[商品概要]
クラシック音楽CD[富士通Festoso シリーズ]
- コンピュータがその道具として用いられている音楽制作
現在私たちが普段耳にする音楽、例えばTVから流れてくるCMソングにしても、あるいは、電車の発車ベルの代わりに駅のホームで流れる音楽にしても、大部分の音楽はそのなんらかの制作過程でコンピュータがすでにその道具として用いられています。
「シーケンスソフト」と呼ばれる、音楽データを入力、編集、そして自動演奏機能を持つソフトの出現によって、今やヒットチャート上位に並ぶポップス/ダンスミュージックなどの楽曲のほとんどがこういったパソコンを駆使して制作されていると言っても過言ではありません。
とは言っても、そこで制作されている音楽が機械によって勝手に創作されているということでは決してなく、あくまでも人間の指示によって人間の創作した人間の解釈による演奏を奏でているだけにすぎません。
しかし、唯一クラシック音楽の世界では、その楽曲制作や演奏の過程においてパソコンを用いている現実はほとんどあり得ませんでした。
- クラシック音楽に接する場合の3つの楽しみ
クラシック音楽を楽しむ場合、その立場によって大きく3つの場合が存在します。
1つは音楽を創作する楽しみ。2つ目は音楽を演奏する楽しみ。そして3つ目は音楽を鑑賞する楽しみです。ところが 1番目の創作する楽しみを味わうことのできる人は、ベートーヴェンやモーツァルトといった、いわゆる作曲家と呼ばれている人たちです。
2番目の演奏する楽しみを味わうことのできる人というのは、オーケストラの団員や指揮者がそれにあたります。がしかし、全人口から見ればこういった作曲家や指揮者としての楽しみを味わっている人というのはほんの一握りにすぎません。すなわち、ほとんど大部分の人は、この3番目の鑑賞する立場でのみクラシック音楽の楽しみを味わっていると言っていいでしょう。
ところが、その中には自分自身の解釈によって、自分の思うがままに、自分だけの色付けをしながら楽曲を創り上げて演奏させてみたい、という願いを抱いている方が多いのもまた事実です。
- 鑑賞するだけの楽しみから創作する楽しみへ 〜富士通オーケストラシミュレーションシステム〜
当社ではそんな「夢をかたちに」するために、およそ 4年前から「富士通オーケストラシミュレーションシステム」という、パソコンを用いて本格的なオーケストラ演奏をシミュレートするシステムを構築してまいりました。いわゆる「コンピュータミュージック」による演奏ではありますが、その言葉から連想される「電子音」「ピコピコサウンド」「ゲームミュージック」といったイメージを抱くような音楽を奏でるものでは決してなく、この「富士通オーケストラシミュレーションシステム」は、本格的なフルオーケストラ演奏を可能としています。あたかも自分自身がオーケストラの指揮者になったように、楽曲のテンポや各パート、あるいは個人ごとの強弱変化、アーティキレーションを、自分自身の解釈によって表情付けしていくことができるのです。
従って前述したように、これは機械が勝手に自動演奏しているのでは決してなく、あくまでも人間の指示によって人間の解釈によって演奏するものなのです。指揮者がオーケストラの団員を駒として、自分の音楽を創り上げるのと同じように、パソコンを駒としてひとつの道具として、自分の音楽を創り上げていくことができるのです。
- コンサートホールの響きを尊重
さて昨年2月、この「富士通オーケストラシミュレーションシステム」を、愛知県芸術劇場コンサートホールに持ち込み、本格的なフルオーケストラ演奏によるレコーディングを実施いたしました。
人間によってあらかじめ解釈/表情付けされた楽曲の、MIDIデータと呼ばれる演奏情報が、1台のパソコンからおよそ30台の音源モジュールに 1秒間あたり31,250ビットという転送速度により送られます。
個々の音源モジュールはパート単位でその役割が決められており、その演奏情報を受け取ると実際の楽器の音を発音しますが、これが時間軸の流れにそって連続的に実行されると、音楽として聴こえるわけです。
音源モジュールから発せられた音楽は、ステージ上にそのオーケストラ配置と同じように並べられた30〜40個あまりのスピーカーから出力されます。
この時、客席にいる人間が認識する音は、ただ単にスピーカーから出力されるダイレクトな音ではなく、このコンサートホールの響き(残響感)を含んだ音として聞こえてきます。この「響き」が非常に大切で、この愛知県芸術劇場コンサートホールを使用した理由もここにあります。このコンサートホールはその響きの面でも高く評価され、数多くの来日オーケストラが利用するコンサートホールでもあります。
通常のスタジオ内でライン録りによるレコーディングもできる中、敢えてこのようなコンサートホールを使用するのは、コンピュータ技術だけでは再現できない、自然の響きをも含んだ形での作品を創作したいからです。
- 音の数はなんと30万個以上
今回演奏/収録した楽曲は、マーラー作曲/交響曲第1番「巨人」とサンサーンス作曲/交響曲第3番「オルガン付き」の2曲です。マーラーの「巨人」はオーケストラの編成的にもその演奏技術的にも大曲として知られ、人間オーケストラが演奏する場合でも、完璧な演奏をするにはなかなか難しいとされ、解釈的にもマーラーのその人間性を表現するにはかなりの表現力が求められます。サンサーンスの「オルガン付き」は、編成上パイプオルガンが加わる楽曲として有名で、最終楽章のそのフィナーレでは、壮大なオーケストレーションとパイプオルガンの荘厳な響きが聴衆に感動を呼び起こす楽曲でもあります。
この2曲の演奏データ、音の数はマーラーで約30万音。サンサーンスで約20万音あります。当社ではこの演奏データのコンピュータへの入力作業に約2年の月日を、さらに入力された演奏データに解釈/表情付けを加える作業に約半年を費やしました。
- 実際の生楽器をサンプリング
今回使用した音源モジュールのほとんどはサンプリング音源と呼ばれる種類の音源を用いています。いわゆる以前のシンセサイザーと呼ばれる人工的に波形(音色)を作り出すものではなく、実際に存在する音をマイクから収録し、それを内部メモリに蓄え、出力しますから、実際に聞こえてくる音もいわゆる電子音ではなく、本物の楽器の音が聞こえてくるというわけです。
- 最新の録音技術を用いての収録 〜24-bit フォーマットレコーディング 〜
これらのフルオーケストラ演奏のレコーディングと数々のオーディオ・シミュレーションに関して、その基幹を成す技術がヒトの聴感覚を考慮した高忠実度オーディオ再生技術と、CDなどの音楽パッケージの音の質を左右する録音技術で、24ビットフォーマットレコーディングシステムで、これを捉えます。
最新のテクノロジーが、よりヒューマンで新感覚の音楽を提供できるかが今回の最大のテーマでありました。
- データ入力から完成までの流れ
- パソコンに約20万〜30万音の演奏MIDIデータをリアルタイム入力。
(実際に楽譜を見ながら、鍵盤を弾いて全ての音を入力)
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- 入力された演奏データに対し、テンポ変化の情報、各パートごとの強弱変化の情報、メロディなどのアーティキレーションの変化情報を付加。
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- 実際に音を出すサンプリング音源に対し、アコースティック楽器の1音1音を発音し、デジタル化しその音色を取り込む。
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- 実際のコンサートホールに、オーケストラ配置と同じようにスピーカーを多数並べ演奏、コンサートホールの響きも含んだ形で、現代の最先端レコーディング技術を用いて収録。(56チャンネル/マルチテープによりレコーディング)
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- 最終的にスタジオ内にて、2トラックダウン。CD商品化。
- この収録された楽曲を[富士通Festoso シリーズ]として発売
このようにして創作/演奏/収録された楽曲を、クラシック音楽CD[富士通Festoso シリーズ](VOL.1のみはCD-EXTRA) として、「finfin」レーベルより4月23日(水)リリースいたします。
以 上