[ PRESS RELEASE ] |

1997-0177
平成9年9月17日
富士通株式会社
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CPUコア内蔵ASICにも対応可能な
32ビットRISCプロセッサ「SPARCliteシリーズ」のラインナップ拡充
- 周波数、キャッシュ容量のバリエーションを充実-
当社はこのほど、SPARCアーキテクチャ準拠の機器組み込み用32ビットRISCプロセッサ「SPARClite」のMB86830シリーズに新たに、
- 高性能版「MB86832」の100MHz,80MHz,66MHz品
- 低価格版「MB86833」の66MHz品
- 従来から提供している「MB86831」の80MHz品
の5品種を追加し、9月17日より販売開始いたします。
本製品群は、周辺回路を内蔵した汎用チップおよび、ASICに内蔵することができるCPUコアとしての提供が可能です。
従来品の「MB86831(66MHz)」は、CPU内部を外部周波数よりも速い周波数で動作させる機能(クロック逓倍回路*1)、命令およびデータキャッシュ、スリープモード動作*2を内蔵し、低価格化、高性能化、低消費電力化を実現したことにより、デジタルスチィルカメラ、レーザビームプリンタ、ナビゲーションシステムなどでご好評いただいております。これらの用途のみならずセットトップボックス、PDAなどマルチメディア機器の応用分野が多様化するにともない、「SPARClite」においても、さまざまな用途にあわせた周波数、キャッシュ容量の要求が高まってきており、そのニーズに対応するため、本製品群を開発いたしました。
【新製品の主な特長】
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・高性能版「MB86832」 |
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命令キャッシュ、データキャッシュともに8KB
DSU(デバッグサポートユニット)を内蔵し、100MHz品で価格
性能比で業界最高クラスの性能121VAX MIPSを実現
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・低価格版「MB86833」 |
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命令キャッシュ、データキャッシュともに1KB
小型・薄型のパッケージ(20mm×20mm×1.7mm)
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- 「MB86831」と「MB86832」はパッケージのピン互換を実現しており、キャッシュ容量増強版や内部動作周波数高速版へのアップグレードが容易に可能。
- 各CPUコアはハードマクロとしてお客様のASICに取り込んで使用でき、よりいっそうの低価格化、サイズの縮小化を実現したシステムLSIの設計が可能。(VSI準拠*3)
本シリーズではMB86831の100MHz版も製品化する予定であり、さらなる周波数アップやキャッシュの大容量化を図り、さまざまなご要望にお応えしてまいります。
【量産価格】 |
(月1万個あたり)
MB86831-80MHz:1,500円
MB86832-100MHz:2,100円
MB86833-66MHz:950円
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【出荷時期】 |
サンプル:即日
量産:11月 |
【販売目標】 |
MB86830シリーズ全体で、今年度末に50万個/月を見込んでおります。 |
【主な製品概要】
- SPARCアーキテクチャ準拠
高性能ワークステーションで実績のあるSPARCアーキテクチャVer.8E(Embedded Version)に準拠。従来のSPARC、SPARCliteとソフトウェアの互換性があります。
- ニーズに合わせて選べる提供形態
周辺リソースのDRAMコントローラと割り込みコントローラを内蔵した汎用品とCPUコアハードマクロとしてASIC(CE61シリーズエンベデッドアレイ)を構築する二つのソリューションを提供。
ASIC設計をする場合、CPUコアは、開発に必要なCPU動作モデル(Verilog-HDL)にて記述されたシミュレーションライブラリとして提供され、CE61シリーズのシミュレーションライブラリとともに使用していただくことができます。また、周辺リソースはCE61シリーズセルライブラリを使用したソフトマクロとして提供されます。特にDSUは、10本のICEインタフェース専用信号を確保することにより、ASICに組み込まれたCPUでも、PCトレースやブレークポイント設定、ステップ実行などのICE機能を実現可能にします。
- 従来製品との互換性
従来品のMB86831-66とMB86832はピン互換であり、アップグレードが容易にできます。たとえば、外部バス周波数33MHz、内部動作周波数66MHz(×2倍モード)で使用していたシステムにおいて大容量キャッシュ版であるMB86832に置き換えることやさらに内部動作周波数を100MHz(×3クロック逓倍モード)にすることにより容易にシステム性能の向上が可能となります。
また、命令セットおよびパイプラインの各段での処理が従来のMB86930シリーズと同一であり、ソフトウェアの開発ツールはそのまま使用することができます。
- さまざまなマルチメディア機器を実現する周辺機能を充実させ、システムLSIに対応すでに提供しているメディア処理専用プロセッサコア「MMA(Multi-Media Assist)」と「SPARClite」を組み合わせることで、音声・動画デコードを行いながら、グラフックス処理を同時に行うシステム設計の高速・高機能化が図れます。
また、短い開発期間で設計するために、モデム、FAX、MPEGなど各種マルチメディア機能をもったソフトウェアを通信・音声・画像の分野を中心にメディア・ライブラリとして充実させつつあります。
今後システムLSI化がすすむなかでよりいっそうの設計効率を向上させるために、社内外からIP(設計資産)の調達も積極的に行います。
- 豊富な実行環境、開発環境
当社製のリアルタイムOSはもちろんのこと、米ウィンドリバーシステムズ社の「VxWorks」をはじめ全世界で普及しているISV社製の製品はほとんどサポートしています。また、米ジャバソフト社のJavaOSのライセンスを取得し、マルチメディア機能をもったネットワーク情報機器分野への適用範囲の拡大を図ります。
お客様のシステム開発期間の短縮を支援するさまざまな開発環境(ソフト、ハード)も用意しております。
【添付資料】MB86830シリーズ製品仕様
- *1
- クロック逓倍回路
クロック逓倍回路を内蔵し、CPU内部を外部バスクロック周波数の×1、×2、×3、×4、×5で動作させることができます。CPUの内部は高速であっても外部のバスクロックは低速のままでシステムを構成することができるので、システムコストを低く抑えることができます。
- *2
- スリープモード
スリープモード(プログラムの再開可能な低消費電力モード)を内蔵しています。
スリープモード時にはWAKE-UP監視回路およびPLL以外は停止状態となります。DRAMコントローラもスリープモードでの停止直前でセルフリフレッシュ状態を指定します。
- *3
- VSI
Virtual Socket Interfaceの略。システム要素技術を実現する複数の機能マクロを簡単に短期間に1チップに組み込むことを目的とした、マクロの設計ルールやインタフェースの標準規格。96年9月に発足したVSI Allianceによって、検討/提案/実証が進められる。ver1.0が1997年3月に公開された。
* SPARCは、SPARC International,Inc.の米国における登録商標であり、SUN Microsystems,Inc.により開発された技術に基づくものです。
* SPARCliteは、SPARC International,Inc. の米国における商標であり、Fujitsu Microelectronics,Inc.がその独占使用を許可されているものです。
以上
プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。