【WinMOPAC V1.0の特徴】

(1)
MOPAC93の計算機能を完全にパソコンで提供
ワークステーションやスーパーコンピュータで計算されていた半経験的分子軌道計算プログラム「MOPAC93」の計算プログラムをパソコンのプラットフォームに移植いたしました。またパソコンで大きな分子(100原子(水素原子を除く))が計算できるように、メモリの利用を最適化するダイナミックメモリ機能の利用により、パソコン環境で分子軌道計算が可能となりました。

(2)
高精細・高速なグラフィック表示
「WinMOPACV1.0」は入力された分子構造のデータを元に、分子内の電子の軌道や密度分布などを計算し、電子の様子を三次元で表示します。この三次元グラフィカル表示には(株)富士通研究所が開発した専用のグラフィックソフト「XMO」(*3)を組み込んでおり、高速に分子軌道や電子密度分布などを表示できるようにしました。また、グラフィックライブラリ「OpenGL(*4)」を採用することにより、高精細なグラフィック表示を実現するとともに、表示結果をファイルに保存・再利用できます。

(3)
他システムとの容易な連携
WinMOPAC V1.0は入力ファイルとして、Z-matrixファイル形式(*5)を標準として採用しているため、他の分子設計プログラム(*6)(Chem3D Pro,Hyperchem,CAChe,FreeWheel等)との容易なデータの連携を可能としています。

(*1)双極子モーメント
分子内のマイナスの電荷重心からプラスの電荷重心に向けたベクトル量。
これが大きいと電場がかかったとき、分子が配向(分子の向き)を変える。
(*2)半経験的分子軌道計算プログラム
分子内における電子の軌道を計算する式に、実験値を再現するようなパラメータを適用した分子軌道の計算方法。これにより計算時間を大幅に短縮できる。またこのようなパラメータを導入せず、量子化学におけるシュレジンガの波動方程式をそのまま解く場合は、非経験的分子軌道計算と呼ばれ、大きな分子への適用は膨大な計算時間がかかり、現状では小さな分子で利用されている。
(*3)XMO
(株)富士通研究所が開発した分子軌道の可視化ツールとしてWSで開発されたソフトウェア。従来のツールと比して、10倍〜30倍の高速化を実現(富士通の比較結果)している。
(*4)OpenGL
米国Silicon Graphics社(SGI)が開発した本格的三次元グラフィックライブラリ。
SGIのワークステーションはもちろんWindows95,WindowsNTでも利用が可能。
(*5)Z-matrix:
分子の構造(分子内の位置)を距離、角度、二面体角で定義する形式。
分子軌道計算プログラムではこの形式が標準的に用いられている。
(*6)分子設計プログラム:
分子構造データをGUIの操作により生成したり、計算結果をグラフィカルに表示する分子モデリングソフト

以 上