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1996-0188
平成8年10月29日
株式会社富士通研究所
富士通株式会社

画像追跡処理の新システム「カラートラッキングビジョン」を開発

-- 新開発専用LSIにより演算速度を従来比約3倍に --

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株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市、社長佐藤繁)と富士通株式会社は、新開発の動き追跡プロセッサを搭載した高速・高機能かつコンパクトな追跡処理システム「カラートラッキングビジョン」を開発しました。

テレビカメラが捕らえた人物など特定の目標をリアルタイムに追跡する動画像処理技術は、侵入者の自動監視や歩行者・車の流量計測、さらにはジェスチャ・表情の認識などいろいろな分野への応用が期待されている技術です。富士通では、これまでにモノクロ画像での追跡処理システム「トラッキングビジョン」を開発、提供してまいりました。

今回新たに開発した「カラートラッキングビジョン」は、カラー情報を用いた相関演算(*1)に基づいて、特定の目標がどちらに動いたかをリアルタイムに計算することができます。独自開発の動き追跡プロセッサ「ACP」(*2)を搭載し、処理の高速化を図ると同時に回路規模を大幅に削減、低価格化を図りました。また、カラー画像への対応を行ない、色情報に着眼した追跡も可能としました。産業用のボードとパソコン用のボードの 2種類を開発しましたので、用途に応じて使い分けることができます。
特に、新開発の動き追跡プロセッサACP により、モノクロ画像に対して3倍の演算量を有するRGBカラー画像処理を、1/2の回路規模、同程度の処理速度で実現しました(当社比)。

本システムの特長は以下の通りです。

●カラー画像対応(*3)
従来のモノクロ画像での追跡処理に加え、新開発の動き追跡プロセッサACPにより、RGBカラー画像による追跡処理を可能としました。

●高速処理
従来版の約3倍の処理速度を有し、500個以上の目標物を1/30秒周期(*4)で追跡することが可能です(モノクロ処理時)。

●1ボード化
画像処理ボードは、従来はプリント板2枚であったものを、1枚で構成しました。これによりシステム全体が小型・低価格となりました。

●2種類のバス規格
産業用のVMEバス規格のボードと、パソコン用のPCIバス規格のボードの2種類を開発しました。PCIバス規格のものは、DOS/Vパソコンの本体にスロットインすることが可能です。

本システムは、小型かつリアルタイムな画像追跡処理を実現できるシステムであり、道路交通の監視、建物の保安管理、自動車の運転補助など、実社会でのさまざまな場面で活用することができます。
なお、本内容は11月1日に新潟大学で行われる日本ロボット学会にて発表いたします。
また、本システムは来春提供を開始する予定です。

*1) 相関演算:
動きを追跡する対象画像と入力された画像とを比較することで、最も類似したところを求め、対象がどの方向にどれだけ動いたかを演算するします。
*2) 動き追跡プロセッサACP:
Advanced Correlation Processor
*3) カラー画像対応:
従来は、モノクロ画像のパターンの類似性を使って処理してまいりました。その場合、たとえば似たような形状の黒い物体と赤い物体の区別が付きにくかったものを、カラー画像における色の情報を用いることで、明確に区別し、安定して追跡することができるようになりました。
*4) 1/30秒周期:
現在国内でテレビ等に使用されている映像信号のほとんどは、NTSC方式と呼ばれるもので、1秒間に30枚の映像を送ってくるものです。この画像転送周期で処理を行うことで、リアルタイムに追跡処理することが可能となります。


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