PRESS RELEASE
2012年11月14日
独立行政法人理化学研究所
国立大学法人筑波大学
富士通株式会社
スーパーコンピュータ「京」でHPCチャレンジ賞 3部門の第1位を獲得
スパコンの総合的な性能を評価するベンチマークで昨年に続き高性能を実証
理化学研究所(野依良治理事長)、筑波大学(山田信博学長)、および富士通株式会社(山本正已代表取締役社長)は、スーパーコンピュータ「京(けい)」(注1)で測定した、スパコンの総合的な性能を評価するHPCチャレンジベンチマーク(注2)の実測結果により、2012年「HPCチャレンジ賞(注3)」の4部門中3部門で第1位を獲得しました。米国・ソルトレークシティで開催中のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算技術)に関する国際会議「SC12」で現地時間13日(日本時間14日)、発表されました。HPCチャレンジ賞で第1位を獲得したのは、(1)大規模な連立1次方程式を解く演算速度 (2)多重負荷時のメモリアクセス速度 (3)高速フーリエ変換の総合性能 の3部門です。京は、昨年の4部門第1位に引き続き汎用スパコンとしての総合的な性能において高い評価を得たことになります。
HPCチャレンジベンチマークは、科学技術計算で多用される計算パターンから抽出した28項目の処理性能によって、スパコンの総合的な性能を多角的に評価するベンチマークプログラムです。この中でも特に重要な(1)Global HPL(大規模な連立1次方程式を解く演算速度)(2)Global RandomAccess(並列プロセス間でのランダムメモリアクセス性能)(3)EP STREAM(Triad) per system(多重負荷時のメモリアクセス速度)(4)Global FFT(高速フーリエ変換の総合性能)の4つについては、HPCチャレンジ賞(クラス1)として各部門の第1位が表彰されます。
筑波大は4つのプログラムのうちGlobal FFTの高速化に大きく貢献し、その上で、理研、筑波大、富士通は、これら4つのベンチマークプログラムの性能をHPCチャレンジ賞(クラス1)に登録しました。
2012年HPCチャレンジ賞(クラス1)4部門の上位3位は以下の通りです。
Global HPL | 性能値(TFLOP/s) | システム名 | 設置機関 |
---|---|---|---|
1位 | 9,796 | 京 | 理研 計算科学研究機構 |
2位 | 1,534 | Cray XT5 | オークリッジ研 |
3位 | 1,344 | IBM Power775 | IBM(社内設備) |
Global Random Access | 性能値(GUPS) | システム名 | 設置機関 |
1位 | 2,021 | IBM Power775 | IBM(社内設備) |
2位 | 472 | 京 | 理研 計算科学研究機構 |
3位 | 117 | IBM BG/P | ローレンスリバモア研 |
EP STREAM(Triad) per system | 性能値(TB/s) | システム名 | 設置機関 |
1位 | 3,857 | 京 | 理研 計算科学研究機構 |
2位 | 525 | IBM Power775 | IBM(社内設備) |
3位 | 398 | Cray XT5 | オークリッジ研 |
Global FFT | 性能値(TFLOP/s) | システム名 | 設置機関 |
1位 | 205.9 | 京 | 理研 計算科学研究機構 |
2位 | 132.7 | IBM Power775 | IBM(社内設備) |
3位 | 11.9 | NEC SX-9 | 海洋研究開発機構 |
京は、開発当初から、広く内外の研究者、技術者の利用に供することを念頭に、高い演算性能と幅広い範囲のアプリケーションに対応できる汎用性を兼ね備えたスパコンを目指して開発を進めてきました。昨年の4部門第1位に引き続き、今回の結果はそれを実証するものであり、京の汎用スパコンとしての総合的な能力の高さを示すものです。
以上
注釈
- 注1 スーパーコンピュータ「京(けい)」:
- 文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行い、2012年9月に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。「京(けい)」は理研の登録商標で、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるとともに、この漢字の本義が大きな門を表すことを踏まえ、「計算科学の新たな門」という期待も込められている。
- 注2 ベンチマーク:
- コンピュータのハードウエア・ソフトウエアの動作速度を評価するための基準。
- 注3 HPCチャレンジ賞:
- HPCチャレンジ賞にはベンチマークの性能値を競うクラス1と、実装における生産性の高さを競うクラス2がある。クラス1は以下の4つの部門で構成され、それぞれシステムを構成する主要な要素(CPUの演算性能、メモリへのアクセス性能、ネットワークの通信性能)の性能が評価される。
・Global HPL:大規模な連立1次方程式の求解における演算速度
・Global RandomAccess:並列プロセス間でのランダムメモリアクセス性能
・EP STREAM(Triad) per system:多重負荷時のメモリアクセス速度
・Global FFT:高速フーリエ変換(FFT)の総合性能
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029-853-6260
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