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PRESS RELEASE

2017年6月5日
富士通株式会社

ブロックチェーンの応用による
安心・安全なデータ流通ネットワークを実現するソフトウェアを開発

業種・業界の枠を超えたデータの相互利活用を加速

当社は、様々な組織や企業に蓄積されているデータの相互利活用の促進に向け、独自に開発したデータアクセス制御技術によって安心・安全なデータ流通ネットワークを実現するソフトウェアを開発しました。

本ソフトウェアは、株式会社富士通研究所(注1)が開発した、ブロックチェーンの応用による分散データアクセス制御技術「富士通VPX(Virtual Private digital eXchange)テクノロジー」をベースとしています。「富士通VPXテクノロジー」は、ブロックチェーンの機能を拡張し、データ提供者が保有するデータの属性情報と、データの保管場所に紐づいたID情報をブロックチェーンの分散台帳に登録し、登録されたデータを取得できるデータ利用者を限定するアクセス権限の設定などを可能にしたものです。さらに、独自のスマートコントラクト(注2)を搭載することで、データの提供者と利用者のデータのやり取りを、予め設定されたアクセス権限に基づいて自動的に実行することもできます。

本ソフトウェアを利用し、複数の組織や企業が参加するデータ流通ネットワークを構築することで、参加者間での安心・安全かつ迅速なデータ取引を実現することが可能となります。

当社は、本ソフトウェアを拡張し、「FUJITSU Network Virtuora(バーチュオーラ)」(注3)シリーズの一つとして、2017年度内に製品化することを目指します。

なお本ソフトウェアは、2017年6月7日(水曜日)から6月9日(金曜日)に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催される「Interop Tokyo 2017」の当社ブースにおいて、実機によるデモンストレーションを含めて展示されます。

背景

近年、IoTの普及などによって人やモノに関連した様々な情報がデータ化、蓄積され、ビッグデータ解析やAI(人工知能)の活用によって新たな価値創出を目指す取り組みが世界的に加速しています。その実現には、多様なデータが大量に必要となるため、様々な組織や個人が保有するデータを相互利活用していくことが重要です。しかし、一般的なデータ相互利活用の仕組みでは、データ提供者は保有するデータを外部環境に預けなければならないため、セキュリティやプライバシーなどの懸念から、企業や組織の枠を超えた相互利活用があまり進展していません。このような状況に対応して、当社はデータを外部環境へ預けることなく、自身の持つ環境に置いたまま相互利活用できる、分散環境を前提としたデータ流通ネットワークを実現するためのソフトウェアを開発しました。

開発したソフトウェアの特長

ブロックチェーンは、ネットワークに接続された複数のコンピュータが取引記録などを分散台帳として共有し、相互に認証する技術で、仮想通貨の流通などに活用されてきましたが、近年ではそれ以外の様々な分野で活用が進んでいます。

当社はこのたび、安心・安全なデータ流通ネットワークの実現に向け、ブロックチェーンの応用による分散データアクセス制御技術「富士通VPXテクノロジー」を活用したソフトウェアを開発しました。本ソフトウェアの特長は、以下の通りです。

  1. 提供データの属性情報とデータの保管場所に紐づいたID情報を分散台帳に登録

    データ提供者は、データの保管場所はそのままに、提供するデータの属性情報(データの種類や、そのデータに含まれる情報要素など)と、データの保管場所と紐づけたID情報をブロックチェーンの分散台帳に登録することができます。そのため、データ利用者は分散台帳に登録された属性情報から必要なデータを容易に検索するとともに、データのID情報を入手することが可能となります。データ提供者は、利用者に保管場所から直接データをダウンロードさせるのではなく、ID情報でデータの申請を受け、それに対応したデータを利用者に対して暗号化して送付します。そのため、データ提供者はデータの安全性を維持したまま、データのやり取りを行うことが可能です。

  2. 提供データごとにアクセス権限を設定可能

    データ提供者がブロックチェーンの分散台帳に提供データの情報を登録する際、データごとにアクセス権限を自由に設定することが可能です。これにより、データ提供者は分散台帳を閲覧できる全参加者の中から、アクセス権限を付与した参加者にのみデータの情報を開示することができます。

  3. データの申請から送信までのプロセスを自動化

    データ利用者がID情報でデータの申請を行ってから、アクセス権限を認証し、データが送信されるまでの一連のプロセスを自動的に実行するスマートコントラクトを搭載しています。そのため、効率的なデータのやり取りを行うことが可能です。

なお、今回開発したソフトウェアは、The Linux Foundationが運営するHyperledger Projectの一つであるブロックチェーンフレームワーク「Hyperledger Fabric」(注4)をベースに、ブロックチェーン上で実行される独自のスマートコントラクトを開発することにより実現しました。

図1.開発したソフトウェアを用いたデータの相互利活用イメージ
図1.開発したソフトウェアを用いたデータの相互利活用イメージ

図2.ブロックチェーンを拡張したデータ流通
図2.ブロックチェーンを拡張したデータ流通
拡大イメージ

今後の展開

当社は、本ソフトウェアを拡張し、「FUJITSU Network Virtuora」シリーズの一つとして2017年度内に製品化することを目指します。それにより、誰もが安心・安全にデータの相互利活用を行うことができるデータ流通ネットワークを実現します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 株式会社富士通研究所:
本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 佐々木 繁
注2 スマートコントラクト:
事前に設定された条件に基づいて自動的に契約を実行する機能。
注3 FUJITSU Network Virtuora:
SDN(Software Defined Networking)/NFV(Network Functions Virtualization)を含む、広域ネットワークを活用するサービスに対し、最適な通信環境となる仮想ネットワークをオンデマンドで提供するソフトウェア製品
注4 Hyperledger Fabric:
ブロックチェーンフレームワークであり、The Linux Foundationが運営するHyperledger Projectの一つ。Hyperledgerは、産業間共通のブロックチェーン技術推進のために設立されたオープンソースソフトウェアの共同開発プロジェクトであり、当社もプレミアメンバーとして参画。

本件に関するお問い合わせ

富士通コンタクトライン(総合窓口)
電話 0120-933-200
受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)


・文章の一部を訂正しました。(2017年6月7日)
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