PRESS RELEASE
2017年7月14日
富士通株式会社
イオンフィナンシャルサービス株式会社
パーソナルデータを活用した情報銀行の実証実験を開始
情報銀行に預託したデータ量などに応じた仮想コインによる個人への還元を実施
富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中達也、以下 富士通)とイオンフィナンシャルサービス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:河原健次、以下 イオンフィナンシャルサービス)は、富士通が提供しているパーソナルデータストア(以下、PDS)(注1)「FUJITSU Cloud Service K5 Personium Service(ケイファイブ ペルソニアム サービス)」(以下、「Personium Service」)をクラウドサービス基盤として利用し、パーソナルデータ(注2)を所有者自身が管理・運用しながら、その提供するデータ量などに応じて対価を得る情報銀行(注3)の実証実験を開始します。本実証実験は、富士通が情報銀行の運営主体となり、自社の従業員を対象に2017年8月中旬から約2カ月間、パーソナルデータの収集や分析を行う株式会社オリコム(本社:東京都港区、代表取締役社長:大塚尚司)など9社が協力して実施します。
本実証実験で、パーソナルデータ提供者は、年齢や居住地、家族構成といった属性情報をはじめ、趣味や嗜好、日々の気分や体調といったパーソナルデータを自らの意思で情報銀行に預託し、預託した情報の内容や量、承諾した開示先企業に応じ、その対価としてブロックチェーン(注4)の分散台帳で管理された企業内仮想コイン「FUJITSUコイン」(注5)が付与されます。今回付与される仮想コインは、富士通の本社事務所の近隣店舗で使えるクーポンへの交換などが可能です。パーソナルデータ利用企業は、入手データに基づいて一人ひとりの趣味、嗜好、行動パターンに合わせた情報提供を行います。
本実証実験により、富士通はPDSのサプライヤーとして、パーソナルデータの取り扱いにおけるデータ管理方法や仮想通貨などによる個人への還元方法などを検証していきます。また、イオンフィナンシャルサービスは、パーソナルデータを活用する事業者側として、PDSにアクセスするための手順や運用、利用者の趣向に合わせた金融商品・サービスなどのタイムリーな情報提供の方法を検証していきます。
富士通とイオンフィナンシャルサービスは、本実証実験などを経て、情報銀行における新たなビジネスモデルの有用性を検討していきます。
背景
近年、タブレット端末やスマートフォン、IoT機器の普及により、パーソナルデータが膨大に生成されています。また、Fintechの潮流などに代表される金融サービスのデジタル化、決済シーンの多様化により、多種多様なデータが日々流通しています。様々な企業や団体がこれらのデータを横断的に利活用できるようにすることで、今後ますます新たなサービスの創出や個人の利便性の向上が実現できる社会が到来するものと期待されています。
加えて、改正個人情報保護法の全面施行や、官民データ活用推進基本法の基本的施策に個人の関与の下でのデータの流通・活用(情報銀行、データ取引市場など)が盛り込まれるなど、データ流通の拡大における法制度が整いつつあります。
このような状況の中、富士通とイオンフィナンシャルサービスは、富士通の「Personium Service」を活用し、情報銀行の実証実験を開始します。
図1:実証実験のイメージ図
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実証実験の概要
- 実証期間
2017年8月中旬より2カ月程度を予定
- 対象者
富士通従業員(汐留シティセンター(富士通 本社事務所)に勤務する従業員の一部が対象)
- 協力店舗
汐留シティセンター内の一部店舗
- 参加企業とそれぞれの役割
- 富士通とイオンフィナンシャルサービスの役割
富士通は、個人がパーソナルデータを情報銀行に預託する際の機能や、その個人が承諾した開示先企業でのパーソナルデータのトレーサビリティを検証します。また、預託されたパーソナルデータの内容や情報量、情報先企業に応じた仮想コインでの還元など、新たな価値の付与の可能性についても検証します。
イオンフィナンシャルサービスは、これまでに子会社であるイオンクレジットサービス株式会社や株式会社イオン銀行などを通じて、お客様の金融取引情報の蓄積・分析に基づき、金融商品などの案内を行ってきました。今回の実証実験では、個人の開示承諾により日々蓄積されるパーソナルデータの分析に基づいた金融商品の提案やキャンペーン案内などの実現可能性を検証するとともに、パーソナルデータ利用企業が、パーソナルデータへアクセスする際の運用のあり方について、技術とセキュリティ面での検証を行います。将来的には、AI技術などを用いてパーソナルデータを分析し、お客様のライフステージに応じて必要となる金融サービスを予測し、タイムリーな情報提供を行うなどの新たなビジネスモデルの構築を展望しています。
- 各社の役割一覧
社名(順不同) 主な役割 富士通株式会社 ・パーソナルデータストア「Personium Service」の提供
・「Personium Service」を基盤とした情報銀行の構築、運用
・パーソナルデータの内容や情報量に応じた「FUJITSUコイン」の発行(ブロックチェーン技術を活用)株式会社富士通研究所 ・プライバシー保護や情報銀行に関する知見を活かした実証実験システムの方式設計、機能評価の支援 株式会社富士通総研 ・情報銀行における市場調査(海外含む)やビジネスモデルの検討 株式会社富士通トータル保険サービス ・パーソナルデータを活用した富士通従業員へのライフコンサルティングの提供 イオンフィナンシャルサービス株式会社 ・パーソナルデータストアから各事業者がデータを利活用するための知見収集 イオンクレジットサービス株式会社 ・企業間を越えたデータ利活用の事業化を見据えた実証実験システムの運用
・パーソナルデータを通して一人ひとりに応じたサービス提供に関するノウハウの蓄積、研究株式会社イオン銀行 ・金融機関としてパーソナルデータを取り扱うための運営に関する課題の洗い出しおよび機能性の研究
・パーソナルデータを活用した一人ひとりに応じたライフコンサルティングの提供株式会社オリコム ・パーソナルデータ収集における支援や分析コンサルティング 株式会社市場開発研究所 ・収集したパーソナルデータの分析
- 富士通とイオンフィナンシャルサービスの役割
- 実証内容
パーソナルデータ提供者となる富士通従業員は、提供するパーソナルデータを本実証実験用のwebサイトを経由して情報銀行のクラウドサービス基盤となる「Personium Service」に登録することで、情報銀行にパーソナルデータを預託します。富士通従業員は自身のデータを自らの意思で、データ閲覧や実証協力企業への開示範囲の設定などをすることが可能です。
富士通は、情報銀行を運用する側として、企業のパーソナルデータ利用の希望に応じ、提供可能なデータを提供するとともに、パーソナルデータ提供者に対し、預託されたパーソナルデータの内容や情報量、開示先に応じて、富士通が発行する本実証実験専用の企業内仮想コイン「FUJITSUコイン」を付与します。付与された「FUJITSUコイン」はブロックチェーンの分散台帳で管理され、汐留シティセンター内の一部店舗で利用できるクーポンへの交換などが可能です。さらに、パーソナルデータ利用企業は、入手したデータに基づいて、一人ひとりの属性や趣味・嗜好、行動パターンに合わせた情報を提供します。
図2:「FUJITSUコイン」利用イメージ画面
今後の展開
富士通とイオンフィナンシャルサービスは、本実証実験を通じて、PDSに必要な機能や運用方法などを検証するとともに、情報銀行の新たなビジネスモデルを検討していきます。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 パーソナルデータストア:
- Personal Data Storeの略。個人が自らの意志で自らのデータを蓄積・管理する仕組みであり、第三者へのデータ提供に対する制御機能を有する。個人が保有する端末などでデータを蓄積・管理する分散型PDSと、事業者が提供するサーバなどでデータを蓄積・管理する集中型PDSの2種類がある。
- 注2 パーソナルデータ:
- 個人に関連する情報の総称。個人情報保護法で規定される個人情報より広い概念。個人の特定・識別性の可否は問わないデータ。
- 注3 情報銀行:
- 個人とのデータ活用に関する契約などに基づき、PDSなどのシステムを活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示、またはあらかじめ指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者に提供する事業モデル。
- 注4 ブロックチェーン:
- ネットワークに接続された複数のコンピュータが取引記録などを分散して共有し、相互に認証する仕組み。特定の管理者がいないため、改ざんやサイバー攻撃に強い。
- 注5 「FUJITSUコイン」:
- 富士通内で使用する企業内通貨の総称。現時点では、法定通貨との交換は不可。ブロックチェーン技術を活用し発行。
関連リンク
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