[ PRESS RELEASE ] fujitsu-logo
1997-0115
平成9年6月6日
富士通株式会社

GSM携帯電話機用ガリウムひ素パワーアンプMMIC新発売

- 世界で初めて、電源スイッチトランジスタなど不要にし小型軽量を実現-

当社はこのほど、世界で初めて、電源スイッチトランジスタや負電圧発生用ICなど制御用の外部部品が不要のガリウムひ素(GaAs)パワーアンプMMICを開発いたしました。その製品の第一弾として、欧州のデジタル携帯電話の方式であるGSM用のGaAsパワーアンプ「FMM5514ZE」を製品化し、6月6日より販売開始いたします。

近年、携帯電話は機器の小型化/軽量化/低価格化とともに急速に普及しつつあります。これにともない、機器の内部に使われるICも小型化/軽量化/低価格化が求められておりますが、GSMのパワーアンプには、従来、シリコンを用いたモジュールタイプが一般的に使われており、小型化/低価格化には制限がありました。

このような要求に対応し、従来は困難とされていた電流を完全に遮断する技術(完全エンハンスメントモード動作(*1)) を採用することにより、GaAsパワーアンプでは初めて、電源スイッチトランジスタや負電圧発生用ICが不要のMMIC(*2)を開発いたしました。
これらの制御用外部部品を削減することにより、低価格化が図れ、携帯電話端末機設計におけるRF(*3)部のコストダウンに寄与いたします。また、5.0mm x 5.5mm x 1.1mmのSSOP-16ピン相当の小型プラスティックパッケージを採用しており、モジュールタイプと比べて、実装面積約1/5、体積約1/10、重量約1/5を実現し、小型化/軽量化を図りました。

今後は、日本のPDC/PHS 用、米国のAMPS用のパワーアンプにも、この技術による小型・軽量の製品展開を行い、高周波, 低電圧の応用分野における差別化製品の開発を進め、デジタル携帯電話市場向けのラインナップの充実を図ってまいります。

なお、本製品は6月9日より米国デンバーで開催されるIEEE MTT-S International Microwave Symposiumにて、報告いたします。

【サンプル価格】800円
【出荷時期】サンプル出荷:97年6月 量産出荷:97年8月
【販売目標】150万個/月

[主な特長]

従来困難と考えられていたパワーGaAsFET の完全エンハンスメントモード動作により、シリコンモジュールに相当する機能を、小型MMICにて実現いたしました。

  1. 制御端子電圧によりドレイン電流の遮断が可能
    従来必要であった制御用外部ドレインスイッチMOSFETが不要。

  2. 同制御端子電圧により70dB(1000万倍)以上の電力制御が可能
    端子電流が小さく、シリコンLSI からの直接制御可能なため、パストランジスタ等が不要。

  3. 正電圧のみによる動作が可能
    負電圧発生用DC/DCコンバータICが不要。

  4. 専用小型高性能プラスティックパッケージ(ZE)を使用
    SSOP-16ピン相当の大きさで、放熱性を重視した超低熱抵抗設計、低コストを実現。

【主な仕様】

周波数890-915MHz
電源電圧4.8V
出力35.0dBm以上
利得32.0dB以上
利得制御幅70.0dB以上(制御端子電圧 0.2-3.5V)
効率45%(標準)
パッケージZE(5.0 x 5.5mm 厚さ1.1mm モールド部)

*1
完全エンハンスメントモード:
正電圧のバイアスにより動作するFET で、特に、ドレイン電流を遮断できる特長を「完全」と称した。

*2
MMIC:
Microwave Monolithic Integrated Circuitの略。一つのチップ上に複数のFET(電界効果トランジスタ)とマイクロ波回路を構成したデバイスで、多機能で小型化が図れるのが特長。

*3
RF:
Radio Frequencyの略。無線周波数のことで、500MHzから1GHzくらいの帯域をさし、この信号が入力されてくるところをRF部と呼ぶ。

以 上


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。