[ PRESS RELEASE ] |

1996-0211
平成8年11月14日
富士通株式会社
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IEEE1394規格* 準拠の高速シリアルバスコントローラを発売
〜PHYレイヤとLINKレイヤをワンチップに集積〜
当社はこのほど、富士通ヴィエルエスアイ株式会社(本社:愛知県春日井市、代表取締役社長:羽仁 利幸)と共同で、IEEE1394規格に準拠した高速シリアルバスコントローラ「MB86611」を開発し、11月14日から販売を開始いたします。
近年、コンピュータの高速化に伴い、画像/音声などのマルチメディアデータのリアルタイム処理が可能になってきています。IEEE1394規格は、マルチメディア時代の周辺装置インタフェースとして1995年に規格化されたもので、家庭用のAV(音声/画像)機器とパソコン,周辺機器の間での音声/画像データなどのマルチメディアデータのやりとりに適しているため、今後、AV機器メーカ,パソコンメーカへの普及が期待されております。
こうした背景から、当社はIEEE1394インタフェースのデータのやりとり(プロトコル)を制御するLSI「MB86611」を開発いたしました。
本製品は、IEEE1394規格のPHYレイヤ(フィジカルレイヤ:物理層)*,およびLINKレイヤ(リンクレイヤ:リンク層)*の機能をワンチップに集積しており、実装面積の縮小,低消費電力化を図っております。
PHYレイヤ部では、差動トランシーバ/コンパレータ*を内蔵し、100メガビット/秒のデータ転送速度をサポートしており、2つの1394ポートを搭載しています。
また、主に画像データの転送に使用されるIsochronous* 転送用には、専用のポートを持っており、動画データなどの転送の連続性を保つ処理に適しています。
さらに、DVC(デジタルビデオカメラ)モードに必要なレジスタ群や自動機能を備えているため、DVCでのIEEE1394インタフェースを利用する各種機器にご利用いただけます。
【サンプル価格】 | 2000円 |
【販売目標】 | 10万個/月(量産時) |
【出荷時期】 | ES:11月14日から 量産:97年3月から |
[MB86611の主な特長]
- IEEE1394規格に準拠
- PHYレイヤおよびLINKレイヤをワンチップに集積
本製品は、IEEE1394のPHYレイヤとLINKレイヤの機能をワンチップに集積しており、部品点数の削減ができ、機器の小型化が図れます。
- Isochronous転送専用のポートを搭載
本製品は、画像/音声データなどの送受信に使用されるIsochronous転送用に、データ処理LSIとのやりとりをおこなうための専用のポートを搭載しています。
Asynchronous*転送用システムポートと分離することにより、AV機器への応用が容易に実現できます。
- AVプロトコル*の実現をサポート
本製品は、上位プロトコルであるAVプロトコルのDVCモードの実現の為に必要な、プラグレジスタやCSRを内蔵しており、また、CIPヘッダの自動生成/自動分離をおこないます。
また、送信時にはタイムスタンプを自動印可し、受信時にはタイムスタンプより、システム同期信号を生成することができます。
- 省電力モードの搭載
本製品は、MPUからの命令により強制スリープが可能です。
また、各1394ポートの接続状態を監視し、非接続ポートの自動スリープを行う機能を有しているため、システムの消費電力の削減に適しています。
[主な仕様]
・PHYレイヤ、LINKレイヤ対応 ・2ケーブルポート搭載 |
・1394インタフェース転送速度 | : | 100Mbps |
・基準システムクロック | : | 8.192MHz 内蔵PLLによる逓倍 |
・Iso専用ポート転送速度 | : | 16Mバイト/秒 |
・MPU/DMA共通バス | : | 16ビット幅、80系/68系に対応 アドレスマルチプレクス/ノンマルチプレクス 選択可能 |
・電源電圧 | : | 3.3V単一電源 |
・パッケージ | : | SQFP100ピン |
[用語説明]
- IEEE1394規格
IEEE1394は、マルチメディア用途に向くシリアルインタフェースで、1995年にIEEEに承認された。100M/200M/400Mbpsの転送速度が規格化されており、動画や音声データを125マイクロ秒ごとに転送することを保証する機能(Isochronous転送)を持っている。符号化方式として、DS-Link方式を採用しているため、8B/10B符号化にくらべデータ転送効率が高い。また、ツリー上のトポロジーを形成し、新たな装置の接続や、取り除き時に自動的に構成を設定しなおす機能を備えている。
- PHYレイヤ(フィジカルレイヤ:物理層)
IEEE1394プロトコル層の最下層になる。シリアル信号の符号化方式と信号の電気的仕様、さらに、システム構成を自動設定する手順、バス使用権に関する調停手順、トラフィックの状態をバス全体に伝える手順が決められている。上位層にはリンク層がある。
- LINKレイヤ(リンクレイヤ:リンク層)
IEEE1394プロトコル層の物理層の上位に位置する。1394バス上で転送される各種パケットのフォーマットやエラーチェックの手法が定義されている。
上位層には、プロトコル層がある。
- 差動トランシーバ/コンパレータ
+線と-線の振幅差により、Hレベル,Lレベル,Zレベルを判断する。
トランシーバは、これらの信号を駆動する回路であり、コンパレータは、振幅差により、これらの信号レベルを検出する回路である。
- Isochronous転送/Asynchronous転送
IEEE1394規格で定義されている、2種類の転送機能。Asynchronous転送は、相手先装置に必ずデータを送信することだけを保証する転送機能。送信の遅延時間は保証されない。
通常のコンピュータ・データの転送や装置間のリモート制御データの転送に使用される。
Isochronous転送は、一定時間(125マイクロ秒) ごとに必ずデータ転送ができることを保証する転送機能。動画や音声などのデータは一定時間内に必要なデータを送れないと画像の動きが不安定になったり、音声がとぎれてしまうため、この転送機能を使用する。
マルチメディア転送に向いた転送機能であり、1394規格の特徴である。
- AVプロトコル
IEEE1394のプロトコル層のひとつ。1394インタフェースを使用した、デジタルビデオデータや、MPEG2フォーマットのデータの転送プロトコルが定義されている。
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