[ PRESS RELEASE ] |
![]() 1998-0108 平成10年6月4日 富士通株式会社 |
当社はこのほど、ディスク、テープなどの記憶装置を効率的に使用し、膨大な量のデータの保護・記憶装置の管理を自動化するソフトウェア「SAM-FS(サム・エフエス)*1」の販売を、本日より開始いたします。
コンピュータで扱うデータ量が増すにつれ、エンドユーザに対して高速で連続したデータのアクセスを保証すると同時に、膨大な量のデータを高信頼に保管することが、データ管理者に求められています。
その要求に応えるため、データ管理者の多くは「バックアップ」によりデータの保護と記憶装置の管理を行っています。 しかし、バックアップすべきデータが増えれば増えるほど、システムを停止させる時間は長くなり、必要とされるバックアップデータを探し出すことが煩雑になります。 これらのことがデータ管理者にとって大きなジレンマとなっています。
当製品は、このようなデータ管理者のニーズに応えるために開発された、新しい概念のソフトウェアです。
【SAM-FSの特長】
【税別価格・出荷時期】
240万円より。(二次記憶装置の種類と、二次記憶装置に収納されている媒体本数による従量制の料金体系をとります。) 1998年12月末より出荷開始します。【販売目標】
今後3年間で、40システムの販売を予定しています。【動作環境】
UNIXサーバ「Sファミリー」、並列サーバ「AP3000シリーズ」などの、基本ソフトウェアSolaris 2.5以降が稼動する環境。【SAM-FSの特長説明】
【SAM-FSによるソリューション事例】
(1) 自動ストレージ(記憶装置)管理の実現
SAM-FSは、ディスクと二次記憶装置を組み合わせることにより自動ストレージ管理を実現します。データ管理者は、データの保管指針を設定するだけで、あとはSAM-FSが自動的に動作し、データ管理者の介入を必要としません。 データの保管、データへのアクセス、二次記憶装置内でのボリュームと媒体の管理等の機能はすべて自動的に実行されます。
また、多様なユーザニーズに応えるため、以下のように柔軟にデータの保管方針を決定することができます。
- ディスクボリュームが一定の容量に達した場合
- 最終更新からの経過時間とファイル容量、ユーザ名、ファイル属性等の組み合わせにより対象ファイルを抽出。
(2) データの損失・破壊からの保護
SAM-FSは、データに対して同時に最大4個までアーカイブ(*3)コピーを作成することができます。 複数コピーした媒体のうちの1つを遠隔地やオフサイト金庫室に保管することにより、災害対策を容易にとることができます。
アーカイブされるデータはUNIXの標準的なtarフォーマットで記録されるため、万一、対象となるサーバに障害が発生した場合でも、他のUNIXサーバを使って容易に内容を調べることができます。(3) スケーラブルなファイルシステム
SAM-FSは、ディスクや二次記憶装置内にマウントされたドライブ等の個々の装置を集合的に扱うことにより、最大ファイルシステムサイズや最大ファイル数など従来のUNIXファイルシステムの制約にとらわれない、スケーラブルなファイルシステムを実現しています。
また、ファイル容量の増加に応じて、ファイルシステムサイズを動的に変更することもできます。(4) データの高速アクセスを保証
SAM-FSはI/O処理の最適化を図ることにより、周辺装置のハード性能をフルに引き出すことができます。 また、データへの高速アクセスを保証するために、Solarisのマルチスレッド機能を活用し、高性能I/Oと並列アーカイビング/ステージング(*4)を実現しています。
さらに、SAM-FSではファイルのステージングが完了する前にその内容を読み取ることができます。 これにより、業務において対象とするデータへのアクセスが速くなります。(5) 豊富な周辺装置のサポート
SAM-FSは、Solaris標準のディスク、テープドライバを使用するため、豊富な周辺装置をサポートします。 テープライブラリ型の二次記憶装置としては、当社F6458磁気テープライブラリ装置の他に、Sony、StorageTek社製のテープライブラリ装置等をサポートします。
【用語説明】
(1) ファイルサーバとしての利用
ネットワークコンピューティング環境において、SAM-FSはファイルサーバとして利用することができます。 クライアントはNFS、ftp、rcpといった一般のUNIXのコマンドによりSAM-FSと通信します。 データはSAM-FSサーバで集中的に管理されるため、データ保全性が増すとともにクライアントのディスク量の削減が期待できます。(2) バックアップサーバとしての利用
バックアップソフトウェアとSAM-FSを組み合わせることにより、ネットワークコンピューティング環境において、SAM-FSをバックアップサーバとして利用することができます。
バックアップクライアントからのバックアップデータはSAM-FSのディスクに書かれるため、テープ装置を使用してネットワーク経由でバックアップを行う場合に比べて、時間の短縮が図れます。(3) 医療分野での利用
医療記録を管理するユーザは、さまざまな科から送られてくる多種多様なマルチメディアデータ(CTスキャン、X線、医療記録)を取扱います。 SAM-FSは、「関連付け」という機能を使い、これらのデータを患者をキーとして、アーカイブ、ステージすることができます。
例えば、患者の問診に備えて、二次記憶にアーカイブされていたカルテ情報をディスクにステージすることにより、この患者のCTスキャン等の関連データもまとめてステージすることができます。(4) スパコンセンターでの利用
現在、毎週1TBのデータを収集しているスパコンセンターでは、2〜3年後には毎日1TBに増大すると予測されています。 このようなセンターにおいてストレージ管理の自動化と高速なデータへのアクセスは緊急課題です。
また、1ファイルが20GB以上もの非常に大きなファイルを多数管理する必要があるスパコンセンターでは、これらのファイルは大きすぎてディスクでは保持できないことが多いため、二次記憶装置と組み合わせてデータ管理を行う必要性があります。
SAM-FSは、スケーラブルにファイルシステムの拡張ができるので、このようなスパコンセンターのニーズにも的確に対応できます。 また、SAM-FSにより管理されるファイルは、ディスク、二次記憶装置という階層でストレージ管理されますが、ユーザからは透過的に扱うことができますので、ユーザは必要とするデータがどの媒体に存在しているのかを意識する必要がありません。この他、ディジタル化された膨大なデータを扱う放送局やCATV局、ディジタルスタジオ、日々刻々とデータの交換・蓄積がなされるインターネットサーバ等の分野で、SAM-FSは大きな威力を発揮します。
【商標について】
*1 : SAM-FS
Storage/Archive Manager File System、米国LSC社(1993年設立、ミネソタ州、CEO: J. Brad Balogh)が、開発したソフトウェア製品です。*2 : 二次記憶装置
コンピュータのデータを一次的に記録するディスクに対する概念として使用。 具体的には、テープ、光磁気ディスク等の記憶装置を指す。ディスクに比べて安価で大量のデータを記録できるが、アクセスに時間がかかる。*3 : アーカイブ
ファイルをディスクから二次記憶媒体へ自動的にコピーすること。*4 : ステージング
ファイルを二次記憶媒体からディスクへ自動的にコピーすること。
以上