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PRESS RELEASE (環境)

2011年9月29日
富士通株式会社

事業所敷地の生物生息環境の保全を推進

評価種を選定し、地域の生態系ネットワーク構築の観点から敷地を評価

当社は、地域の生態系ネットワーク(注1)構築の観点から富士通グループの事業所敷地における生物多様性の保全状況を定量的に評価する手法を確立しました。本手法は、事業所において保全すべき野生生物を評価種として選定し、その評価種の生息のしやすさから事業所敷地の評価を行います。今後この手法にもとづき事業所敷地の評価を行い、生物生息環境の保全策を立案・実施することにより、周辺環境に即した生物多様性の保全を推進していきます。

当社は、2009年8月に「富士通グループ生物多様性行動指針」を策定し、生物多様性保全活動を推進しています。事業所の敷地における生物多様性の保全活動の効果を測定するには、土地の利用状況を定量的に評価する仕組みが必要であり、その評価手法を東京都市大学の田中章教授(注2)および富士通エフ・アイ・ピー株式会社(注3)と共同で新たに開発しました。本手法の特長は、これまでの土地利用状況の評価手法であるHEP(注4)を専門家でなくても理解しやすい診断シート(HSIカルテ(注5))の開発により簡易化し、さらに周辺環境との生態系ネットワークの構築適合性という観点を組み込みました。今回、本手法を富士通川崎工場(神奈川県川崎市中原区)に適用し評価を行いました。

評価手法の概要

評価手法の概要


川崎工場を中心とした生態系ネットワークの例

川崎工場における評価

約15ヘクタール(ha)の広さをもつ川崎工場は、多摩川と多摩川の河岸段丘である斜面林の中間に位置し、この地域で生態系ネットワークを構成する際の一エリア(パッチ)とみなすことができます。今回、この地域で保全すべき野生生物の評価種としてシジュウカラ(樹林)、オオカマキリ(草地)、カワセミ(水辺)を選定しました。これら3種の評価種について、工場周辺地域においては生息環境の連続性を評価し、工場敷地内においてはHSIカルテを作成し「採食条件」「水条件」「行動・休息条件」「繁殖条件」から生息地としての適性度合いを評価しました。

<シジュウカラの樹林における評価例>


図1:工場敷地内での生息地としての適性度合い


図2:周辺地域での生息環境の連続性評価

たとえばシジュウカラにおける評価では、採食、水場、生息・休息、繁殖空間の安全性が低いことがわかり(図1)、今後の保全策として人の立ち入り禁止エリアの設定を検討していきます。またシジュウカラからみた川崎工場周辺地域での生息環境の連続性評価では多摩川や等々力緑地とは連続性がみられましたが、河岸段丘・斜面林とは連続性がみられないことがわかりました(図2)。

このように本手法を適用することで、事業所敷地内における生物多様性の保全活動に役立てるのはもちろん、行政や住民、NPO、他の企業などと協力し地域の生態系ネットワークを構築するための具体的な保全策の検討に役立てることもできます。

当社では、今後、本手法を用いて国内の他の事業所敷地も評価し、生物多様性の保全をさらに推進していきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社・各団体の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 生態系ネットワーク:
分断された生物種の生息・ 生育空間を相互に連結することによって、劣化した生態系の回復を図り、生物多様性の保全を図ること。生物種の生息・生育空間としてのパッチとそれらを結ぶコリドー(回廊)からなる。
注2 東京都市大学 田中章教授:
環境情報学部、農学博士。専門は生態系復元・評価、HEPを日本にはじめて導入。
注3 富士通エフ・アイ・ピー株式会社:
社長:杉本 信芳、本社:東京都江東区青海。
注4 HEP(Habitat Evaluation Procedure):
ハビタット評価手続きの略であり、生態系の概念を特定の野生生物のハビタット(生息環境)に置き換え、その適性について、ハビタットの「質」×「空間」×「時間」として定量的に評価する土地利用評価手法。
注5 HIS(Habitat Suitability Index)カルテ:
生物の「採食条件」「水条件」「行動・休息条件」「繁殖条件」について生息地としての適性度合い(ハビタット適性指数)を簡易に評価できるようまとめた診断シート。

本件に関するお問い合わせ

環境本部 環境企画統括部
電話 044-754-3413(直通)
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