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1998-0156
平成10年7月23日
富士通株式会社
株式会社富士通研究所

高度な侵入検知と動画像追跡処理を実現する「侵入監視システム」新発売

〜広範囲の無人監視システム構築を安価にて提供可能に〜

富士通(株)と(株)富士通研究所は、動画像追跡処理システム「カラートラッキングビジョン」を応用した、高度な画像監視システム「侵入監視システム」を共同で開発し、富士通(株)より7月23日から、一般企業の監視システム用途に販売を開始いたします。

セキュリティ分野において、従来のセンサによるポイントセンシングから、TVカメラを用いた画像監視がさまざまな場所で用いられるようになってきました。
しかし、広範囲な監視を実現するには、多数のカメラを設置することが必要で、コストが高くなってしまったり、広範囲に監視するためどうしても監視対象物が小さくなってしまうという問題がありました。また、屋外の監視においては、木々や波、鳥などの自然界の動きの変化に反応して誤警報を発するという問題があり、それらを除去するために煩雑な調整・試行錯誤を繰り返すことが必要となっていました。

これらの問題を解決するために、富士通(株)と(株)富士通研究所は、(株)富士通研究所が開発した「カラートラッキングビジョン」をもとに、高性能かつ安価な「侵入監視システム」を共同で開発いたしました。
「カラートラッキングビジョン」は、テレビカメラで捕らえた人物など特定の目標を高速に追跡できる画像処理システムです。平成9年6月の販売以来、パソコン用のボードとして動画像の処理や研究開発用途等に幅広く提供してまいりました。

この「カラートラッキングビジョン」を応用した「侵入監視システム」は、従来の輝度変化による方式の侵入検知に比べ、より安定的に侵入物を検知でき、低コストで広範囲な監視システムの構築が可能です。本システムは、主に次の2つの特長があります。

  1. 対象物が監視範囲内に入ると自動的に検知します。この時、対象物と周囲の物体の動きを解析し、余計なもの(木々や波)は除去し、本来検知したい対象物のみを検知します。
  2. 侵入者や侵入物体を検知すると、テレビカメラと連動し、自動的にその物体にズームアップして連続的に追尾できます。

[標準価格] 128万円〜(税別、構成:侵入監視装置本体x1台、トラックボールx1、専用ソフトウェア)カメラ等を組み合わせた監視システムの構築も行います。
[販売目標] 今後2年間で、1000システムの受注を見込んでいます。
[出荷開始] 平成10年10月から出荷予定

「侵入監視システム」の主な特長は、以下のとおりです。

  1. 無人監視を実現する高性能侵入検知機能 本システムは、カメラの画面内に侵入した移動物体を瞬時に検知することができます。 動きベクトル方式(*1)を応用した追跡処理アルゴリズム(*2)の採用により、従来問題となっていた木々や波などの自然の変化や照度変化には反応せず、侵入者など本来検知したい対象物のみを安定して検知することが可能となりました。

  2. パンチルトカメラ連携による自動追尾機能
    本システムは、パンチルトカメラ(*3)を連動させた自動追尾機能を標準装備しており、侵入物体を検知すると、その物体にズームアップして連続的に追尾することが可能となりました。さらに、業界で初めて、カメラをパンしながらの侵入検知機能を装備し、1台のカメラで広範囲な監視を行うシステムを低コストで構築することが可能となりました。

[適用分野] ・港・空港などでの船・飛行機・人物等の監視
・工場・倉庫・プラントなどの管理区域・危険区域の監視
・オフィス・病院・銀行などでの入退出の監視

[「カラートラッキングビジョン」について]

「カラートラッキングビジョン」は、テレビカメラで捕らえた人物など特定の目標を高速に追跡できる画像処理システムです。新開発の動き追跡プロセッサACP(Advanced Correlation Processor)を搭載することで、リアルタイムでの追跡処理を1ボードのコンパクトなハードウェアで実現しました。
物体の動きを追跡する動画像処理技術は、侵入者の自動監視や自動車の自動運転などさまざまな分野への応用が期待されている技術です。しかし、動画像処理は計算量が多く、リアルタイム処理は難しいと考えられてきました。
「カラートラッキングビジョン」は、独自開発の動き追跡プロセッサACPを搭載することでリアルタイムでの動き追跡が可能です。 ACPは、並列パイプライン型の画像処理専用プロセッサであり、相関演算に基づく動き追跡処理を高速に実行することができます。
(1/30秒周期のビデオレートの追跡処理が可能)またRGBカラー対応であり、色情報に着眼した追跡処理も可能です。
用途としては、道路交通の監視、建物の保安管理、自動車の運転補助など実社会のさまざまな場面での活用が期待されています。

以 上

[用語説明]
(*1) 動きベクトル
ビデオ画像のなかで、対象物体(ターゲット)が、どちらの方向にどれだけ動いたかを表す量です。テレビカメラからの入力画像を時間を追って画像メモリに記憶し、相互に比較することで、対象物体が次の瞬間どこに移動したかを判断しています。
(*2) 追跡処理アルゴリズム
対象物体(ターゲット)の画像を基準画像(テンプレート)として取り込み、動きベクトルを繰り返し求めることで、対象物体の動きを追跡することができます。本システムでは、詳細に動きを分析することで、自然界の外乱か対象物体かの判断を行い、安定して追跡できるようなアルゴリズムを組込んでいます。
(*3) パンチルトカメラ
1台のテレビカメラで、動き回っている物体や人物を監視したり、レンズの画角以上に広範囲な監視をするために、遠隔制御で方向を自由に変えることができるようにしたカメラです。左右(パン)と上下(チルト)に回転します。テレビカメラと一体になったタイプとカメラハウジング・電動旋回台と組み合わせるタイプがあります。

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