[ PRESS RESEASE ] |
![]() 1998-0133 平成10年6月30日 富士通株式会社 |
当社はこのほど、システムLSIを短期間に、確実に設計するための統合プログラムである「IPwareプログラム」を開始いたします。
本プログラムは、従来個別に提供していたIP(機能ブロック)(*1),デザイン手法,テクノロジ,お客様のサポートなどを体系化してご提供するもので、以下の3階層からなります。
1) | システムLSIの基本技術である、先端のプロセステクノロジやパッケージ技術などからなるベーシックレイヤ。 |
2) | システムLSIのキーとなるIPのライブラリであるIPバンク,IP情報の流通基盤であるIPハイウェー,IPをベースにしたシステムLSI設計手法から成るIPレイヤ。 |
3) | 上記の2階層をベースに、お客様のアプリケーションに合わせて最適なソリューションを提供するソリューションレイヤ。 |
半導体技術の飛躍的な進歩により、数百万トランジスタという素子をワンチップに集積化することが可能となっています。これにより、従来複数のチップから構成されていたシステムをワンチップ化するシステムLSIの時代が訪れようとしています。
一方でシステムLSIの開発には、その膨大な素子数のため多大な開発期間が必要であること、様々なシステム機能をワンチップに統合化するため開発リスクが増大していることから設計手法の革新が求められております。
当社では、システムLSI時代におけるIPの重要性をいち早く唱え、業界を通じてIPの流通を進める基盤を整えるために、VSIアライアンス(TM)(*2)の創設,推進に努力してまいりました。
また同時に、米国にシステムLSI設計手法の開発チームとIP業界の動向を把握し、優れたIPをいち早く調達するための組織を設立し、IPの再利用/蓄積の推進とそのための基盤作りを推進しております。
しかし、システムLSIの開発には単にIPを提供するだけではなく、お客様のシステムLSI設計において最適なIPの選択,カスタマイズ,使用方法についてのサポートや、IPをベースにした設計手法の構築のサポートなどが必要不可欠です。
そこで今回、こうしたIPの提供から開発、およびお客様のサポートまでを体系化した「IPwareプログラム」を開始するものです。
「IPwareプログラム」の概要は、以下の通りです。
1) | IP Bank 当社内の設計資産、および社外パートナーからのIPをVSI仕様に準拠した再利用可能な形にしてIP Bankとして蓄積していきます。現在、USB、PCIなどのインタフェース、JPEGなどの機能IP、SPARCliteなどのCPU Core、AD/DAコンバータ等のアナログIPを含め、52種類のIPがお客様に提供可能です。1998年度内にはさらに20種類を追加していく予定です。 これらのIPはLSIの試作により機能、実動作が確認されており、お客様に安心してお使いいただけます。現在、当社の0.35um, 0.25um, ASICで提供中であり、開発中の0.18um ASICでも提供予定です。 また、最近は論理回路のようなハードウエアだけでなく、柔軟なシステム構成をソフトウエアで実現するミドルウエアが注目されています。当社では、音声合成、音声認識、画像圧縮/伸張などマルチメディア用途向けのアプリケーションを中心に提供いたします。 |
2) | IPハイウェー IPに関する情報を共有するためのインターネット技術をベースにしたネットワークです。 海外子会社を含む富士通社内にて、1998年8月より稼働を開始します。これにより、お客様の要求に応じて設計者が必要なIPを素早く検索し、提供することが可能になります。 |
3) | システムLSI設計手法 システムLSIの開発においては、システムの仕様検討/検証、アルゴリズム検証/検討などを行う上流設計工程が開発期間の約80%を占めると言われています。富士通では、C/C++をベースにしたシステムレベルデザイン手法、ハードウエア/ソフトウエアのコ・デザイン環境、Emulation技術の確立に努め、上流設計工程の短縮をはかっています。 |
*1 | IP 一般的には知的財産権のことを指すが、ここではシステムの機能を実現する回路ブロック、ファームウエア、ミドルウエアなどを言う。 |
*2 | VSI(Virtual Socket Interface)アライアンス 1996年、システムLSIを実現する機能ブロック(IP)の再利用のために、各社間のIPのインタフェースや情報の記述形式を統一するために発足した標準化団体。 参加企業は98年6月現在で180社。 |
以 上