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PRESS RELEASE

2018年10月23日
富士通株式会社

(本資料は、Fujitsu EMEIAが発行したプレスリリースの抄訳です。)

富士通、Royal Bank of ScotlandグループNatWestにおいて
「デジタルアニーラ」の実証実験を実施

金融ポートフォリオの組合せ最適化問題を高速に解決

Royal Bank of Scotland plc(RBS)のグループ銀行であるNational Westminster Bank Plc(以下、NatWest)は、富士通の、量子現象に着想を得た組合せ最適化問題を高速に解く計算機アーキテクチャー「デジタルアニーラ」を活用して、金融業界における課題の解決に向けた実証実験を行い、このほど完了しました。

金融機関では、リスクレベルを許容範囲に保ちながら、可能な限り最大のリターンをもたらすように、現金・債券および政府債券を含む流動性が高く信用度の高い資産を組み込むことが理想的ですが、数千もの選択肢から最適な資産ポートフォリオの作成および維持を行う課題に常に直面しています。流動資産は金融機関にとって最重要である一方、資産の組合せ最適化を行う計算は非常に複雑であり、コストや時間が膨大にかかるため、今までは頻繁に行うことはできませんでした。

富士通の「デジタルアニーラ」は、このような複雑な問題を高速に処理します。NatWestが「デジタルアニーラ」の利用を進めた結果、既存のコンピュータの約300倍(注1)のスピードで、より正確にこの組合せ最適化問題を計算することが可能になりました。

「デジタルアニーラ」を活用することにより、正確に、かつ人的ミスのリスクも低減させることが可能となります。NatWestは、同行のポートフォリオの包括的なリスク評価を高速に完了できるとともに、これまでと比較し、はるかに幅広い結果やポートフォリオの入れ替えができることで、確実に金利スプレッドを最適化しリスク低減に役立てることができます。

量子コンピューティングは現在、コンピューティング科学の最終目標と考えられていますが、現状の量子コンピュータはコスト面やエラー発生の面などから実社会の問題に適用するには課題があります。「デジタルアニーラ」は、複雑な組合せ最適化問題を正確かつ信頼性を持って解決することを得意としており、その処理能力は、より複雑な問題に対処するために拡大を続けている(注2)ため、将来的に完成が見込まれる量子コンピューティングへの橋渡しとして最適な技術と考えられます。

なお、「デジタルアニーラ」は、富士通および1QB Information Technologies Inc. (1QBit)からクラウドサービスとして提供されています。「デジタルアニーラ」は、量子および量子現象に着想を得たコンピューティングのためのソフトウェアの主要ベンダーである1QBitとの提携で開発されたソフトウェアが含まれています。

Fujitsu Fellow兼富士通EMEIAのCTO Joseph Regerのコメント

富士通は「デジタルアニーラ」を、あらゆる業界が直面する、現実世界における組合せ最適化問題の解決に向けて設計しました。「デジタルアニーラ」は、今日アクセス可能な先進かつパワフルなアクセラレーション技術であるデジタルアニーリング技術をお客様にご提供するため、依然として黎明期にある量子コンピュータから着想を得たものです。その結果、富士通の「デジタルアニーラ」は、労力を要する複雑な問題を非常に短時間で解決することができるものとなりました。これは、始まりでしかありません。「デジタルアニーラ」によって検証可能なシナリオには、実のところ限界はないのです。

NatWestイノベーション部門ディレクター Kevin Hanley氏のコメント

私たちは、量子コンピューティングが示す可能性に大いに期待をしています。私たちの最初の量子コンピューティングパワーの適用は非常に成功したと言えるでしょう。当行が日々直面する様々な計算および問題にこの技術を適用することが可能だと、私たちは考えています。長期的には、「デジタルアニーラ」は銀行業務を完全に変えて行くと考えています。銀行業務がはるかに効率よく、安価になることは、お客様がより優れた取引と向上したサービスから利益を得られることへとつながります。

以上

注釈

注1 約300倍:
本数値は、従来技術を用いたクラウドサービスと「デジタルアニーラ」について、HQLAポートフォリオを最適化して比較した結果に基づいています。
注2 拡大を続けている:
富士通は「デジタルアニーラ」の規模を、現行の1,024ビットから全結合の8,192ビットに拡大する予定であり、精度を16ビットから最高64ビットにまで引き上げます。これは、専用のプロセッサであるDAU(Digital Annealing Unit)を、富士通のプロセッサ開発技術および最新の先端CMOS技術を使用して開発することで達成されます。これにより富士通は、ますます規模が大型化する問題に取り組むためのアプリケーション開発が可能になります。

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