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1997-0173
平成9年9月16日
富士通株式会社

超高画質MVA液晶ディスプレイを開発

〜業界初のラビングレス新配向技術で視野角と量産性を大幅に改善〜

ekishou

当社はこのほど、TFT-LCD用パネル技術として表示性能と量産性を大幅に改善するMVA(Multi-domain Vertical Alignment) 液晶ディスプレイパネルを開発いたしました。
本技術は、VA液晶の配向分割化を業界で初めての新ラビングレス方式を採用し、業界一の視野角, 応答速度を実現しつつ、さらに量産性も大幅に向上させたものです。

本MVAパネルでは、従来のTNパネルに比べて視野角で約4倍の160度(上下左右)と、CRT並の表示品位を実現させることに成功しました。また、他の特性についても当社で開発済のVAパネルと同等であり、従来のTN方式のパネルに比べてコントラスト3倍(最大比300以上),応答速度2倍(25ミリ秒以下)という特長を受け継いでおります。
これは、従来のTNパネルの構成(*1)と異なり、垂直配向膜と負の誘電異方性を有するネガ型液晶とを組み合わせたものです。電圧オフ時に液晶分子を基板面に対してほぼ垂直に配向させ、その両側に偏光板を貼り合わせた構成となっているため、パネル正面から見た電圧オフ時の黒レベルが、光学的に偏光板のクロスの特性と同等となり、極めて高いコントラストと広い視野角が得られます。

また、今回開発したMVAパネルでは、1液晶分子の配列する向きを決めるための制御を従来のラビング(基板上の配向膜を布でこする方法)などで行わずに、独自に考案したTFT基板とカラーフィルタ基板に設けた突起により、自動的に行う方式の採用、2極めて広い視野角が得られ、見る角度によって色変化のない四方向の配向制御技術の採用、3光学シミュレーションによる液晶パネルパラメータの最適化、を図っております。
これにより、従来課題とされていた、配向制御プロセスの不安定性を解決するとともに、ラビングなどの配向膜表面への物理的な処理が不要になるため、極めて高い量産性と液晶や配向膜の汚染のない高い信頼性を実現しました。

本MVAパネルは、高品位の表示が要求される卓上モニタなどに最適で、CRT並の表示品質でオフィスの省スペース化を図ることができます。
当社では、本技術について大型モニタ用TFT-LCDへの応用を進め、本年10月から15.0型(38cm)の量産出荷を予定しております。
また、今後ノートPC用TFT-LCDへの製品展開も順次図ってまいります。

なお、本技術の成果は、10月6日から千葉市・幕張メッセで開催されるエレクトロニクス・ショウで展示する予定です。

【MVAパネルの表示性能】

項目 MVAパネル TNパネル(従来品)
・視野角(CR>10) 上下方向; 160°以上
左右方向; 160°以上
(上下左右完全対称)
上下方向; 45°
左右方向; 80°
(上下左右非対称)
・最大コントラスト比(正面) 300 以上 100
・応答速度 25ms以下 50ms

*1)
TNパネルの構成 :従来の液晶パネル技術で水平配向膜と正の誘電異方性を有するポジ型液晶とを組み合わせたもので、電圧オフ時に上下基板間に入れた液晶分子を基板面に対しほぼ平行で、90°ねじらせて配向させ、その両側に偏光板を貼り合わせた構成。

以 上


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