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PRESS RELEASE

2015年6月9日
富士通株式会社

20Gbpsの通信データを蓄積しながら高速検索可能なソフトウェア
「FUJITSU Network Virtuora TC」販売開始

当社は、20Gbpsのネットワークに流れる大量の通信データを、汎用PCサーバでフルワイヤーキャプチャー(注1)、蓄積、高速検索するソフトウェア「FUJITSU Network Virtuora TC(フジツウ ネットワーク バーチュオーラ ティーシー)(以下、Virtuora TC)」を6月9日より販売開始します。

クラウドの普及とスマートデバイスの急激な拡大により、広域ネットワークを流れる通信データも多様かつ複雑になっています。ネットワークを流れるデータをすべて蓄積し、解析することでネットワークに起きた事象を把握する完全証跡管理技術が注目されていますが、従来は日々生成される大量データを安価に一定期間蓄積し、目的のデータを高速に検索することはできませんでした。

「Virtuora TC」は、すべての通信データをフルワイヤーキャプチャーしながら、蓄積したデータから必要な情報を高速に検索することにより、ネットワーク障害の早期原因究明を可能にします。また、蓄積した膨大なデータを完全に証跡管理して活用することにより、サイバー攻撃を検証することも可能です。

本製品は6月10日(水曜日)~12日(金曜日)に幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で開催される「Interop Tokyo 2015」に出展します。

背景

あらゆるセンサーやデバイスなどがネットワークに接続されるIoT(Internet of Things)時代の到来でネットワークに流れるデータは多様化しています。これに伴い、サービスも高度に進化しており、ネットワークサービスの品質維持と新しいニーズへの素早い対応のために開発と運用が一体となってシステム開発を実施するDevOps(注2)が注目されています。このようなネットワークの利用シーンやネットワークの運用が変化するなか、フィールドから得られるビッグデータからの価値創造や、想定外のトラブルへの対応、複雑巧妙化するサイバー攻撃に対するセキュリティの備えが重要となります。

これらを実現する手段としてネットワークに流れるデータをすべて蓄積し、解析することでネットワークに起きた事象を把握する完全証跡管理技術が注目されていますが、従来は日々生成される大量データを蓄積するには高価な専用機器が必要であり、安価に一定期間蓄積し、目的のデータを高速に検索することは困難でした。

新製品の概要

「Virtuora TC」は、通信データの証跡を完全に管理するためのソフトウェアです。広帯域なネットワークを流れる通信データをフルワイヤーキャプチャーし、セションごとにインデックスを生成することで、大量の通信データの中から目的のデータを数秒から数十秒で抽出することができます。本製品は株式会社富士通研究所(注3)の通信データを蓄積しながら高速検索する技術を適用しています。

本製品の特長は以下のとおりです。

  1. 20Gbpsのネットワークに流れる大量な通信データをフルワイヤーキャプチャー、蓄積、高速検索が可能

    通信データをセションごとにまとめてディスクに書き込むことでディスクアクセス回数を低減するとともに、ほかの処理を待たずにデータ処理を行えます。これにより、10Gbps(上り、下りの合計20Gbps)の回線に流れる通信データをリアルタイムにキャプチャーして蓄積します。また、蓄積時にセションごとにインデックスを生成することで大量な通信データの中から目的のデータを数秒から数十秒で検索することができ、データ解析時間を短縮できます。

  2. 汎用PCサーバ上のソフトウェアで実現

    従来、広帯域のネットワークを流れる通信データをフルワイヤーキャプチャーするためには高価な専用機器が必要でしたが、汎用PCサーバ上のソフトウェアで実現することで、ネットワーク品質管理システムなどのCAPEX(Capital Expenditure:機器投資)を削減することができます。

  3. システムを止めずに蓄積容量の拡張が可能

    システムを止めずにデータ保存サーバを増設でき、通信データの欠損なく蓄積容量の拡張ができます。蓄積を継続しながら最大702テラバイト(以下、TB)まで蓄積容量を拡張することができます。これは、10Gbpsの回線で上り、下りの合計20Gbpsのネットワークにおいて、常に最大のスピードでデータが流れた場合に約3日分蓄積可能な容量です。

  4. 様々な分析システムとの連携が可能

    蓄積した通信データは「Virtuora TC」の持つAPIを通じて、通信回線やクラウドサービスの品質管理、セキュリティ用途などの様々な分析システムで活用可能です。

図1 Virtuora TC概要
図1 Virtuora TC概要

利用シーン

  1. 通信回線サービスの品質管理

    クラウドサービスにおいて、「映像や音声が途切れる」という問い合わせが発生した場合、該当する時間帯のキャプチャーデータから通信状況を正確にトレースすることができます。これにより、映像や音声を提供するサービスプロバイダーはもちろん、その事業を支える通信キャリアにおいても品質を向上させることができ、高品質なサービスを提供できます。

    図2 通信回線サービスの品質管理
    図2 通信回線サービスの品質管理

  2. ネットワークDevOpsソリューション(注4)の強化

    DevOpsでは開発と運用が一体となり、サービス企画・開発から導入・運用までのライフサイクルを回します。仮想ネットワークの効率的運用、ユーザー・エクスペリエンスの向上のためには、継続的に仮想ネットワークの利用状況のモニタリング、分析を行い、ネットワークリソースの最適配備や運用ポリシーへのフィードバックを実施していくことが重要になります。

    本製品の適用により、仮想ネットワークの変化で影響を受けるサービスの範囲を特定しながら、継続的に分析・サービス改善をすることが可能となり、さらに分析結果をサービス企画・開発への入力とすることで、DevOpsのライフサイクルを早く回し、新しいサービスの迅速な提供が可能となります。

  3. セキュリティ対策

    近年深刻化する内部犯行による顧客情報漏えいや、複雑巧妙化する外部からのサイバー攻撃への対応では、通信データの完全証跡管理が有効です。本製品の活用により、遅延発動型のマルウェアへの対策やネットワークポリシーへの反映による再発防止により、包括的なセキュリティ対策が可能です。

今後

当社は2015年度中に、セキュリティやネットワークフォレンジック(注5)用途向けにAPIをさらに拡充した製品を販売開始予定です。また、既存網のネットワーク機能を仮想化するNFV(Network Functions Virtualisation)などの仮想化環境において、富士通研究所が回線集約に対応した最大100Gbpsまで蓄積する技術を研究開発しており、実証実験などを経て2016年度中に販売開始する予定です。

販売価格、および出荷開始時期

販売価格、および出荷開始時期
製品名 販売価格(税別) 販売開始時期
FUJITSU Network Virtuora TC V01 メディアパック 2万円 2015年6月9日
FUJITSU Network Virtuora TC 基本ソフトウェアライセンス V01 600万円 2015年6月9日
FUJITSU Network Virtuora TC データ保存サーバ1追加ライセンス 40万円 2015年6月9日

販売目標

2017年度末までに周辺機器を含めたシステム全体で売上120億円(当社の決算期は3月末日です)

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 フルワイヤーキャプチャー:
帯域を最大限に使用している環境下においてネットワーク上の通信データを取りこぼすことなく捕捉し、メモリなどに保持すること。
注2 DevOps:
開発(Development)と運用(Operations)が協力することで頻繁なリリースを可能とするソフトウェア開発手法。
注3 株式会社富士通研究所:
本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 佐相秀幸。
注4 ネットワークDevOpsソリューション:
サービス企画・開発から導入・運用までのライフサイクルを総合的に支援するプラットフォーム、サービスとソリューションを体系化したもの(2015年5月12日プレスリリース)。
注5 ネットワークフォレンジック:
情報漏えいや不正アクセスなどコンピュータが関わる犯罪が起きた際に、コンピュータ本体に記録された電子データを収集・分析して、証拠とするための手法。

本件に関するお問い合わせ

富士通コンタクトライン
電話 0120-933-200
受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)


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