[ PRESS RELEASE ]
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![]() 1998-0169 平成10年8月19日 富士通電装株式会社 富士通株式会社 |
富士通電装株式会社(本社:川崎市、代表:三嶋 友安)と富士通株式会社は、株式会社富士通研究所(本社:川崎市、代表:佐藤 繁)が開発した指紋識別の独自認識アルゴリズムを採用したノートブックパソコン用カード指紋認識装置「Fingerpass Card(FPI-550)」を、企業向けに8月19日より販売開始いたします。
情報の電子化とオープンネットワークの進展は、誰もが、いつでも、どこからでも利用できる情報インフラを実現し、新たな企業活動スタイルとして定着しつつあり、企業の秘密情報やプライバシー情報の管理がますます重要になっています。
特に、ノートブックパソコンを利用したモバイルコンピューティングや、SFA(Sales Force Automation)等、社外での利用が増加し、より確実な情報セキュリティ対応が求められています。
現在、情報システムにおける利用者認証は、本人しか知り得ない秘密情報を使用したパスワードによる本人認証方式が中心です。この方式は、コストも安く利用も簡単ですが、パスワード盗用等のセキュリティ面での弱さがあります。
これに比べ昨今、他人が真似ることの難しい利用者自身の指紋等のバイオメトリクス(生物学的特徴)を利用した本人認証方式が注目されてきました。
本装置は、ノートブックパソコンの標準PCカードスロットに装着して使用する、カードと指紋スキャナを一体化した薄型軽量指紋認識装置です。スキャナで利用者の指紋データを読み取り、事前に登録している利用者自身の指紋データと一致するかどうか「照合」し、確認をします。指紋識別には、株式会社富士通研究所が平成9年10月に発表した「特徴相関法(*1)」を採用し、1指当たり平均430バイトの小容量の指紋データでの認証を実現しました。これにより指紋データの扱いが容易となり、指紋データをパスワード代わりに使うネットワークシステムでの本人認証、スマートカードとの連携等、適用範囲の拡大が期待できます。
本装置は、本年5月に発表した富士通統合セキュリティソリューション「SECUREVISION(セキュアビジョン)」のベーシックレイヤに位置づけられる認証、識別製品の一つです。スキャナに指を置くだけの簡単な操作で、他人のなりすましの難しい指紋データによる本人認証技術は、より安全性の高いセキュアな企業情報システムの実現を可能とするものです。
今後、富士通は、本装置の技術と経験を踏まえ、お客様の多様なニーズに応えられる新しい指紋認識装置の開発にも積極的に取り組んでまいります。
【標準価格(税別)】 | 専用ソフトウェア込みで5万円 |
【販売目標】 | 今後3年間で10万台 |
【出荷時期】 | 平成10年10月下旬 |
指紋データによる本人認証方式の適用分野としては、従来のパスワード方式の代替利用と、より高度な本人認証が求められるシステムでの利用等があります。[装置の概要]
(1) ノートブックパソコン内の情報セキュリティ向上
現在のパソコンは、機能、性能も高度化し、誰でも簡単に操作でき、企業情報システムの中心的な存在になってきました。特に、ノートブックパソコンの利用は大きく伸び、営業支援システムや各種業務アプリケーションでの情報処理が行われています。
このような利用環境では、ノートブックパソコン内に多くの企業秘密情報や、プライバシー情報が扱われています。パソコンの盗難や紛失時のセキュリティ対応が必須となり、システムやプログラム起動時の本人認証、重要な機密情報の暗号化等の対策が重要となります。指紋データによる本人認証の利用により、ノートブックパソコン内の情報セキュリティの向上が可能となります。(2) ネットワーク接続時のより確実な本人認証
イントラネットや、エクストラネットを中心とした企業情報インフラの発展に伴い社員が外部から企業内情報システムにアクセスしたいというニーズが高まっています。
現在、モバイルコンピューティングでの本人認証は、ユーザID/パスワード方式が中心となっています。最近では、セキュリティ強化としてワンタイムパスワード方式の採用も見られます。
このようなリモートアクセス時のセキュリティ強化として、パスワード方式から指紋データを利用した本人認証方式への移行が考えられます。特に、指紋データが、1指あたり平均430バイトと小さくなり、ユーザIDと指紋データを登録一元管理することで利用時に指紋データで本人認証を行うシステムも構築できます。(3) 電子伝票システム等での決裁者の認証
最近、グループウェアのワークフロー機能を利用し、ペーパレスでの電子伝票システムを構築運用する企業が多くなり、決裁処理が重要となります。その決裁処理での決裁者の本人認証は、ユーザID/パスワード方式が通常使われています。特に、社内の電子伝票システムでは、パスワード管理が甘くなるケースがあり、セキュリティ面で問題が起こりがちです。これらの問題解決のために、手書き入力装置によるサイン等も利用されていますが、指紋データによる本人認証の利用は、操作性と安全性をより高めます。(4) 簡単で確実なWWWサーバやデータベースへのアクセス制御
企業内では、インターネット技術を利用したWWWサーバによる情報共有が盛んに行われています。しかし、情報と利用者を意識したアクセス制御をきめ細かく実施している企業は少ないと思われます。
情報セキュリティ面からは、従業員でも、利用者を意識したきめ細かな情報アクセス制御が求められます。特に、重要な情報へのアクセス権限チェックについては、より安全で確実な指紋データによる本人認証方式を採用する等の対応も可能となります。(5) 各種アプリケーションにおけるアクセス制御
関係者外秘情報を処理するアプリケーションでは、特定の利用者だけが使用できる環境を構築したいというニーズがあります。また、ネットワークサーバ等の重要システムにアクセスできる人を、数人の運用管理者だけに絞りたいというニーズも多くあります。
現状でのユーザID/パスワード方式による本人認証は、パスワードの盗難や漏洩等、セキュリティ面での危険性があります。なりすましに対して強い指紋データによる本人認証の適用は、より高度なセキュリティを有するシステム構築を可能とします。(6) その他
最近、EC分野で利用が活発なスマートカードと、指紋データを連携した本人認証も検討されています。スマートカードの適用分野の拡大にあわせ、指紋データによる本人認証技術の適用も広がってくると考えます。
[仕様]
・照合率 99%以上 ・誤照合率 1/10000以下 ・照合時間 2.5秒以下(MMX Pentium-200MHz) ・登録時間 20秒以下(MMX Pentium-200MHz 2指登録) ・対応OS Windows95/98 ・専用ソフト 200KB以下(ドライバ、登録・照合ソフト含め) ・辞書容量 平均430バイト(1指)
1)照合データ | : | 指紋の特徴点座標(分岐点、端点)、種類、隆線方向、 特徴点のつながり相関 |
2)登録データ量 | : | 平均430バイト |
3)照合データ量 | : | 平均430バイト |
4)クライアント側処理時間 | : | 2.5秒(MMX Pentium-200MHz) |
5)サーバ側処理時間 | : | 0.02秒(MMX Pentium-200MHz) |
・寸法 : 56 (W) x 129 (D) x 31 (H) mm ・重量 : 75g ・インターフェース : PCMCIA ・入力面視野 : 16.4 x 14.2 mm
*1 特徴相関法:
指紋の模様に含まれる特徴点の相対的な繋がりを利用して、本人か他人かを識別する精度を、飛躍的に高くする方法。通常、特徴点 (隆線の端点や分岐点)だけでも十分な認識精度が得られるのに加え、特徴点相互間の相関を計算すると識別能力が高くなると同時に、指紋の歪みや、汗に影響を受けずに認識できる利点がある。*2 全反射方式:
ガラス板の中を映像が全反射しながら伝搬してCCDに結像させる方式。ガラスと空気 の境界で光が全反射する現象を利用しているので、光のロスがなくコントラストのよい画像を、しかも厚みが薄い光学系で読み取ることができる。
以 上
[登録商標]MMX, Pentiumは、インテル社の登録商標です。
Windowsは、米国マイクロソフトコーポレーションの米国及びその他の国における登録商標です。