PRESS RELEASE
2016年10月28日
富士通株式会社
H.265/HEVC対応コーデック装置「IP-HE950」を販売開始
国内最小・最軽量クラスの小型筐体で、4K映像のリアルタイム伝送を実現
当社は、映像符号化方式に従来方式(H.264/AVC、注1)の約2倍の圧縮効率を持つH.265/HEVC(注2)を採用した放送業務向けコーデック装置「FUJITSU Network リアルタイム映像伝送装置 IP-HE950(以下、IP-HE950)」を、2016年11月より販売開始します。
「IP-HE950」は、株式会社富士通研究所(注3)が開発した独自のアルゴリズムにより高性能化した映像処理LSIを搭載したことで、1台でSD、HDから4K映像までの幅広い映像解像度に対応するとともに、放送業務向けコーデック装置では国内最小・最軽量クラスとなるA4サイズ(注4)の小型筐体を実現しました。IPネットワークだけでなくFPU(注5)や衛星回線などの様々な伝送路で高品質なリアルタイム映像伝送が可能です。
当社は今後も、グローバルで放送業務向け映像伝送装置を提供してきた中で蓄積された、映像伝送に関する技術やノウハウとICTを組み合わせ、放送の現場における最適なトータルソリューションを提供していきます。
なお当社は、「IP-HE950」を11月16日(水曜日)~18日(金曜日)に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催される2016年国際放送機器展(Inter BEE 2016)に出展します。
背景
日本では、BS放送での4K・8K試験放送が2016年8月より開始されており、2018年には実用放送の開始も予定されています。また、大規模なスポーツイベントに付随した全国各地でのパブリックビューイングなどのエンターテイメントや、医療、教育の現場など、様々な分野において、超高解像度映像の伝送ニーズは今後急速に高まっていくことが予想されています。当社は、そうしたニーズに対応していくために不可欠な映像符号化技術であるH.265/HEVCを採用したコーデック装置を開発し、主に報道番組やスポーツ番組などでの生中継、素材伝送(注6)向けに提供していきます。
本製品の特長
FUJITSU Network リアルタイム映像伝送装置 IP-HE950E(エンコーダー)
- SD、HD、4Kの幅広い映像解像度に1台で対応
標準機能としてSD、HD映像の伝送に対応しています。さらに、オプション機能を追加することで4K映像にも対応することが可能になります。4K映像伝送に対応させるために新たに装置を追加することなく、1台で幅広い映像解像度に対応できるため、設置スペースや設備投資を効率化することができます。
- 国内最小・最軽量クラスの小型筐体
従来製品で搭載していたエラー訂正機能(注7)やデュアルエンコード機能(注8)などの様々な機能を搭載しながら、放送業務向けコーデック装置としては国内最小・最軽量クラスとなる、A4サイズの小型筐体を実現しています。省スペース化と軽量化を図ることができるため、中継車両への搭載や可搬型中継システムでの活用に最適です。
さらに、利用者中心指向による設計(HCD:Human Centered Design)に基づいて使い易さを追求し、フロントパネルでのダイレクト操作や、パソコンやスマートデバイスのウェブブラウザから装置設定を容易に行うことができるWebUIを採用しています。
- 多様な映像入出力に対応可能なインターフェースを標準搭載
映像入出力インターフェースは、従来製品で対応していたSD-SDI、HD-SDI、3G-SDIに加え、より高速な映像伝送を実現できる12G-SDI(伝送規格:SMPTE 2082)に対応しました。これにより、4K映像を伝送する際に3G-SDIでは4本必要だった同軸ケーブルが1本で伝送可能になります。さらに、新たにSFP(注9)も搭載したことで、HDMIやVideo over IP(注10)などの映像入出力インターフェースにも対応することができます。
- 2つの伝送インターフェースを標準搭載
エンコーダーとデコーダー間の伝送インターフェースとして、光回線などを用いたIPネットワーク伝送に加え、FPUや衛星回線による伝送に使用するDVB-ASI(注11)を標準搭載し、両方のインターフェースでの同時伝送も可能であるため、幅広い用途で利用できます。
IPネットワーク・衛星回線での同時配信構成
販売価格、および出荷開始時期
製品名 | 販売価格 | 出荷開始時期(注12) |
---|---|---|
FUJITSU Network リアルタイム映像伝送装置 IP-HE950E(エンコーダー) | 200万円~ | 2017年2月より |
FUJITSU Network リアルタイム映像伝送装置 IP-HE950D(デコーダー) | 160万円~ | 2017年2月より |
販売目標
2017年からの5年間で5,000台(海外市場含む)
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
添付資料
- 「FUJITSU Network リアルタイム映像伝送装置 IP-HE950」仕様詳細(512KB / A4・2ページ)
以上
注釈
- 注1 H.264/AVC:
- 現在主流となっている映像符号化の国際標準規格であり、国内ワンセグ放送で採用されているほか、様々な映像録画装置などで使用されている。AVCはAdvanced Video Codingの略。
- 注2 H.265/HEVC:
- ISO/IECにおいて映像符号化の国際標準規格。HEVCはHigh Efficiency Video Codingの略。
- 注3 株式会社富士通研究所:
- 本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 佐々木繁。
- 注4 A4サイズ:
- 幅210mm×奥行300mm×高さ43mm(突起物を除く)の1Uハーフラック。重量は約2.5kg。
- 注5 FPU:
- Field Pickup Unit の略。放送用マイクロ無線中継伝送装置のこと。
- 注6 素材伝送:
- 放送で用いる映像・音声素材を、放送局外から放送局へと伝送すること。
- 注7 エラー訂正機能:
- IPネットワークのパケットエラー状態に対し、FEC(Forward Error Correction)とARQ(Automatic repeat-request)を組み合わせ、自動制御で最適な補正を行う独自技術。
- 注8 デュアルエンコード機能:
- メイン、サブの二つのエンコード機能を搭載することで、一つの入力映像に対して異なる解像度、異なる映像レートのリアルタイムエンコードが行える機能。
- 注9 SFP:
- Small Form-factor Pluggableの略。ネットワーク機器専用のコネクター変換モジュール。
- 注10 Video over IP:
- IPネットワークを介してリアルタイムに映像信号を転送する技術。
- 注11 DVB-ASI:
- Digital Video Broadcasting-Asynchronous Serial Interfaceの略。DVB規格で定める非同期シリアルインターフェース。
- 注12 出荷開始時期:
- 日本国外では、2017年3月に販売を開始し、2017年6月より出荷開始予定。
本件に関するお問い合わせ
富士通コンタクトライン(総合窓口)
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