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PRESS RELEASE (技術)

2014年2月28日
株式会社富士通研究所
株式会社富士通総研

業界初!自治体の特性を見える化する評価ツールを開発

地域属性に応じた自治体の包括的な評価を山間地域で実践し、持続可能な社会実現に貢献

株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)と株式会社富士通総研(注2)(以下、富士通総研)は、環境や経済など様々な観点から自治体の特性を見える化する評価ツールを業界で初めて開発しました。

従来の一般的な都市評価ツールでは、環境性能、インフラ機能などを対象に定量評価を行っていましたが、今後、都市の持続可能性を含めて検討する際に、山間地域、人口、工業地帯といった地域属性を考慮した包括的な評価が必要になります。

今回、政府統計など1,200項目以上の公開データを活用し、持続可能な社会の実現に必要な地域活性化に関連する50の評価項目を、新たな指標である環境・経済・社会の3つの地域活性化ポリシーに合わせて選定しました。新開発したツールはこのポリシーを基に、人口や産業構造など代表的な地域属性から類型化した自治体間での相対評価により、自治体の強みや課題などの特性を見える化しました。

富士通研究所と富士通総研は、宮城県七ヶ宿町(しちかしゅくまち)様のご協力のもと評価ツールを用いた実証実験をした結果、富士通総研は、地域活性化に向けた施策として、「森と水の体験プロジェクト」や「林業・バイオマス・太陽光によるプロジェクト」を七ヶ宿町様に提案することができました。

本技術の詳細は、3月4日(火曜日)~3月6日(木曜日)に芝浦工業大学 豊洲キャンパスで開催される「第9回 日本LCA学会研究発表会」にて富士通研究所から発表します。

開発の背景

近年、都市部への人口流出による過疎化・少子高齢化により、山間地域の自治体では農業の担い手不足や空き家の増加などの多くの課題に直面しています。一方、都市部では、人口の集中により山間地域とは異なる大気汚染やヒートアイランドなどの課題があります。自治体が抱える課題は多様であり、その多くは人口、産業構造、立地場所などの地域特性に依存します。

地域活性化に向けた産業振興といった取り組みは、これまで多くの自治体で実施されてきており、成功した事例がある一方で、想定通りに効果が得られなかったケースもあります。その要因の一つとして、地域活性化に必要となる自治体の地域資源を十分に活用できなかった点が挙げられます。一方、自治体の特性や課題の類似性が高い場合には、施策効果においても近似した効果が期待できると考えらおり、類似する自治体を判別し、その特性を把握することが重要となります。

課題

都市を評価する手法には、建物や都市の環境性能を総合的に評価するものや、インフラの機能を評価するものなどがあります。これらは、評価する都市を特定し、あらかじめ評価項目を特定したうえで定量評価を行っています。

しかし、持続可能な社会実現に向けては、地域資源が豊富な山間部や農村部の地域活性が重要であり、地域の活性化により都市部の人口集中や環境汚染などの課題解決に繋げることが重要です。これまで、地域の属性や特性を把握したうえで、自治体の価値を明確化する方法はありませんでした。

開発した技術

開発したツールでは、環境、経済、社会の3つのカテゴリーを設定し、地域属性を考慮した包括的な評価の観点から地域活性化ポリシーとして総合的に評価しています(図1)。

図1 地域活性化ポリシー
図1 地域活性化ポリシー

評価指標の抽出は、客観的で公平な政府統計など1,200項目以上の公開データを活用し、地域活性化ポリシーに基づいた50項目を選定し、定量的に評価可能にしました(図2)。

図2 環境、経済、社会の分野から選定した50の評価指標
図2 環境、経済、社会の分野から選定した50の評価指標

これらの評価指標を用いて、全国1,742の自治体について、簡単に地域の特徴を把握可能な評価ツールを開発しました(図3)。この評価ツールでは、人口規模や産業構造で類型化した自治体間の相対評価が可能です。

図3 開発した評価ツール
図3 開発した評価ツール

効果

宮城県七ヶ宿町様のご協力のもと、本ツールを用いた評価を実証しました(図4)。

宮城県七ヶ宿町様は森林に恵まれダム湖もあることから、豊富な環境資源を活用した地域活性化を提案する実践の場として研究を重ねてきました。評価結果から産業構造や人口構造が類似する自治体と比較すると、財政力が高く、健全な行政運営が達成されていることがわかります。財政については、類型化することで、全国平均とは異なる新たな知見が得られました。また、下水道普及も高い値となっており、ダム湖の水資源を大切にするために社会インフラが整備されていることがわかります。

このような結果を踏まえ、七ヶ宿町様の地域活性化の施策として、富士通総研から「森と水の体験プロジェクト」や「林業・バイオマス・太陽光による活性化プロジェクト」を提案しました。

図4 宮城県七ヶ宿町様の評価結果
図4 宮城県七ヶ宿町様の評価結果

今後

本ツールを活用して、行政評価や、総合計画、環境・観光分野の基本計画の策定など、地域活性化に向けたコンサルテーションの展開を加速することができます。富士通研究所と富士通総研は、公開データの活用、データ活用による新たな地域活性化と持続可能な社会への貢献を目指していきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。
注2 株式会社富士通総研:
代表取締役社長 本庄滋明、本社 東京都港区。

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
ソーシャルイノベーション研究所 第一ソリューション研究部
電話 046-250-8361(直通)
メール pr-env@ml.labs.fujitsu.com

株式会社富士通総研
企画室(広報)
電話 03-5401-8399(直通)


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