[ PRESS RELEASE ] |
![]() 1997-0044 平成9年3月3日 富士通株式会社 |
化合物半導体ビジネスは、衛星通信、大容量光通信、無線通信など基幹通信向けのガリウムひ素(GaAs)FETや発光・受光素子を中心に発展してまいりました。近年では、移動体通信、インターネットなどの利用拡大にともない、携帯電話向けのGaAs MMICや加入者系光通信システム向けのレーザダイオードなどの高速ネットワーク用製品が急速な勢いで伸びており、化合物半導体市場は今後とも年率 2ケタ以上の成長が見込まれています。また、商品のライフはさらに短くなっており、お客様からの開発期間の短縮、コストダウンに対する要求はますます高まっております。
当社は化合物半導体分野において、世界をリードする技術力、世界市場でのトップシェアの実績、世界最大の高速ネットワーク用デバイスの量産工場をベースとして、今回の開発・製造・販売の統合化により、今後はさらに、ライフの短い製品への対応と、より一層の事業体質の強化をめざしてまいります。また、世界の市場ニーズに迅速に対応できるよう、国内はもとより、アメリカ、欧州(イギリス)、アジア(シンガポール)の販売・開発拠点も強化し、新規市場の開拓に積極的に取り組んでまいります。
事業統合化のため、現在、FQD(山梨県)の敷地内に開発棟を建設しており、完成後、富士通より化合物半導体事業部を移転させ、開発と製造を集結いたします。また、東京をはじめとして営業体制を強化し、FQDは製販一体の化合物半導体の専門企業として新たにスタートいたします。
これにより、10月以降の新FQDは、97年度には従業員 1,300名体制、売上高 500億円程度を見込んでおり、さらに2001年には1,000億円をめざしております。
【当社の化合物半導体事業への取り組み】
1973年に世界初のGaAs-FETを開発し、1976年に実用化を行って以来、化合物半導体の開発・製造に注力してきました。1979年にはHEMT(高電子移動度トランジスタ)を世界で初めて発明し、衛星放送受信用のパラボラアンテナなどに広く使われております。
1984年には化合物半導体の一貫製造会社として富士通カンタムデバイス株式会社[FQD]を設立するとともに、1991年にはFQD内に世界最大規模のGaAsウェーハプロセス工場を竣工し、時代の最先端をリードするデバイスを開発・供給しております。
主な製品として、
【用語説明】
化合物半導体 | : | SiやGeなど単体の元素で構成した半導体と異なり、ガリウムとひ素など複数の元素からなる半導体をさす。電子移動度が大きく高速デバイスに適しており、また発光効率が高く波長が設計できるので光通信用デバイスにも適しており、いずれもシリコンでは実現できない特長である。 |
ガリウムひ素 | : | 化合物半導体の一種で、シリコンなどに比べ、電子の移動度が著しく大きく、高速かつ、低消費電力などの特性が得られる。また、発光特性も優れている。 |
FET | : | 電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor)の略。化合物半導体FETは高周波帯で電力効率が良い、雑音指数が低いなどの特長がある。 |
MMIC | : | Monolithic Microwave ICの略。一つのチップ上に複数のFETとマイクロ波回路を構成したデバイスで、多機能で小型化が図れるのが特長である。 |
レーザダイオード | : | 主にガリウムひ素、インジウムリンなどで構成する。電流を流すことによりレーザ発振を起こさせ、チップの両端からレーザ光を発光する。高速な電気信号を光信号に変換する機能を持ち、光通信システムのキーデバイスである。 |
以上