PRESS RELEASE
2017年9月4日
医療法人三慧会
富士通株式会社
三慧会と富士通、不妊治療におけるビッグデータを活用した
診療支援システムの実現に向けた実証研究を開始
医療法人三慧会(所在地:東大阪市、理事長:森本 義晴、以下 三慧会)と富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中 達也、以下 富士通)は、不妊治療における効果的な治療を実現する診療支援システムの実証研究を2017年9月から12月まで実施します。
本実証研究では、富士通が開発した不妊症版類似症例検索システムを活用します。三慧会が数多く行ってきた不妊治療の現場で得られた、過去に不妊治療研究の協力に同意した約1,000名の患者(以下、過去患者)のホルモン検査値や治療経過などに関するデータから、治療対象患者と類似する複数の過去患者のデータを抽出します。さらに、抽出された過去患者に実施された様々な治療ごとの効果(正常受精数、妊娠率など)を可視化することで、患者に行う治療や投薬の効果を予測します。すでに不妊治療の結果(妊娠の有無など)が判明している過去患者の診療データを予測精度の検証用データとして活用し、三慧会が不妊症の診療支援システムとしての有効性を検証します。
研究の背景
晩婚化などを背景に、不妊治療患者は年々増加傾向にあります。現在、日本国内では6組に1組のカップルが不妊治療患者とされており、体外受精、顕微授精、凍結胚移植を合計した不妊治療実施件数は2014年時点で約39万件と、10年間で3倍以上に増加しています。
不妊治療は、長期間の治療となるケースが多いため、患者の身体的、経済的負担が大きくなりがちです。また、出産希望患者の高齢化が今後さらに進むことが予想されているため、より高い効果をあげられる治療法の確立が求められています。しかし、不妊治療分野は他の疾患分野と比べると歴史が浅く、豊富な臨床データに基づいた医療が十分に確立されていないため、医師は自身の経験則に基づいて最適と考えられる治療法を判断せざるを得ないことが課題となっています。
研究内容
富士通が開発した不妊症版類似症例検索システムは、患者の治療過程の中で得られる診療データから、ホルモン検査値や既往歴などのデータに基づいて、類似する過去患者を検索することができます。さらに、それぞれの過去患者に対して実施された治療法と投与された薬の量ごとに、採卵数や正常受精数、成熟卵数、胚グレード(注1)、妊娠率を可視化し、治療対象患者に対する治療効果を予測します。
本実証研究では、三慧会が提供する過去患者約1,000名のデータを本システムで分析し、すでに治療を完了している過去患者の診療データを検証用データとして、本システムで得られた治療効果予測と治療実績の比較から予測の精度評価を行います。これにより、本システムの診療支援システムとしての有効性を検証します。
図:不妊症版類似症例検索システムの解析結果と治療実績の比較からの予測精度評価
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今後の展望
三慧会と富士通は、過去患者のホルモン検査値や治療経過などに関するビッグデータに基づいた不妊症の診断や治療を実現し、不妊治療領域をさらに発展させることで出生率を向上させ、少子化の進む日本社会に貢献することを目指します。また、不妊症版類似症例検索システムの示す治療効果予測によって適切な治療法の選択を支援することで、患者あたりの治療回数を減らし、身体的、経済的な負担を軽減するとともに、医師の診療業務の負担軽減を実現していきます。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
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