PRESS RELEASE (導入事例)
2017年11月9日
富士通株式会社
株式会社富士通総研
長野県において生徒の学習データを活用した新たな学びを創造する実証研究を開始
見える化した学習の過程から新たな指導や評価を実施
富士通株式会社(注1)(以下 富士通)と株式会社富士通総研(注2)(以下 富士通総研)は、長野県教育委員会(注3)様の協力のもと、新たな学びをICTで創造する実証研究を2018年3月末まで行います。
本実証研究では、生徒はタブレット端末などを用い、学習履歴の管理などが行える教員支援ツール「FUJITSU 文教ソリューション K-12 学習情報活用 知恵たま」(以下、知恵たま)と、クラウド型デジタル教材「デジタルワークシート」をICTツールとして活用することで、生徒ごとの学習データを収集します。今回、地域経済分析システム(以下、RESAS)(注4)で公開されている統計データなどを利用しながら、生徒が自ら地域の課題を発見し、課題解決に向けた施策を検討していく、RESASを活用した探究学習(注5)の授業を対象に、探究学習の過程を見える化するためのデータを収集することで、生徒一人ひとりの成長を支え可能性を伸ばす「学習・指導モデル」と「学習評価モデル」を構築していきます。
まずは、長野県松本県ヶ丘高等学校(注6)と長野県長野高等学校(注7)にて本実証研究を行い、収集・分析したデータによるエビデンスに基づいた教育の効果を検証していきます。
背景
文部科学省は、次期学習指導要領において、子供たち一人ひとりに求められる資質・能力として、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力・人間性等」の3つの柱を示し、バランスよく育むことが重要だとしています。
「知識・技能」はテストなどである程度把握することができますが、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力・人間性等」は、測定することが難しい見えない学力とされています。この見えない学力を育むためには、試行錯誤を繰り返しながら主体的かつ対話的に深い学びを実現することが重要とされ、生徒ごとの学びの過程を評価し、個別に指導することが求められます。
長野県教育委員会様では次期学習指導要領に対応し、長野県立高校の生徒が主体性を持って学力向上に取り組む学びの改革を推進してきました。本実証研究では、教員が何十人もの生徒の多様な学びの過程を把握するためにICTを活用し、生徒一人ひとりの学習データを収集・分析し、学びの過程を見える化することで、客観的なエビデンスに基づいた指導ができる「学習・指導モデル」と「学習評価モデル」の具現化を進めていきます。
実証研究概要
- 実証期間
2018年3月末までの約半年間
- 目的
ICTを活用した新たな「学習・指導モデル」と「学習評価モデル」の構築
- 実施高校
長野県松本県ヶ丘高等学校
長野県長野高等学校
- 実施授業
RESASを活用した探究学習
- 実施内容
長野県では、現在、RESASを活用した探究学習の実践研究を進めています。RESASを活用した探究学習は、RESASで公開されているビッグデータを分析し、統計データから地域の現状を客観的に捉えるなど、統計的なリテラシーも育めるよう配慮されており、地域の未来を創造できる「思考力・判断力・表現力等」を育む実践的なプロジェクト型の教育プログラムとなっています。
今回、本授業にICTを活用し、生徒がタブレット端末上で学んだ記録を自動的に授業ごとに整理し学習履歴として蓄積していきます。このデータを教員が活用し、生徒がどんなことを考え悩んでいたのか、どのような新しい気づきがあったのかなど、これまで捉えることが難しかった学習過程の見える化を図り、データに基づく生徒一人ひとりに応じた指導や、主体的に学んでいるか、深く学んでいるかなどの学習過程を含めた評価を行っていきます。
- 導入システム
- 「知恵たま」
生徒と教員間でファイルのやり取りをスムーズに行うためのシステムです。プレゼンテーションツールなどを活用して授業で生徒が作成した成果物は、学習の記録履歴として自動的に保存され、教員や生徒自身が後から振り返ることが可能となります。
- 「デジタルワークシート」
タブレット端末の手書き入力などを活用し、紙と同じ感覚で利用できるデジタル教材です。デジタル教材で用意した問への回答やアンケートによる理解度の確認などから生徒一人ひとりが自分自身の学習の振り返りを記録し、その記録をファイルとして「知恵たま」に蓄積することで、自分が考えていたことを客観的に評価し、新たな気づきを促し考えを深めることができます。
- 「知恵たま」
- 役割分担
- 富士通
・データを活用した学びを支援するICT環境の構築・運用
- 富士通総研
・データ分析と学びの過程の見える化
- 長野県教育委員会様
・データを活用した新たな「学習・指導モデル」と「学習評価モデル」の開発
・確立した「学習・指導モデル」と「学習評価モデル」の県内他校への展開
- 富士通
今後の予定
富士通と富士通総研は、この実証研究から得られたデータの分析などを進め、学校現場の目線に立ったソリューション開発と提供を推進し長野県教育委員会様を支援するとともに、ICTを活用した新たな学びへの取り組みを全国へと拡大していきます。
以上
注釈
- 注1 富士通株式会社:
- 本社 東京都港区、代表取締役社長 田中達也。
- 注2 株式会社富士通総研:
- 本社 東京都港区、代表取締役社長 本庄滋明。
- 注3 長野県教育委員会:
- 所在地 長野県長野市、教育長 原山隆一。
- 注4 地域経済分析システム(RESAS):
- Regional Economy (and) Society Analyzing System。内閣府のまち・ひと・しごと創生本部事務局が提供する、産業構造や人口動態、人の流れなどの官民ビッグデータを集約し、可視化するシステム。
- 注5 RESASを活用した探究学習:
- 長野県では、2016年度より国の地方創生交付金事業によるRESASを活用した探究学習の実践研究を進めており、2017年度は県立高校13校で実施し、併せてICT機器を整備。
- 注6 長野県松本県ヶ丘高等学校:
- 所在地 長野県松本市、校長 永原経明。
- 注7 長野県長野高等学校:
- 所在地 長野県長野市、校長 原良通。
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