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PRESS RELEASE

2016年7月8日
独立行政法人国立病院機構 長崎川棚医療センター
富士通株式会社

糖尿病の重症化予防を支援するシステムの実証研究を開始

診療現場でのビッグデータ活用実現に向けた取り組み

独立行政法人国立病院機構 長崎川棚医療センター(所在地:長崎県東彼杵郡、院長:宮下 光世、以下、長崎川棚医療センター)と富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中 達也、以下 富士通)は、糖尿病の重症化予防や効果的な治療に役立てるシステムの研究を2015年10月に開始しました。その成果として、糖尿病患者の病態、経過などの情報が類似する患者群を探索して重症化傾向を分析・掲示することで、医師の治療方針決定を支援する糖尿病版 類似症例検索システムを開発しました。また、医療従事者が糖尿病患者の病態・経過などの情報を管理するために、2014年度に富士通が開発した糖尿病版 疾病管理システムに、本システムの分析対象として必要な合併症の治療内容や病態・経過が記載できるデータ項目を追加し、本実証研究のデータ収集基盤として活用します。

7月中旬より、長崎川棚医療センターと長崎県大村市内の4医療機関において、本研究の同意を得た患者の情報を集積して本システムを活用し、糖尿病の重症化予防を目的とした診断に役立つかどうかを評価する実証研究を開始します。

研究のイメージ

背景

日本における糖尿病患者数は年々増加する傾向にあり、2014年の厚生労働省の患者調査では、過去最高の約317万人となりました。糖尿病が強く疑われる人などを含めると2000万人に近いと言われており、患者数増加に伴う医療費の増加や専門医不足が喫緊の課題となっています。

実証研究概要

  1. 実施期間

    2016年7月中旬~2017年3月31日(金曜日)

  2. 実証責任者

    木村 博典 (独立行政法人国立病院機構 長崎川棚医療センター 内科系診療部長)

  3. 参加医療機関
    • 独立行政法人国立病院機構 長崎川棚医療センター(所在地:長崎県東彼杵群、院長:宮下 光世)
    • 独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター(所在地:長崎県大村市、院長:江崎 宏典)
    • 中村医院(所在地:長崎県大村市、院長:中村 ますみ)
    • 伊崎脳神経外科・内科(所在地:長崎県大村市、院長:伊崎 明)
    • ちくばクリニック(所在地:長崎県大村市、院長:竹馬 庸裕)
  4. 実証研究内容

    参加医療機関で治療を受けている糖尿病患者本人の同意を得た上で、治療内容や病態・経過などの情報を、糖尿病版 疾病管理システムに集積します。参加医療機関の医師は、糖尿病版 類似症例検索システムを使用し、類似症例検索システムが抽出した類似症例や重症化傾向の統計分析結果を参考にし、自己の診断との比較により、本システムの有用性を評価します。

  5. 糖尿病版 疾病管理システムについて

    富士通が2014年度に開発した糖尿病版 疾病管理システムは、糖尿病やその予備軍患者の、治療内容、病態、経過などの情報を集積して表示するデータベース基盤です。本システムに地域の患者の情報を集積することで、一元的に確認できるため、重症化予防に向けた取組みを地域全体で効果的に進められると期待されています。

  6. 糖尿病版 類似症例検索システムについて
    1. 重症化傾向把握の支援

      富士通独自のビッグデータ分析技術を用い、糖尿病版 疾病管理システムから対象患者と病態・経過が類似している類似患者群を探索し、類似患者群とその他患者群の発症率の比較をカプランマイヤー曲線(注1)で可視化します。これにより、治療中患者の重症化傾向を医師が把握するための参考情報となることが期待されます。

    2. 治療方針決定の支援

      対象患者と病態・経過が類似している患者群に対して治療行為ごとに層別化し、発症率をカプランマイヤー曲線(注1)で可視化します。これにより、治療行為ごとに発症率を確認できるため、医師が対象患者の治療方針を決定する際の参考情報となることが期待されます。富士通は今後、富士通のAI技術「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」の活用を視野に入れ、医師の診断を強力にサポートできるシステムの実現を目指します。

  7. 役割分担
    1. 長崎川棚医療センター

      糖尿病版 類似症例検索システムを使用し、類似症例検索システムが抽出した類似症例や重症化傾向の統計分析結果を参考にし、自己の診断との比較により、本システムの有用性を評価します。また、実証研究での評価結果とりまとめを担当します。

    2. 富士通

      今回の実証研究による評価結果を反映したシステム改修を担当します。

    3. 参加医療機関

      糖尿病版 類似症例検索システムを使用し、類似症例検索システムが抽出した類似症例や重症化傾向の統計分析結果を参考にし、自己の診断との比較により、本システムの有用性を評価します。

システム展示について

富士通は、2016年7月13日(水曜日)~15日(金曜日)に東京国際展示場(東京都江東区)で開催される「国際モダンホスピタルショウ2016」に、糖尿病版 疾病管理システム、および糖尿病版 類似症例検索システムを出展します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 カプランマイヤー曲線:
患者の生存率などを時系列にグラフ化したもの。糖尿病版 類似症例検索システムでは、糖尿病患者における糖尿病性腎症の発症率をグラフ化している。横軸は発症までの日数、縦軸は糖尿病性腎症の無発症率を表す。各群の患者が、糖尿病性腎症を発症するまでの期間を過ぎると各群の曲線が下がるため、2つの群のどちらが糖尿病性腎症を早く発症しやすいのか、読み取ることができる。

本件に関するお問い合わせ

富士通コンタクトライン(総合窓口)
電話 0120-933-200
受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)


・文章の一部を訂正しました。(2017年5月19日)
・プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。