PRESS RELEASE
2019年6月6日
富士通株式会社
(本資料は、Fujitsu EMEIAが発行したプレスリリースの抄訳です)
富士通とKongsberg Digital(コングスバーグ・デジタル)、
温室効果ガス排出低減に向けAIを活用した燃料最適化サービスを提供
ミュンヘン、2019年6月5日 - 富士通と海運や電力などの業界向けITサービスプロバイダーであるKongsberg Digital(本社:ノルウェー、President:Hege Skryseth)(注1)はこのたび、温室効果ガス排出低減に向けて、AIを活用した船舶燃料最適化(Vessel Fuel Optimization、以下、VFO)サービスを提供します。VFOサービスは、船主および運航事業者による大規模な出費を伴う船上機器の設置を必要とすることなく、海運事業者が大型船の燃料コストを削減し、新たな低硫黄燃料規制(注2)を遵守して温室効果ガス排出を減らすことを可能にします。
今日、船主および運航事業者は、世界およびEU規制当局による新たな低硫黄燃料規制を遵守するために、海運事業者にとって最大の運営コストである燃料コストの顕著な上昇に直面しています。海上輸送による温室効果ガスの排出量は膨大であり、さらに増加を続けています。現行の世界の燃料備蓄を、2020年1月から硫黄含有量0.5%以下とする国際海事機関が要求する新条件を満たす燃料に置き換えた場合、市場予測によると(注3)セクター全体で350億ドルのコスト増となるといわれています。
富士通とKongsberg Digitalはサービス提供に向けて協業を開始しており、VFOサービスはこの提携に基づいて提供される最初のサービスとなります。Kongsberg Digitalは、海運、石油・ガス、再生可能エネルギー・電力セクター向けITサービスのプロバイダーであり、このサービスは、Kongsberg Digitalが保有するプラットフォームであるKognifaiのポートフォリオの一部として提供される予定です。これにより、海運業界に対し、費用対効果の高いさまざまなサービスの提供が期待されています。
富士通およびKongsberg Digitalは、地球温暖化防止やコスト効率性の高い業務サービスの開発および提供によって、環境保全に貢献していきます。この共創の取り組みにより、最先端のAIおよびデータ分析技術における富士通の強みと、海運業界におけるKongsberg Digitalの幅広い専門知識と経験を活用して、費用対効果の高いサービスを提供します。
VFOサービスの概要
VFOサービスは、AIが船長による操船および船舶性能を学習し、これに風、波、海流といった気象および海象予報と組み合わせてエネルギー効率や、安全および収益性を最大化する最適航路を提案します。船長や陸上管理者が、計画時および航海中に更新された最適航路に従うことで、燃料節約に貢献します。
VFOサービスは、富士通研究所(注4)が最先端のAIおよびデータ分析技術に基づき開発した、自動船舶識別装置(Automatic Identification System)のオープンデータを活用した航路最適化ウェブアプリのプロトタイプです。センサーや船上機器を設置する必要がないため、幅広い船舶に対して利用可能なウェブアプリを提供します。また、船舶のエンジンログおよびセンサーデータといった、航海データ記録装置からのデータを活用したサービスも提供する予定です。
Fujitsu EMEIAのDigital Business Solutions責任者、Yves de Beauregardのコメント
海運業は新たな燃料に世界的に大きくシフトしようとしており、石炭から蒸気への変化に比較されてきました。当サービスは、燃料コストの節減と収益性維持に繋がるだけでなく、温室効果ガス排出の削減にも貢献します。
Kongsberg DigitalのMaritime Digital Solutions SVP、Vigleik Takle 氏のコメント
Kongsberg Digitalは海上運送セクターが直面する新たな燃料規制の遵守というプレッシャーに迅速に対応し、革新的な技術ソリューションをお客様に提供してきました。富士通はAIと高度な分析技術を保有し、船舶運用の効率を大きく向上させる機会を提供してくれるパートナーであると考え、協業を締結することとしました。VFOサービスは、本提携から派生する最初のソリューションであり、海運業界の幅広く重要なビジネス成果へ貢献することになるでしょう。
以上
注釈
- 注1 Kongsberg Digital:
- 海運、石油・ガス、再生可能エネルギー・電力業界の顧客に次世代のソフトウェアやデジタルソリューションを提供しています。IoT、スマートデータ、人工知能、海洋シミュレーション、自動・自律運行の分野で優れた能力を持つ500人以上のソフトウェア専門家で構成されています。Kongsberg Digitalは、グローバル企業であるKongsberg(OSE-ticker: KOG)の子会社で、Kongsbergは、石油・ガスや海洋、商船、軍事、航空宇宙産業の顧客にハイテクノロジーシステムとソリューションを提供しています。
- 注2 新たな低硫黄燃料規制:
- 船舶の燃料油に含まれる硫黄分濃度を0.5%以下とする国際的な規制強化を、2016年10月に開催された国際海事機関の海洋環境保護委員会で、2020年1月より開始すると決定しました。これは、硫黄酸化物や粒子状物質による人の健康や環境への悪影響をより低減するために、世界で実施されるものです。
- 注3 市場予測によると:
- 全世界の船舶輸送で毎年使用する、推定2億5,000万トンを超える燃料油が備蓄されています。そのおよそ65%から70%は、新しい0.5%硫黄標準を満たしておらず、すなわち1億6,500万トンから1億7,500万トンの燃料油を、1トンあたり180ドルから200ドル高となる、より高価な超低硫黄燃料油(Very Low Sulfur Fuel Oil、VLSFO)に置き換える必要があります。それは全セクターにおいておよそ350億の追加コストとなります。
出典:Sulfur 2020, the oil market and fuel prices: What does the future hold? - 注4 株式会社富士通研究所:
- 本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 古田英範。
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