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PRESS RELEASE (技術)

2013年1月21日
株式会社富士通研究所

PC画面を携帯電話やタブレットで撮影するだけでファイルの転送を可能にする技術を開発

IPアドレスなどを目に見えないように画像に重畳し、同時に複数の人がファイルを入手可能に

株式会社富士通研究所(注1)は、これまでテレビと携帯電話間での映像を介した通信技術として、目には見えない通信情報を映像に重畳し、その映像を携帯電話のカメラで撮影することで通信を行う映像媒介通信技術(注2)を開発してきました。今回、この技術を応用し、PC画面を携帯電話やタブレットなどで撮影するだけで画面に表示されているファイルをPCと携帯電話間で転送可能とする技術を開発しました。

本技術では、IPアドレスなどの端末固有の情報を目に見えないようにPC画面へリアルタイムに重ね合わせることにより、PC画面を携帯電話のカメラで撮影するだけで被写体のPCを特定します。その後、自動的に被写体PCと携帯電話間の通信経路を確立し、画面に表示されているファイルを携帯電話へ転送します。これにより、PCと携帯電話間でファイル転送を行う際に、従来はファイル一覧メニューから特定のファイルを探して選択するなどの複雑な操作が必要であったものを、画面を撮影するだけで簡単に行えるようになります。例えば、会議中にプレゼン資料が投影されているスクリーンを複数の人が同時に撮影してプレゼン資料を個々の携帯電話にダウンロードしたり、携帯電話で撮影した写真をPCに転送するといった利用が期待されます。

本技術は、2月25日(月曜日)から28日(木曜日)にスペイン・バルセロナで開催される展示会「MWC 2013 (Mobile World Congress 2013)」に出展する予定です。

開発の背景

近年、携帯電話の高機能化やタブレットの普及により、従来PCでしか実現できなかったファイル閲覧や編集などが携帯端末で可能になり、それに伴いPCと携帯端末間でのファイルの転送のニーズが高まっています。例えば、PCで作成したファイルを携帯電話やタブレットにコピーして閲覧や編集、もしくは携帯電話で撮影した写真や動画をPCにコピーして視聴するといった利用シーンが増えています。しかし、PCと携帯電話の連携は一般ユーザーにとってまだまだ敷居が高く、PCと携帯電話間のファイルの転送をより簡単に実現することが望まれていました。

課題

PCと携帯電話間でファイルを転送する手段として、USBケーブルやWi-Fi経由で接続する方法、クラウド経由でファイルを共有する方法などがありますが、接続のための設定が必要であったり、クラウド経由の場合は企業内の重要なファイルを扱うことに対してセキュリティを懸念する企業も少なくありません。また、これらいずれの場合も、ファイル一覧メニューから特定のファイルを探して選択するなどの複雑な操作が必要であり、直感的な操作で、かつ少ない手順で実現できませんでした。

一方で、直感的にファイルの転送を行う手段として、携帯電話のカメラでPCの画面を撮影し、画像認識技術を用いて表示しているファイルを検出する方法がありますが、PCのIPアドレスなどの端末固有の情報までは特定できないため、PCと携帯電話の通信を何らかの手段で事前に確立しておくという手間が必要でした。

開発した技術

今回、PC画面に携帯電話のカメラをかざすだけで被写体となっているPCを特定し、PC画面に表示されているファイルを携帯端末に自動転送する技術を開発しました。

開発した技術の特長は以下の通りです。

  1. PC画面向け映像媒介通信技術

    通信情報を目に見えないようにPC画面にリアルタイムで重畳する技術です。通信情報とはIPアドレスやSSID、もしくはそれらに関連付けされたIDなど、ネットワーク上にあるPCを識別するための情報です。通信情報の重畳には映像媒介通信技術を使用しています。映像媒介通信技術とは映像に微小な灯りを重畳し、その微小な灯りの数を増減させることにより光通信のような明暗を緩やかに発生させて情報を送信する技術です。この技術を用いて通信情報を人の目には見えない信号に変換して、PCのデスクトップに重畳しています。デスクトップ上で重畳しているため、オリジナルのファイルには手を加える必要はありません。本技術により、PC画面を携帯電話のカメラで撮影するだけで被写体のPCを特定します。


    図1 PC画面に通信情報を重畳

  2. ファイル転送技術

    PC画面上に表示されているファイルを常に監視して、携帯電話からのファイル転送要求時に画面に表示されているファイルを携帯電話に自動転送する技術です。PCにインストールした専用ソフトウェアが、PC画面に表示されているファイルを監視しています。PCの専用ソフトウェアはPCのデスクトップの状況を解析し、PC画面の最前面に表示されているファイル情報を抽出します。携帯電話からファイル転送の要求が届くと、最前面に表示されているファイルをFTPSなどのセキュアなファイル転送プロトコルを利用して携帯電話に転送します。本技術により、ファイルを選択するなどの複雑な操作を必要とすることなく、PC画面を撮影するだけで簡単にファイルを転送することが可能となります。


    図2 動作原理

    デモンストレーション(動画)
    (再生時間: 38秒 / 音声なし)

効果

本技術により、画面に携帯電話をかざすだけで簡単にPCと携帯電話間でファイルの転送が可能となり、様々なサービスへの展開が可能になります。

例えば、

  • 会議中にスクリーンに表示されているプレゼン資料を複数のメンバーが同時にダウンロード
  • 携帯電話で撮影した写真をPCへ転送
  • 出張前にデスクトップPCで編集中のファイルをノートPCに転送
  • 自宅で読みかけの資料を携帯電話に転送して外出先で閲覧

などが考えられます。


図3 利用シーン

今後

今後は、PC画面から携帯電話への通信速度を改善し、2014年度中の実用化を目指します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。
注2 映像媒介通信技術:
人の目には認識できない複数の微小な灯りを映像に重畳し、映像を媒体としてテレビ受信機から携帯端末へ情報を送信する技術。2012年6月4日にプレスリリース。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
メディア処理システム研究所 イメージシステム研究部
電話 044-754-2639(直通)
メール video2mobile@ml.labs.fujitsu.com


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