PRESS RELEASE
2018年4月11日
富士通株式会社
心臓の挙動を学習できる「Heart Explorer」を販売開始
精緻な3Dモデルの心臓を、自由に観察・分析し効率的な学習を実現
当社は、大学医学部などの医療・看護系の教育機関に向け、心臓の挙動を精緻に再現する心臓シミュレータ(注1)を活用して得られた心臓データを3Dモデルで観察・分析できるソフトウェア「FUJITSU ヘルスケアソリューション Heart Explorer(ハートエクスプローラー)」を、4月11日より販売開始します。
「Heart Explorer」は、スーパーコンピュータ「京」(注2)などを活用して研究開発を行ってきた心臓シミュレータの出力データを利用し、従来表現することが非常に困難とされていた心筋の動き、血流、興奮伝播(注3)、心電図などの心臓の挙動を観察・分析できます。心筋にかかる圧力などの物理的な値をグラフで表示し可視化する構造解析機能や、学習者自らが3Dモデルの視点や断面を自由に設定できるなど、体験しながら学習できるソフトウェア教材です。教材には、健康な心臓だけでなく、心筋梗塞などの症例ごとのコンテンツも用意し、心疾患についても学習できます。
また、3次元立体視ディスプレイなど「zSpace 200」(別売り)(注4)を用いたVirtual Reality技術(注5)(以下、VR)で、目視することが困難な心臓の立体構造や内部構造、心拍動などを360度立体的に観察し理解が進むようにデザインされています。
富士通は、これにより心臓および心疾患の効率的な学習を可能にするなど、医療技術・知識の向上に貢献します(注6)。
現在、心臓病は世界の先進各国における死因の上位(日本2位、米国1位)を占めており、様々な治療法、治療機器が日々、研究開発されています。治療法の確立だけでなく、医療・看護系の学生への心臓についての教育にも力がそそがれています。
心臓は体の中でも複雑な構造を持ち、心筋の複雑な動きや血流の動きを文献などで学ぶのは難しいとされています。従来は、教科書、クリエイターにより作成されたCG、3Dプリンターなどから造形された模型、解剖実習などで心臓の構造と基本的な機能を学習していたことから、拍動する心臓を学習できる教材が必要とされていました。
当社は、このような課題を解決するため、国立大学法人東京大学様との心臓シミュレータの共同研究の成果から得られた技術を取り入れ、「Heart Explorer」を開発しました。スーパーコンピュータ「京」などを活用して研究開発を行ってきた心臓シミュレータの出力データを利用し、心臓の拍動を精緻に再現します。 (注7) 「Heart Explorer」は、精緻に再現された心臓と可視化機能、解析機能で、効率的に学習できます。
「Heart Explorer」の特長
- 精緻な3Dモデルによる高い学習効果
学習者は視点や断面を自由に設定し、模型では困難な立体構造や内部構造、拍動、血流を3Dモデルで学ぶことができます。さらに可視化機能と解析機能を使うことにより、心筋から生じる力や、血流挙動、興奮伝播もグラフ表示を行い可視化できます。
心筋にかかる圧力などの物理的な値をグラフで可視化
拡大イメージ - 複数の学習要素を関連付けながら同時に学習
教科書や模型などを用いた教育では、心臓の示す心電図波形と興奮伝播の過程との関係を理解することが困難であると言われています。「Heart Explorer」は、シミュレータにより再現した体の表面に電極を設置し電圧を変化させて心電図を表示すると同時に、心臓内に興奮が伝播する様子を可視化することができ、両者の関係を関連付けして理解することができます。
心電図と興奮伝播の関係を学習
拡大イメージ - VR技術を用いた臨場感のある心臓の再現
心臓は、構造の奥行きや血液の流れを把握することが難しい臓器とされていますが、「zSpace 200」を用いたVR技術で、複雑な心臓の形状を立体的に把握することができます。また、4Kプロジェクターにつなぐことにより、大学の大教室での講義にも活用できます(注8)。
VR技術を用いた立体視のイメージ
拡大イメージ
販売価格、および出荷時期
製品名 | 販売価格(税別) | 出荷時期 |
---|---|---|
FUJITSU ヘルスケアソリューション Heart Explorer |
385万円 | 4月11日より |
FUJITSU ヘルスケアソリューション Heart Explorer アカデミック向け |
250万円 | 4月11日より |
販売目標
2020年度末までに140ライセンス(当社の決算期は3月末日です。)
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 心臓シミュレータ:
- 国立大学法人東京大学様と富士通株式会社の共同研究から生じた心臓を高精度にシミュレート可能なシミュレータ。心臓の挙動を高精度に再現するシミュレーションを行うことができる。
- 注2 スーパーコンピュータ「京」:
- 文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理化学研究所と当社が共同で開発を行い、2012年9月に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。
- 注3 興奮伝播:
- ペースメーカー細胞(心臓の拍動の頻度を調節する細胞)から電気刺激が心臓全体に伝わる現象。
- 注4 「zSpace 200」(別売り):
- zSpace株式会社が販売するVR用ディスプレイ
- 注5 Virtual Reality技術:
- 現物・実物(オリジナル)ではないが、3次元データを立体的に表示させることで、あたかもそこに存在し、現実体験のように感じられる環境を作りだす技術。
- 注6 :教育用途に使用いただける製品であるため、医療目的、診断目的に使用することはできません。
- 注7 :東京大学大学院新領域創成科学研究科杉浦清了元教授の監修を受けています。
- 注8 講義にも活用:
- 2017年9月12付当社プレスリリース「東京大学の医学部でVRを使った心臓シミュレータのビューアーを講義に活用 ~精緻に再現された心臓の挙動を立体視することで効率的な学習を実現~」
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