PRESS RELEASE (環境)
2012年6月27日
富士通株式会社
国内初、銅を高濃度で回収する新廃水処理システムを長野工場に導入
使用する薬品の種類を4分の1に削減
当社は、国内で初めて、銅を含有する工場廃水から、銅濃度の高いスラッジ(注1)を生成することで、効率的に銅を回収する株式会社東芝の新しい水処理システムを長野工場に導入し、本日より運用を開始します。
本システムの導入により、銅含有スラッジから、廃水処理に使用する薬品などの不純物が少なく高濃度(90パーセント以上)な銅を回収し有償化できるだけでなく、薬品の種類を4分の1へ大幅に削減することによる環境負荷と運用コストの削減、さらに処理時間の短縮、施設の省スペース化を実現します。
今後、本システムの効果検証と運用ノウハウの取得を行い、富士通グループの製造拠点への横展開を検討していきます。
当社グループは、第6期富士通グループ環境行動計画(注2)において、廃棄物発生量の削減を推進しています。主に当社のプリント基板を開発・製造している長野工場では、プリント基板の製造工程から発生する廃水に含まれる銅の効率的な回収や、製造・廃水処理で使用する薬品やスラッジの削減に取り組んでいます。
このたび、富士通の施設・管理業務を担う富士通ファシリティーズ株式会社(注3)は、廃水から有価金属を高い濃度で効率的に回収できる、新たな廃水処理システムを長野工場に導入し、廃水からの高濃度(90パーセント以上)な銅を効率的に回収するとともに、廃水処理に使用する薬品の種類を4分の1に低減します。
廃水処理システムについて
工場廃水中に含まれる銅は粒子径が細かく、ろ過抵抗が高い性質を持つため、これまでは凝集沈殿処理という凝集剤(注4)を用いる水処理方法が行われており、薬品由来のスラッジが発生していました。
本システムは、廃水をろ過する際に磁性体の機能粉を用いることで、中和剤以外の薬品を使用せずに、効率的に銅を回収することができます。本システムを導入した廃水系統においては、従来は処理薬品などの不純物が含有された多量のスラッジ(35トン/月)が生成されていましたが、本システム導入により、少量で高濃度な銅含有スラッジ(5トン/月)を生成することができ、従来に比べ売却額の高い有価物として回収できます。また、ろ過した後の機能粉は磁気により容易に分離することができ、システム内で循環・再利用が可能なため、有価物回収も含めて運用コストを従来比で約40パーセント削減できるだけでなく、処理時間や、これまでの廃水処理設備と比べて設置スペースも約50パーセント低減することが可能です。
[廃水処理システム概要]
今後について
長野工場において、その他の適用可能な廃水系統へ順次導入拡大を行なうとともに、富士通グループで実用化した酸化銅変換技術(注5)を導入し、さらに付加価値の高い酸化銅に加工する取り組みを2012年10月より行う予定です。また、このシステムは銅以外の有価物質も回収が可能な技術であるため、長野工場での導入拡大や富士通グループの拠点への横展開を検討していきます。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 スラッジ:
- 廃水処理の過程で生じる重金属などや水分を含んだ固形物質。金属の種類や含有量によっては有価物化が可能。
- 注2 第6期富士通グループ環境行動計画:
- 廃棄物発生量を2012年度末までに2007年度比20パーセント削減。国内生産事業所におけるゼロエミッション活動を継続維持。
- 注3 富士通ファシリティーズ株式会社:
- 本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 斜木 睦美、資本金:9000万円 (富士通全額出資)
- 注4 凝集剤:
- 廃水中の微粒子は自然の重力では分離することが困難なため、この分離沈降を促進する廃水処理薬品。
- 注5 酸化銅変換技術:
- 塩化銅や水酸化銅を反応処理にて酸化銅に変換する技術。
関連リンク
本件に関するお問い合わせ
環境本部 環境企画統括部
044-754-3413(直通)
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