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PRESS RELEASE (技術)

2011年9月1日
株式会社富士通研究所

スマートフォンで英会話が楽しめる技術を開発

伝えたいことを正しい英語で表現できるように支援

株式会社富士通研究所(注1)は、英語による会話を容易にする日英対話支援技術を開発し、スマートフォンで利用できるようにしました。従来よりも精度が高い例文検索機能を、音声認識や自動翻訳機能と連携して動作させることができます。

本技術の適用により、相手に伝えたい英語の表現の幅が格段に広がり、意図した通りに伝わるケースが従来に比べ約1.5~2倍(注2)になります。この結果、旅行先などで円滑なコミュニケーションが可能になります。


図1 従来のアプリケーション(左・イメージ)と、今回開発したアプリケーション(右)

開発の背景

海外旅行などで日本人が英語で会話をする機会が増えていますが、多くの日本人にとってそのハードルが高いのが現状です。従来は、英語での会話を支援するために、例文検索を活用した音声による対話支援アプリケーションなどが利用されてきました。しかし、検索精度が十分でなく意思疎通がうまくはかれない場合が多いため、対話をよりスムーズに支援するアプリケーションが求められていました。

課題

従来の例文検索による対話支援アプリケーションでは、たとえば「ニューヨークに行くバスはどこ」と音声入力した場合に、「ボストン行きのバス停はどこですか」といった、意図しない例文が検索されることがありました(図1・左)。

例文検索の場合、すべての例文をデータとして用意することはできないため、利用者が意図した通りに対話できない場合が多く、実用レベルには達していませんでした。

開発した技術

今回、例文検索でのヒット率を高めることができる「あいまい雛形例文検索技術」を開発し、スマートフォン上で音声認識や自動翻訳機能とともに搭載することで、実用的な対話支援機能を実現しました(図1・右)。

開発した技術の特徴は以下の通りです。

  1. あいまい雛形例文検索技術を開発

    入力されたキーワードを判別し、固有名詞や地名などを雛形化することによって、より幅広い例文にマッチすることが可能な「あいまい雛形例文検索技術」を開発しました(図2)。これにより、例文のヒット率が大幅に向上します。


    図2 あいまい雛形例文検索技術

    本技術では、「ニューヨークに行くバスはどこ」と入力したときに「ニューヨーク」が地名だと自動認識して雛形例文をあいまい検索し、「~(地名)行きのバス停はどこですか」「~(地名)へ行くバスはここに停まりますか」などが検索されます。その後、地名の部分に「ニューヨーク」をあてはめて出力することにより、「ニューヨーク行きのバス停はどこですか」という例文が検索できます。

  2. あいまい雛形例文検索、音声認識、自動翻訳の機能を統合

    1度の音声入力で、あいまい雛形例文検索と自動翻訳の結果が同時に1画面内に表示されます(図1・右)。また、音声認識結果をキー入力で修正した場合も、あいまい雛形例文検索と自動翻訳の両方で修正が反映されます。

    あいまい雛形例文検索は多少の音声認識の誤りがあっても例文検索が有効に働くため、従来の音声自動翻訳による対話支援に比べて音声誤認識による言い直しの頻度が少なくなります。さらに、2つ3つのキーワードを音声入力するだけで例文検索を行うこともできるため、騒音が大きい環境などで対話支援を有効に使える場面が広がります。

  3. スマートフォン単体で動作

    音声認識、あいまい雛形例文検索、自動翻訳のすべての機能がネットワークにつなげなくてもスマートフォン単体で動作するため、ネットワーク環境を気にせずに世界中どこでも利用することができます。

    なお、自動翻訳エンジンについては、当社のパソコン版の日英・英日翻訳エンジンをAndroidスマートフォンに適用しました。

効果

今回開発した「あいまい雛形例文検索技術」を用いると、実質的に例文数を増やした場合と同じ効果が得られるため、従来の音声自動翻訳、または、音声による例文検索を単体で利用した場合と比べて、日英会話支援の可能性が格段に広がります。

実証実験で話者の意図がどのくらい伝わるかについて評価したところ、従来の音声翻訳のみを使ったときには40%、音声による例文検索のみを使ったときには50数%の割合でしか意図が伝えられなかったケースについて、今回の技術を用いると約80%にまで改善されることが確認されました。

今後はさらなる精度の向上に努め、早期の製品化を目指します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。
注2 従来に比べ約1.5~2倍:
一般的なオフィス環境で従来の音声翻訳と今回の技術を比較した場合。当社調べ。

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
メディア処理システム研究所
電話 044-754-2960
メール transphone@ml.labs.fujitsu.com


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。