PRESS RELEASE (環境)
2012年10月15日
富士通株式会社
富士通九州ネットワークテクノロジーズ株式会社
ICTを活用し北海道東部のシマフクロウ生息域調査を支援
富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本 正已、以下、富士通)と富士通九州ネットワークテクノロジーズ株式会社(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長:井上 進)は環境社会貢献活動の一環として、公益財団法人日本野鳥の会(財団事務局:東京都品川区 会長:柳生 博 以下、日本野鳥の会)が北海道東部で実施しているシマフクロウ生息域調査の支援を10月15日より開始します。
富士通グループが人の声の認識で開発した音声処理技術を応用し、生息域で録音した音声データの中からシマフクロウの鳴き声を自動認識し、高精度で抽出するプログラムを開発しました。この技術によりシマフクロウ生息域調査の効率化、精度向上へ貢献します。
富士通グループは、「富士通グループ生物多様性行動指針」のなかで、ICTを活用した生物多様性保全を重点施策の一つとして掲げています。
背景
写真提供:日本野鳥の会
シマフクロウは環境省レッドリストの絶滅危惧IA類(注1)に指定されており、日本には北海道の中部と東部に140羽程度しか確認されていません。日本野鳥の会は、シマフクロウの保全を目的とした野鳥保護区を設定するために、シマフクロウの生息域や生息数を把握する調査を行っています。従来は、夕方から夜にかけて生息域に調査員を10名程度配置し、数時間耳で聞いて鳴き声を確認していました。2011年10月からは、調査員が18地区284ヵ所の生息域の道路沿いに約500メートル間隔でICレコーダを夕方に設置し音声を3時間録音。翌日回収した録音データを市販の音声解析ソフトで再生し、目視による音声スペクトルの確認や試聴により、シマフクロウの鳴き声の有無を人が抽出する方法で確認していました。しかし、人手による3時間の録音データの処理作業は約1時間を要し、調査効率の向上や、録音されたシマフクロウの鳴き声が遠い場合には検知が困難であるという課題がありました。
概要
シマフクロウはつがいで生息している場合が多く、夕方から夜にかけて同じ場所で鳴き続けるという習性があります。オスとメスが鳴き交わすときのオスの鳴き方の音声スペクトルのパターンの特徴に着目し、録音データの中からシマフクロウの鳴き声の音声パターンを自動で認識し、シマフクロウの音声を高精度で抽出するプログラムを開発しました。
本プログラムを使用することにより、解析時間は2、3分に短縮され、調査効率の向上を実現するとともに、人手の確認作業では見落としていた、遠くで鳴くシマフクロウの声も検知可能となり、調査精度の向上に貢献します。
シマフクロウの生息域調査のイメージ
シマフクロウの音声を自動認識するプログラムの表示画面
今後について
シマフクロウ生息域調査において、現状の課題である調査地点へのICレコーダの設置・回収の工数を削減し、雪の深い冬期での調査を実現するため、今後、富士通が開発したマルチセンシング・ネットワーク(注2)の適用を検討していきます。さらにシマフクロウの個体識別など、より高度な調査にもICTを活用し、シマフクロウの保全を支援していきます。これからも当社は「富士通グループ生物多様性行動指針」に掲げた「生物多様性保全へのICTの活用」を推進していきます。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 絶滅危惧IA類:
- ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種。
- 注2 マルチセンシング・ネットワーク:
- 気象情報の計測や画像撮影が可能なマルチセンシング・ユニットを使用し、計測したデータをリモートで収集するネットワーク。特定小電力無線を用いているため、通信コストをかけずに遠隔地のデータ収集が可能。
関連リンク
本件に関するお問い合わせ
富士通株式会社
環境本部 環境企画統括部
044-754-3413(直通)
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第一開発統括部 第一開発部
092-852-3211(代表)
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