PRESS RELEASE (技術)
2012年8月3日
国立大学法人名古屋大学
富士通株式会社
岡山県で一般家庭を対象にした振り込め詐欺誘引通話検出技術の実証実験を開始
本技術の実用化に向けて、世界で初めて実環境下での動作確認を実施
国立大学法人名古屋大学(以下、名古屋大学)と富士通株式会社(以下、富士通)は共同で、岡山県警察様、警察庁中国管区警察局岡山県情報通信部様、株式会社中国銀行様の協力のもと、2012年8月より岡山県で、世界で初めて一般家庭を対象にした振り込め詐欺誘引通話検出技術の実証実験を開始します。
本実証実験では、モニター宅で振り込め詐欺が疑われる通話を検出すると、まず、モニターご本人に合成音声で警告します。次いでモニター宅の親族、および、警察、銀行と関係機関にアラームメールが送信されます。たとえば、アラームメールを受信すると、警察はそのモニター宅を訪問するなど、各機関がそれぞれの対処を行います。
本実験を通じて、振り込め詐欺誘引通話検出技術の精度向上(検出率の向上、誤検出の抑止)を図ると同時に、社会システム(親族、警察、銀行による抑止体制)との連携を検討します。
本研究は、2009年11月に発表済み(注1)の、独立行政法人 科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」研究領域(研究総括:東倉 洋一)における研究課題「行動モデルに基づく過信の抑止」(研究代表者:武田 一哉)の一環として行われたものです。
振り込め詐欺誘引通話検出技術について
名古屋大学と富士通は、音声の調子に着目する「過信状態推定技術」および振り込め詐欺特有のキーワード検出技術を用いた「振り込め詐欺誘引通話検出技術」を開発してきました(2012年3月発表)(注2)。このたび模擬通話での検出精度が一定の水準に達したことから、実証実験を計画しました。
実証実験の概要
岡山県に居住し、固定電話を使用しているモニター宅延べ100人以上に検出機器を設置し、通話を分析します。振り込め詐欺が疑われる会話を検知した場合、以下の対応を行います。
- モニター宅の検出機器が振り込め詐欺誘引通話を検出した場合、検出機器が、モニターご本人に合成音声で警告します。また、関係先(親族、警察、銀行、富士通)にアラームメールが送信され、アラームメールを受信した親族は、モニターに連絡し異常の有無を確認します。警察では、モニター宅に警察官が臨場し、状況を把握します。また、銀行は、モニターからあらかじめ依頼された口座を一時的に支払い停止にするなど(事前に登録された方のみ)、各機関がそれぞれの対処を行います。
- 富士通は、本実験を通じて、振り込め詐欺誘引通話検出技術の精度向上を図ります。また、社会システム(アラームメールを受信する親族や各機関の抑止体制)との連携について検討を行います。
今後について
実証実験中は、途中結果を基に検出の精度向上を行い、その内容をモニター宅に設置した検出機器へ反映します。実証実験終了後は、社会システムとの連携を含めた実用化の方策を検討します。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 2009年11月に発表済み:
- PRESS RELEASE “「行動モデルに基づく過信の抑止」の研究開始について”
- 注2 2012年3月発表:
- PRESS RELEASE “世界初!過信状態を声の高さと大きさを基に検出する技術を開発”
本件に関するお問い合わせ
国立大学法人名古屋大学
情報科学研究科
052-789-3647
secretary@g.sp.m.is.nagoya-u.jp
富士通株式会社
044-874-2489
speech_recognition_pr@ml.labs.fujitsu.com
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