[ PRESS RELEASE ]

|

平成10年3月18日
富士通株式会社
住友軽金属工業株式会社
|
ノートブックPC用世界最小・最軽量の冷却モジュール新発売
富士通が開発、住友軽金属工業が製造・販売
〜ファン付き超薄型放熱機構とヒートパイプを一体化した冷却モジュールを提供〜
富士通(本社:東京都千代田区、社長:関澤 義)は、ノートブックPC用の冷却モジュールとして、世界最少の実装容積を実現する薄型・高性能な遠隔冷却モジュール「μCOOLER(マイクロクーラ)」を開発いたしました。
住友軽金属(本社:東京都港区、社長:佐藤 史郎)がライセンス契約により製造・販売を本日より開始いたします。
本製品は、世界最小の実装高さ(冷却性能10Wで6.6mm、12Wで7.6mm)を実現したファン付き超薄型放熱機構と発熱デバイスから熱を輸送するヒートパイプから構成されます。同性能の従来品と比較し、実装容積が約1/2、重量が約1/3と世界最小・最軽量を実現しました。
近年のノートブックPCの性能向上には、マイクロプロセッサ等の高性能化とそれにともなう発熱量の増大に対処する冷却モジュールが必要不可欠となってきました。本製品の開発にあたっては、インテルコーポレーション殿と提携し、同社製次期高性能マイクロプロセッサモジュールに適合できるようにいたしました。
また富士通は、本製品を秋以降に発表するノートブックPCシリーズに順次適用していく予定です。
【本製品の特長】
- ノートブックPCの薄型化への対応
従来の強制空冷ファンでは、ファンの高さに加え、空気を吸い込むためのスペースとして2mm程度のすき間が必要でした。本製品は、遠心方式ファンの開発と、ファンベンリチュリ(空気が通過する胴体部)へのヒートパイプの直接接続により、この間隙を含めた世界最小の実装高さ6.6mmを実現しました。
- ノートブックPCの小型・軽量化への対応
ファンベンチュリに高熱伝導性ダイキャスト材を採用し、同性能従来品に比べ実装容積が約1/2、重量が約1/3と世界最小・最軽量を実現しました。
- ノートブックPCの局部高発熱への対応
ノートブックPCは、高性能化にともないマイクロプロセッサモジュール(CPUとその周辺回路を同一基板上に高密度実装)に移行しており、局部発熱が問題となっています。本製品は、ファン付き放熱機構とヒートパイプの連結による遠隔冷却技術によって対応しました。これによりマイクロプロセッサモジュールを、「μCOOLER」で冷却し、他の搭載部品は従来の自然冷却での対応が可能となります。
【販売開始とサンプル価格】
Model A(冷却性能12W) | 平成10年3月18日 | 6,000円(税別) |
Model B(冷却性能10W) | 平成10年5月中旬を予定 | 6,000円(税別) |
【販売目標】 年間200万個以上(Model AとModel Bの合算)
【開発背景】
ノートブックPCには、CPUをはじめメモリ、ハードディスク等の発熱部品が数多く搭載されており、この冷却には発熱部品から筐体やキーボードに伝熱させ,外部に放熱させる伝導・自然空冷、あるいは小型ファンによる強制空冷などが行なわれてきました。しかし、CPUの高速化・高機能化とそれにともなうモジュール化やマルチメディア関連の新ユニット搭載によって消費電力が急激に増加して、これまでの冷却技術での対応が困難な状況になろうとしています。このような状況に対応するため、実装容積が世界最少で高性能な冷却モジュール「μCOOLER」を開発、販売を開始いたします。
【実現技術の詳細】
- 薄型・軽量
本製品は、業界で初めて遠隔への熱輸送用ヒートパイプをファンのベンチュリにダイレクトに接合しました。これによりファンからの空気流があたるベンチュリで高効率な熱交換を行なうとともに、伝熱ロスを少なくしました。
また、同種の部品としては、業界で初めてノートブックPCの高密度実装状態で風量を低下させない遠心方式ファンを採用しました。これにより実装状態では同サイズの軸流ファン式に比べ、冷却性能を低下させずに、薄型・軽量化を実現しました。
さらに、ファン直下のベース部を削除し、ファンの駆動部をヒートシンクの上面から保持することで、空気吸い込みのスペースを不要としました。
- 世界最少の実装容積
最少の実装高さに加え、ヒートシンクの熱交換効率をコンピュータシミュレーションにより最適化し、全体で最少の容積内におさめました。また、同種の部品として、業界で初めてファンベンチュリに高熱伝導性ダイキャスト材を採用しました。
- 低騒音・長寿命
流体抵抗の低減と精密ボールベアリングの採用によって騒音を25デシベルとし、また3万時間の長寿命を実現しました。
- インテル社製のマイクロプロセッサモジュールに適合
各種のマイクロプロセッサモジュールに適用できるだけでなく、インテル社製モジュールに適合(取付け形状、冷却負荷)しています。また、将来の高性能モジュール(最大12W)にも対応可能です。
- 低電圧駆動に対応
使用環境温度が低い状況では、ファンの回転を止めたり、低回転に制御できるよう広い電圧範囲で動作を保証できる設計としたので、機器の低騒音化・省電力化が可能です。
- 実装形態に適合するようヒートパイプを任意に加工
従来PCメーカでは、実装形態に合うよう曲げ・偏平加工したヒートパイプを個々に購入して組み立てていました。本製品ではこれらをお客様のご要求にあった形状に加工しモジュールとして提供しますので、実装レベルでの冷却性能の安定化に有利となります。
以上
プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。