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PRESS RELEASE (技術)

2014年5月8日
株式会社富士通研究所

住民の移動ニーズへの対応と事業者利益の向上を両立するオンデマンド交通運行技術を開発

自家用車に過度に依存しないモビリティ環境の実現に向けて

株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:佐相秀幸、以下 富士通研究所)はMassachusetts Institute of Technology(所在地:マサチューセッツ州ケンブリッジ市、学長:ラフェール・リーフ、以下 MIT)と共同で、住民の多様な交通移動ニーズに応えるとともに事業者利益も向上させるオンデマンド交通運行技術を開発しました。

近年、環境や高齢者に配慮した持続可能なまちづくりの観点から、自家用車に過度に頼らず日常生活ができるモビリティ環境を整備する必要性が認識されています。その鍵を握るのが、従来から路線バスやタクシーが担ってきた地域交通サービスですが、人々の多様な移動ニーズに応えながら事業者利益をいかに確保するかが課題となっています。

今回、需要に応じて同一の車両をタクシーや乗り合いといった異なる運行モードに動的に割り当て、利用者は複数の運行モードから乗車便を選択可能で、事業者利益も向上させるオンデマンド交通運行技術を開発しました。

東京近郊の都市をモデルにしたシミュレーションでは、従来の運行方式と比べて利益が最大で約80%向上することを確認しました。

本技術は、5月15日(木曜日)、16日(金曜日)に東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催する「富士通フォーラム2014」に出展します。

開発の背景

近年、環境や高齢化に配慮した持続可能なまちづくりの観点から、利便性と料金の面で利用しやすい地域交通サービスの必要性が認識されています。これに対して、地域をきめ細かく回るコミュニティーバスや、利用者の予約により運行する乗合方式のオンデマンド交通の導入が始まっていますが、多くは収益性が厳しく、主な運行主体である市町村の財政を圧迫しています。地域の交通手段としてはタクシーもありますが、価格的に日常利用に向きません。このため、多くの利用者が日常利用可能で、事業者利益も向上させる地域交通サービスの実現が望まれています。

富士通研究所はMITのMoshe E. Ben-Akiva教授の研究グループと、車両の運行を動的に制御して需給バランスを取ることにより、多様な移動ニーズに応えながら事業者の利益を向上させるオンデマンド交通運行技術について共同研究を進めてきました。

課題

従来のオンデマンド交通は、あらかじめ固定的に割り当てられた車両により運行されるため、利用者の移動需要が変動すると、車両の余剰や空席が生じて、事業者の利益が低下する場合がありました。またタクシーも、例えば急な降雨により需要が急増した場合などは車両が不足し、乗車待ち時間が増加することから、家族の車を利用するなどほかの交通手段に利用者が流れ、事業者は収益機会を逃がしていました。

開発した技術

今回、需要変動に応じて車両の余剰や不足を発生させないように、同一の車両を異なる運行モードに動的に割り当てて運行するとともに、利用者は複数の運行モードから希望する乗車便を選択可能で、なおかつ事業者の利益を最大化する新しいオンデマンド交通運行技術を開発しました(図1)。

本技術では、タクシーもしくはミニバン型の車両を、需要に応じてタクシーモード、乗合モード、固定路線モードといった異なる運行モードに動的に割り当てて運行します。利用者がスマートフォンなどから事業者に利用希望(リクエスト)を通知すると、運行モード、乗車時刻、および料金の異なる複数の乗車便から選択できるように選択肢を提示します。これにより、多様な移動ニーズに対応します。

図1 本技術によるオンデマンド交通運行方式
図1 本技術によるオンデマンド交通運行方式

事業者の利益が最大になるように利用者の乗車便選択を誘導するため、利用者に提示する各運行モードの選択肢を以下の手順で最適化します(図2)。

  1. 利用者が乗車便を選択した場合の満足度を、料金、待ち時間、乗車時間、希望時刻からのずれ、運行モードなどをパラメーターとして数値化
  2. 乗車便の組み合わせを生成
  3. 生成した各組合せについて、どの便がどのような確率で選択されるかを、選択行動をモデル化した予測モデルにより算出
  4. 算出した各便の選択確率と、各便が選択された場合に得られる利益から、事業者の見込み利益が最大になる組合せを決定

図2 利用者に提示する乗車便選択肢の最適化処理
図2 利用者に提示する乗車便選択肢の最適化処理

利用者からの乗車リクエストごとに最適化を行って乗車便の選択肢を提示することにより、需給バランスが調整され、事業者利益を向上させることができます。

例えば、利用者の多い時間帯や移動方向では乗合モードや固定路線モードが選ばれやすくなり、利用者の少ない時間帯や移動方向についてはタクシーモードが選ばれやすくなります。

効果

本技術により、移動需要に偏りが生じても車両の余剰や不足が発生しにくくなり、住民の多様な交通移動ニーズに応えるとともに事業者利益も向上させることが可能です。

東京都郊外の都市をモデルにしたシミュレーションでは、事業者利益はタクシーのみを運行する場合と比較して最大で約80%向上することを確認しました。

今後

富士通研究所は、シミュレーターを用いた様々な条件での効果評価や、地域での実証実験により有効性の検証を進め、2016年度の実用化を目指します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
ソーシャルイノベーション研究所 第二ソリューション研究部
電話 044-754-2674(直通)
メール pr-mod@ml.labs.fujitsu.com


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。