PRESS RELEASE (サービス)
2017年5月8日
富士通株式会社
国内初、歩行移動しながらでも自律的にネットワークを構築する
IoT向けアドホック無線通信装置を販売開始
電波環境が不安定な作業現場でも安定したデータ収集を実現
当社は、920MHz帯無線を使い、BLE(注1)センサー対応の無線通信装置としては国内で初めて、歩行移動しながらでも自律的にネットワークを構築できる機能を搭載したIoT向けアドホック無線通信装置「FUJITSU Network Edgiot(エジオット) AHシリーズ」(以下、AHシリーズ)と、「AHシリーズ」で収集したデータをクラウドへと中継するゲートウェイ装置「FUJITSU Network Edgiot GW1100」(以下、GW1100)を開発し、2017年5月8日より提供を開始します。これらの製品を、クラウド型のIoTデータ活用基盤サービス「FUJITSU Cloud Service K5 IoT Platform」(以下、K5 IoT Platform)を組み合わせたIoT向け無線システムとして提供していきます。「AHシリーズ」は、LTEや3Gなどのモバイル通信を用いずに920MHz帯無線で広範なネットワーク(注2)を構築できるため、トンネルや地下などの電波環境が不安定な作業現場でも安定したデータ収集ができます。また、モバイル通信を使用する従来の方式と比べ、システム導入と通信にかかるコストを約35%削減(注3)できます。
本システムについては、株式会社 鴻池組(注4)様と共同で、地下などの電波が届きにくい作業現場での実証実験を行ない、その有効性を確認済みです。
当社は今後もLPWA(注5)への対応を継続的に強化し、お客様のIoTを活用した現場革新を支援していきます。
なお、当社は2017年5月18日(木曜日)から5月19日(金曜日)に東京国際フォーラム(東京都港区)で開催される「富士通フォーラム2017」において、本システムのデモを展示します。
背景
近年、工事現場やビル設備メンテナンスなどの作業現場では、ウェアラブルセンサーなどでの普及が進むBLEセンサーを活用して、作業員の位置情報や生体情報、周囲の環境や設備の振動などのデータを収集し、その分析結果から安全対策の強化や作業効率化を図る取り組みが加速しています。BLEセンサーの通信距離は約10メートルと短いため、通信距離内の携帯電話やゲートウェイ装置を中継させ、LTEや3Gなどのモバイル通信でクラウドにデータを蓄積させるのが一般的です。しかし、トンネルや地下などの電波環境の悪い作業現場ではモバイル通信が不安定なのに加え、多数のセンサーを利用する場合は、モバイル通信のコストが増大するといった課題があります。
本製品の特長
「AHシリーズ」は、遮蔽物の多い場所でも安定した通信が可能な920MHz帯無線で、マルチホップ通信(注6)による広範なネットワークを構築し、BLEセンサーからのデータを収集することができます。収集されたデータは「AHシリーズ」専用ゲートウェイ装置「GW1100」を介してクラウド型のIoTデータ活用基盤「FUJITSU Cloud Service K5 IoT Platform」へと蓄積されます。そのため、お客様はトンネルや地下などの電波環境が悪い作業現場でも安定的にデータを収集し、目的に応じて利活用することが可能になります。
図:提供するIoT向け無線システムのイメージ
- 国内初、歩行移動しながらの作業でも自律的に無線ネットワークを構築
「AHシリーズ」はスマートフォンほどの大きさで携帯性に優れ、BLEセンサー対応の無線通信装置としては国内で初めて、歩行移動しながらでも装置同士が位置関係を常に認識し、自律的に無線ネットワークを構築できる機能を搭載しています。そのため、複数の作業員が現場で歩行移動しながら作業をしても、無線通信装置の設置場所を意識することなく、常に安定した無線ネットワークを利用することができます。
- モバイル通信を使わずにBLEセンサーのデータを収集することで、システム導入と通信コストを約35%削減
FUJITSU Network Edgiot AH1200「AHシリーズ」は、LTEや3Gなどのモバイル通信ではなく、免許不要な無線周波数帯である920MHz帯無線を利用してネットワークを構成し、BLEセンサーからのデータを収集できます。そのため、モバイル通信を使用する従来の方式と比べ、システム導入と通信にかかるコストを約35%削減できます。
- 高信頼で安定した無線ネットワークを構築
「AHシリーズ」は、920MHz帯を利用してメッシュ型のネットワークを構成します。920MHz帯は、2.4GHz帯などの他の免許不要な無線周波数帯と比較して、遮蔽物を回り込む電波特性に優れており、電波干渉も起こしにくいため、安定した無線ネットワークを構築できます。さらに、装置同士が動作状態を常に監視し、故障などによってネットワークの一部で障害が生じた場合でも、自動的に迂回経路を見つけて通信を継続できるアドホック通信機能を搭載しているため、高い信頼性を確保できます。
販売価格、および提供開始時期
製品名 | 販売価格(税別) | 提供開始時期 |
---|---|---|
FUJITSU Network Edgiot AH1100 (親機) | 35,000円 | 2017年5月8日より |
FUJITSU Network Edgiot AH1200 (子機) | 29,000円 | 2017年5月8日より |
FUJITSU Network Edgiot GW1100 | 38,000円 | 2017年5月8日より |
販売目標
「AHシリーズ」と「GW1100」を合わせ、今後3年間で10万台
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 BLE:
- Bluetooth Low Energyの略。Bluetooth 4.0規格の一部として策定された近距離無線通信技術Bluetoothの拡張仕様の一つ。2.4GHz帯の電波を用い、極低電力で通信が可能。
- 注2 広範なネットワーク:
- 5段階マルチホップ通信により、最大で1.5キロメートルの通信距離を実現。
- 注3 約35%削減:
- 作業員50名の作業現場を想定した場合の試算値(「AHシリーズ」50台を使用)。
- 注4 株式会社 鴻池組:
- 本社 大阪府大阪市、代表取締役社長 蔦田 守弘
- 注5 LPWA:
- Low Power, Wide Areaの略。少ない消費電力で1キロメートル以上の距離で通信できる無線通信技術のこと。
- 注6 マルチホップ通信:
- 複数の無線端末が、それぞれの隣接する無線端末を経由してデータを伝送していく通信技術のこと。
関連リンク
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