性能は、2.4GFLOPSであり、CMOSベースのプロセッサとしては、世界最高の性能を誇っております。

用語説明

*1 VPP700E
1CPUあたり2.4ギガ(1ギガは10億)FLOPS(1ギガFLOPSは毎秒10億回の浮動小数点演算速度)というCMOSでは世界最高速のベクトル型プロセッサを並列に構成し、高速のプロセッサ間通信を可能にしたスーパーコンピュータです。
*2 フランスFECIT
FECIT(Fujitsu European Center for Information Technology:富士通欧州情報処理センター)のフランス事務所。 Toulouse、Franceに設置。現在3人の研究員が活動している。
*3 富士通欧州情報処理センター
FECIT(Fujitsu European Center for Information Technology)、Uxbridge, Middlesex, U.K.、AP3000(並列サーバ)とVXを使用して、アプリケーションの開発や並列計算の研究を行っている。 資本金200万ポンドで、現在16人の研究員が活動している。
*4 ヨーロッパ中期気象予報センター
ECMWF(THE EUROPEAN CENTER FOR MEDIUM-RANGE WEATHER FORECASTS)、Shinfield Park, Reading, England、中期気象予報での数値解析手法の開発を行っている。

以上


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