PRESS RELEASE （導入事例）

2013年5月13日
富士通株式会社

ニコン様、半導体露光装置の解析シミュレーションにクラウドを活用

解析シミュレーション向けクラウドサービス「TCクラウド」を採用

半導体露光装置について

半導体露光装置とは、半導体の製造プロセスにおいて電子回路のパターンをシリコンウェハーに焼き付ける装置であり、ナノメートル単位の微細な制御が必要なため「史上で最も精密な機械」とも呼ばれています。温度変化や振動に敏感なため、装置の開発にあたっては構造解析、熱流体解析、熱伝導解析など、様々な解析シミュレーション技術が利用されています。

ニコン様は、世界で最先端の領域を切り拓いてきた精密光学機器メーカーであり、製造・販売している半導体露光装置は世界中の半導体企業で利用されています。

導入の背景

従来、ニコン様では、自社の環境を利用して解析シミュレーションを行っていました。しかし、大規模な並列計算環境の構築・運用管理は困難であり、半導体露光装置の性能向上にともなう解析シミュレーションの大規模化が難しい状況にありました。また、開発フェーズによって解析シミュレーションの需要に変動が生じ、ピーク時に計算リソースが不足して開発スケジュールに影響する恐れがあるという課題がありました。

今回ご採用いただいたサービスについて

これらの課題を解決するために、ニコン様は、当社の解析シミュレーション向けクラウドサービス「TCクラウド」の「解析プラットフォームサービス」を採用されました。本サービスは、お客様の利用ニーズにあわせて解析シミュレーション用の計算リソースをクラウド上で提供するものです。ニコン様は、大規模な並列計算に適した本サービスを、半導体露光装置開発の様々な局面で必要となる解析シミュレーションの実行環境として利用されます。

今般、ニコン様では、当社の「TCクラウド」採用により、構築・管理の手間をかけることなく、円滑に最先端の半導体露光装置開発のための大規模解析シミュレーションができるようになり、リードタイム短縮を実現しました。また、解析需要の変動に応じてオンデマンドで計算リソースを増減できるため、ピーク時にも十分な計算リソースが利用できる一方で、オフピーク時には計算リソースを減らすこともでき、コストの最適化も可能となります。本サービスは、当社の堅牢なデータセンターから提供されており、BCP対応も実現しました。

半導体露光装置事業部 マネジャー 安田 雅彦様のコメント

半導体露光装置はナノメートルオーダーの精度が要求される精密な装置です。またシリコンウェハーのサイズが300ミリメートルから450ミリメートルへの移行が現実的となり、従来よりも一層高い精度が要求されるようになってきています。これほど高精度な装置は試作の積み上げでは実現不可能であり、コンピュータを利用したシミュレーションが欠かせません。1年ごとに装置の新機種をリリースしていますが、開発スピードの向上にもシミュレーションは役立っています。

「TCクラウド」を利用することで、大規模な並列計算により、短時間で高精度な解析シミュレーションが可能になったこと、解析の需要の波に対して柔軟に対応できるようになったこと、堅牢なデータセンターで運用されているため事業継続の観点で安心して使えることにメリットを感じています。

半導体露光装置事業部 主幹研究員 長坂 博之様のコメント

自社で保有している解析環境には限りがあり、急な解析案件が発生したときに迅速に対応できないことが課題でした。また、大規模並列計算に向いたプラットフォーム環境を構築する技術が社内になかったため、大規模な解析シミュレーションに取り組めないという問題がありました。

「TCクラウド」を選択した理由は、従来かかえていたこのような課題や問題を解決できることに加え、スーパーコンピュータの開発・運用の豊富な実績のある富士通だからこそ、高度な解析を安定して行える環境を用意してくれるだろうという信頼感がありました。

また、自社で環境を用意するのに比べて、短期間で導入できたこと、サーバ室や電源確保の手間がかからず導入が非常に楽だったことが、クラウドのメリットだと感じました。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

関連リンク

• FUJITSU Technical Computing Solution TCクラウド

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