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報告書
1998年度(第99期)中間報告書

株主のみなさまへ - 第99期中間報告書 -

取締役会長 関澤義 (右側)
代表取締役社長 秋草直之 (左側)

平成10年度中間期の業績

ネットワーク化の進展により、ビジネスのグローバル化が進み、あらゆる産業分野で激しい企業間競争を引き起こしています。市場の変化を先取りし、企業間競争を勝ち抜くために、ネットワークやコンピュータを駆使するIT(インフォメーション・テクノロジ)の重要性はますます高まっており、IT産業は、中・長期的には最も成長が期待されております。
富士通グループは、日本をはじめ北米、欧州、アジアなどの世界各国で、ITをベースに、お客さまに最適なシステムを提供するソリューションビジネスを積極的に展開してまいりました。
しかし、当期においては、米国を中心とする海外市場には活発さがあったものの、長期化した国内経済の停滞による一般消費、民間設備投資の減少や世界的な半導体市況の低迷などにより、IT産業を取り巻く経営環境も極めて厳しい状況となり、当グループにおいてもその影響をまぬがれ得ませんでした。
この結果、当期の当社単独売上高は1兆4,188億円(前年同期比7%減)、経常利益は51億円(同88%減)、当期利益は69億円(同72%減)となりました。
また、連結売上高は2兆4,133億円(前年同期比7%増)となりましたが、これは海外が好調であったことと米国アムダール社を連結対象に加えたことなどによります。このうち、海外売上高は40%増の1兆465億円と増加し、売上高に占める比率も前年度の35%から43%に上昇しました。損益の面では、経常利益は215億円(同68%減)、当期利益は83億円(同45%減)となりました。

当中間期における富士通グループの状況

通信部門では、米国の光伝送システムを中心に海外での需要が旺盛でしたが、国内における通信事業会社各社の設備投資一巡による投資抑制などの影響を受けました。今後は、世界的に本格化するネットワークのブロードバンド(広帯域)化の流れに沿った次期通信システム需要への対応を強化し、国内をはじめ、北米、アジア、欧州でのビジネスを積極的に推進してまいります。
情報処理部門では、国内・海外ともにソフトウェア・サービスの需要が堅調に推移しました。また、海外においては、英国ICL社の業績が好調なことに加え、パソコンに内蔵される小型磁気ディスク装置の需要が拡大しました。引き続き、クライアントサーバシステムの世界市場に向けた拡販に努めるとともに、2000年問題対応やお客さまにおける最適なシステム構築などに積極的に対応してまいります。
電子デバイス部門では、DRAMの市場価格下落の影響を大きく受けたほか、ロジックICの需要が伸び悩みました。現在、汎用DRAM事業の縮小に伴う国内外の拠点整理を進めているほか、メディアデバイス事業の再編、補完関係にある他社との提携など、ビジネス構造の改革に取り組み収益性の向上を図っております。また、最先端を行くシステムLSI、世界一のシェアを誇るフラッシュメモリ、化合物半導体、PDPなど競争優位な事業分野への選択と集中を一層進めてまいります。

グループの総力をあげたトータルソリューションの推進

ネットワーク社会の進展は、個人のライフスタイルや企業のビジネススタイルをも変化させつつあります。この変化は、まだ緒についたばかりであり、今後ますます急速に、大幅に進展するものと思われ、当グループにとって大きなビジネスチャンスとなります。
当グループは、ネットワークシステム、情報処理システム、そしてこれらを支える電子デバイスといったハードウェアでは、世界トップレベルの技術力を有するとともに、世界に5万2千人の優秀なエンジニアを抱えるソフトウェア・サービスパワーが大切な財産となっております。これらの技術力を活かして、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを最適に組み合わせたトータルソリューションを提供できることが、当グループのアドバンテージであると考えております。
また、当グループはアムダール社、ICL社などをはじめ、北米、欧州、アジアなどに優良なカスタマベースを持つ有力な拠点を有し、世界各国で良質なソリューションビジネスを展開できる体制を確立しております。
こうした総合力を最大限に活用すると同時に、お客さまの視点で社会のニーズを先取りする「カスタマ・フォーカス」を一層徹底させ、ソリューションビジネスを積極的に推進することにより、この大きな変革の流れをリードしてまいります。

21世紀に向けたビジョン

21世紀に向けた中・長期的なビジョンとして、当グループは企業経営の指標となるさまざまな角度から高い企業価値を実現することを目標としてまいります。株主のみなさまに対しては先進技術を追求しつつ、それを確実に事業として成立させ、利益を伴った成長を続ける企業であることを目標としてまいります。また、お客さまに対しては当グループの優れたハードウェア、ソフトウェアという素材を活かした最適なソリューションを提供できる企業であること、社会に対しては豊かなネットワーク社会の実現に貢献する企業であること、そして従業員に対しては意欲にあふれる人材が高い目標に向けて積極的にチャレンジし、優れた成果を実現できるポジティブな企業風土を持つ企業であることを目標とし、その実現に向け積極的に取り組んでまいります。

この目標に向け、グループ一丸となって努力を続けることにより、成長性と収益性に優れた、IT産業における世界的なリーディングカンパニーをめざしてまいりますので、株主のみなさまには今後ともご支援を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

取締役会長
関澤義

代表取締役社長
秋草直之