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1998-0029
平成10年2月5日
富士通株式会社

ネットワークを通じて遠距離の高齢者を介護できる「在宅ケア支援システム」新発売

〜超高齢化社会に向けて発信する世界初の本格的な高齢者支援ソリーション〜
当社は、双方向カラー動画像通信を機軸としたマルチメディア技術とネットワークコンピューティング技術で、在宅高齢者の保健・医療・福祉に係わるケアを総合的に行う「在宅ケア支援システム」を開発し、2月5日から自治体や医療機関向けに発売いたします。
超高齢化時代の到来で、公的介護保険の対象となる要介護高齢者は2000年には280万人、2025年には520万人に達すること(厚生省推定)から、高齢者ケアは国家的重要課題です。国は1990年以来、ゴールドプラン*1の推進、医療保健制度の規制緩和*2、公的介護保険制度の導入等で対処すべく努めていますが、問題は人的資源や資金に限りがあることです。
当社は、今後の高齢者ケアの柱が在宅ケアであると考え、情報通信技術による在宅ケア支援システムの研究実験を長年続けてきました。そして今回、東京医科歯科大学高野健人教授との七年間の共同研究や北海道栗山町のモデル実験の成果を踏まえ、従来の健康情報システム、緊急通報システム、テレビ電話を統合した、世界初の本格的な在宅ケア支援システムを開発しました。
本システムは、介護者のいるセンターや医療機関、緊急対応施設と高齢者宅をISDNで接続し、双方向カラー動画像通信(テレビ電話)で、遠く離れた高齢者を画像と音声で確認しながら介護を行うものです。高齢者宅側の端末には、血圧や心電等のセンサー接続機能や緊急通報機能を備えており、センター側装置には、ケア記録等の介護運用機能やセンター間の相互連携機能を備えています。これにより、高齢者介護にかかる時間や距離が大幅に短縮され保険・医療・福祉の総合的ケアによる質の高い介護が行えます。
また、数少ないケア従事者で、増大する高齢者を効率的・経済的に介護できる環境が整います。

〔「在宅ケア支援システム」の主な特長〕

  1. 高齢者にやさしい操作性
    在宅高齢者端末は、家庭のテレビ受像機出力機能、高齢者に使いやすいキーボード、首振り・ズームカメラ、バイタルサイン送信機能*3、緊急通報機能を備え、高齢者の生活状態に適合した機能を選択できるようにしました。

  2. ケア者の業務効率を高め、センター間の情報共有を実現するセンター機能センター装置は、マルチウインドウにより、カラー動画像表示機能、在宅ケア運用機能(問診、ケア記録等)、セキュリティ管理機能、さらにセンター装置間の情報共有機構も備え、掛かりつけ医、保健婦、看護婦(士)、理学療法士等の介護者の業務効率を高めます。

  3. ネットワークには、ISDNを利用
    通信インフラは、どこでも設置できるISDNを採用し、画像音声通信制御は、誰とでも通信できる国際標準規格(H.320)*4に準拠しました。

当社は現在、公的介護保険関係の事務処理システムの開発も進めておりますが、今後の超高齢化時代に情報通信技術を利用した在宅介護システムの関連市場が成長すると考え、今回いち早く本システムを製品化し、市場に参入するものです。
そして従来より展開している医療情報システム(HOPE)、福祉情報システム(MINDCITY)のビジネス等とともに、超高齢化時代に向けた高齢者ケアの総合的ソリューションを提供してまいります。

〔販売価格〕 高齢者端末(基本構成)
センター装置(基本構成)
65万円(税別)
214万円(税別)(パソコン含まず)
〔出荷開始〕 平成10年2月15日
〔販売目標〕 今後3年間で200団体への販売を見込んでいます。

〔用語説明〕

*1 ゴールドプラン
厚生省が高齢化社会に向けて、高齢者の介護サービスの確立、およびマンパワーの育成・確保を行うための整備プラン(ホームヘルパー数、在宅介護支援センター数、特別養護老人ホーム数など)。1990年開始。
*2 医療保険制度の規制緩和
在宅医療に関する規制緩和が進んでいる。従来は病院や診療所でしか受けられなかった医療行為が、在宅にいながら可能となる。インシュリン投与、在宅酸素療法など。
*3 バイタルサイン送信機能
家庭で計測した血圧、心電、心拍などの生体信号(バイタルサイン)を通信回線にのせて直接ケアセンターに送る機能。
*4 国際標準規格(H.320)
画像・音声などの情報を圧縮して送信し、受信側では受信後復元して見たり聞いたりする圧縮復元方式、および通信方式の国際規格。

以 上


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