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PRESS RELEASE (技術)

2014年3月12日
株式会社富士通研究所

クラウドシステムの適切な運用手順を自動提示する支援技術を開発

株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)は、クラウドシステムの運用管理に必要なフローを自動生成して運用を支援する技術を開発しました。

近年、お客様の各拠点や部門に点在していた業務システムなどのクラウド化に伴い、クラウド上に構築したシステムの運用管理の効率化・高信頼化が課題になっています。

今回、クラウド上に蓄積されたシステムログや構成情報、運用手順書といった運用管理に関わる様々な運用データを分析・活用する技術を業界で初めて開発し、社内実験では運用作業の約30%を自動化できることを確認しました。

これにより、クラウド上でシステムを利用することで生まれる様々な運用データを再利用することが可能となり、運用管理の効率化と高信頼化が期待されます。

開発の背景

近年、ストレージやネットワークの高度化に伴い、お客様の各拠点に点在していた業務システムなどのクラウド化が進展し、システムログや構成情報、手順書などの運用データがクラウド上に蓄積されつつあります。従来の運用管理は、定期的なシステム保守などの運用方針から、運用管理者がマニュアルや過去ドキュメントを参照しながら、自身の経験やノウハウに基づいて各システムに対する運用手順を具体化していました。

課題

運用管理のノウハウは、運用管理者の専門スキルや現場の経験により支えられている部分が多く、そのような知識はあまり明文化されていませんでした。富士通研究所ではこれまでに、クラウドを支えるインフラの障害予兆検知やシステム構築に必要となるパラメーター自動生成技術などを開発してきましたが、運用開始後の手順については自動化されていませんでした。このため業務システムごとに異なる運用手順(ファイルのバックアップやサービスの起動、停止など)を実行する場合があり、特に複数の業務システムを管理する場合に、トラブルが発生しやすい状況にありました。

開発した技術

今回、様々なシステムの運用手順書から共通化できる部分を抽出して標準的な運用手順を推定する運用手順書の分析技術と、運用手順を自動実行するフローの作成を効率化する自動化支援技術を開発しました(図1)。

図1 運用手順書分析・自動化支援技術
図1 運用手順書分析・自動化支援技術

開発した技術の特長は以下のとおりです(図2)。

  1. 運用手順書の分析技術

    次の手順で運用管理者向けの運用手順書を分析します。

    1. 作業を記述した部分を抽出し、できるだけ大きな単位、かつ再利用性が高くなるような部分に各手順書を分割
    2. 分割結果を重ね合わせることにより共通となる運用手順を推定
    3. 共通となる運用手順の複雑さと、含まれる運用作業により分類
    4. 自動運用フローの作成の要する時間と現在の手作業時間を推定し、自動化の優先度順を算出

    共通となる運用手順の算出は、組み合わせ問題を解くことになり計算量が発散しますが、本技術では段階的に部分列を求めることにより計算時間を短縮しました。

    これにより、従来人手で1か月以上を要していた運用手順書の分析作業が数時間で分析可能になりました。

  2. 自動化支援技術

    サービスの起動や停止など、運用作業として最低限の要素を運用管理者が運用設計書に記述することで、そこから自動運用フローを自動生成します。運用設計書には処理を実行する条件も指定可能ですが、条件分岐などの実装は自動化されているため、運用設計者のスキルを必要としません。運用手順書の分析で得られた共通手順に対応して運用設計書を記述することで、再利用性が高い自動運用フローの維持管理が容易になります。また、自動生成により自動運用フローの作成時間を最大10分の1に短縮することが可能になります。

    図2 自動運用フローの自動生成
    図2 自動運用フローの自動生成

効果

開発した技術を社内のデータセンターで使用している運用手順書に試験適用し、運用作業の約30%を自動化できることを確認しました。本技術を用いることで、お客様がクラウド上でシステムを利用することで生まれる様々な運用データを再利用することが可能となり、運用管理の効率化と高信頼化が期待されます。

今後

富士通研究所では、運用データの分析技術に関する研究開発を進め、2014年度中の実用化を目指します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
システムソフトウェア研究所 システムマネジメント研究部
電話 044-754-2575(直通)
メール sys-mng-press@ml.labs.fujitsu.com


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