[ PRESS RELEASE ] |
![]() 1998-0182 平成10年8月31日 富士通株式会社 |
当社はこのほど、最新技術のヘッドであるGMRヘッド(*1)を搭載し、最大で記憶容量6.49GBを実現した2.5インチ磁気ディスク装置合計3機種を開発し、8月31日より出荷を開始いたします。
近年、ノートパソコンは高性能化・小型化・軽量化の技術革新が進み、オフィスやモバイルコンピュータとしての利用が急速に伸びるとともに、マルチメディアデータ(音声や画像)の取り込みなど、より大量のデータを扱うことが多くなっております。 こうした背景から、2.5インチ磁気ディスク装置も、一層の記憶容量の向上が求められております。
これに対応して、当社は、従来のMRヘッドよりもさらに記録密度の向上が実現できる最先端のGMRヘッドの研究・開発にいち早く取り組み、本装置で実用化いたしました。
【 新製品の概要 】
今回開発した新製品は、GMRヘッドの搭載により、最大で従来装置の1.5倍(*2)「MHE2064AT」(12.5ミリ厚:6.49GB)/「MHF2043AT」(9.5ミリ厚:4.32GB)/「MHF2021AT」(9.5ミリ厚:2.16GB)の記憶容量をそれぞれ達成しました。(当社比)
また、ディスク回転数を従来装置の4000回転/分から4200回転/分に高速化させ、ディスク回転待ち時間(*3)の短縮と内部データ転送速度(*4)の向上を図っております。さらに、512KBのデータバッファを搭載しており、効率のよいリード/ライト処理を行うことができます。その他、低消費電力が図れるパワーセーブモードや、トラブルを事前に予測することが可能なSMART機能(*5)をサポートしております。インタフェースはATA-4(*6)に対応しており、最大33.3MB/秒のウルトラDMA転送が可能です。当社は、ノートパソコン向けの2.5インチ磁気ディスク装置の他、サーバやワークステーション等のハイエンドシステム向けの3.5インチ磁気ディスク装置、デスクトップパソコン向けの3.5インチ磁気ディスク装置を製品化しております。今後、これらの新製品には全てGMRヘッドを搭載していく予定です。それに伴い、当社のヘッドを製造しているフィリピン・長野の工場ラインも順次、MRヘッドからGMRヘッドの製造に切り換えていきます。
なお、本装置は日本国内、および海外OEM市場向けに販売をいたします。
【出荷開始時期】 | 平成10年8月31日 | |
【販売目標台数】 | ・MHE2064AT/MHF2043AT/MHF2021AT | 合計800万台 |
【OEMサンプル価格】 | ・MHE2064AT(6.49GB) ・MHF2043AT (4.32GB) ・MHF2021AT(2.16GB) |
11万円(税別) 8万円(税別) 5万円(税別) |
【 用語説明 】
*1 GMR(Giant Magneto Resistive)ヘッド
従来のMR(Magneto Resistive)ヘッドより読み取り感度に優れ、そのため記憶密度を飛躍的に向上することができる、最新のヘッド。
MRヘッドでは、媒体上の磁気情報を磁性膜上の磁化の向きにより電気抵抗に変換して読み取っているが、GMRヘッドでは、磁性膜を2枚使うことにより、2枚の磁性膜の磁化の向きの角度差により大きな抵抗変化を実現し(MRヘッド:1.5%→GMRヘッド:6%)、読み取り感度を高めている。
この結果、小さい信号も読み取れるので、一つの信号に必要なディスク面積を小さくでき、記録密度の向上につながる。*2 従来装置の1.5倍
新製品「MHE2064AT」(6.49GB)と円板数・ヘッド数が同等の従来装置「MHC2040AT」(4.09GB)との比較。*3 ディスク回転待ち時間
ヘッドが目的のトラックにオントラック後、目的のセクタがヘッドに到達するまでの時間。最小は0で最大はディスク1回転の時間となる。*4 内部データ転送速度
ディスク媒体とディスク装置内のバッファとの間の、データ転送速度。*5 SMART(Self Monitoring And Reporting Technology)機能
装置自身で内部の動作状態を監視し、エラーの増加等、不安定な状態が見られた場合、早期にアラームを出す機能。装置ダウンを未然に防止することが可能となる。*6 ATA-4
パソコンなどのホストと、磁気ディスク装置などの周辺装置間の、インタフェースの規格。
以 上