PRESS RELEASE (システムプラットフォーム)
2011年6月3日
富士通株式会社
世界最高水準の高速・高信頼なデータ処理を実現するインメモリデータ管理ソフトウェア
「Primesoft Server V1.1」販売開始
当社は、高い可用性と拡張性を備えマイクロ(百万分の一)秒レベルの処理を実現する高速インメモリデータ管理ソフトウェア「Primesoft Server(プライムソフト サーバ) V1.1」を本日より販売開始します。
本製品は、メモリ上のデータへマイクロ秒レベルで超高速アクセスすることにより、高いレスポンス性能とスループット性能を実現するソフトウェアです。データを自動的に冗長化することで高信頼性を確保するとともに、運用を継続しつつシステム拡張可能なスケーラビリティを備えており、短時間に大量のデータを高速に処理する金融取引やネット取引などのシステムに適しています。
「Primesoft Server」は、2010年1月に稼働した東京証券取引所様の次世代株式売買システム「arrowhead」(注1)の株式売買に関連するすべてのサーバに適用されたソフトウェアであり、ミッションクリティカルな「arrowhead」の高速性、信頼性、拡張性を支えています。このたび、「arrowhead」での安定稼働の技術をベースに、24時間365日継続運用可能な機能を追加し、新たに販売を開始します。動作サーバとしては、当社基幹IAサーバ「PRIMEQUEST」のほか、ブレードサーバ「PRIMERGY BX」を追加しました。
[関連リンク] 「Primesoft Server」紹介サイト
今日のICTシステムでは、テクノロジーの発達、ビジネスモデルの変革により、従来のオンラインシステムでは困難な処理も出てきており、大量かつ高速なデータ処理が求められています。金融業界では、個人投資家のオンライン取引の普及や証券会社・機関投資家によるアルゴリズム取引(注2)により、高速なレスポンスが日常的に要求されるようになっています。また、ネットオークションなど瞬時に発生する爆発的なトランザクション、スマートグリッドや物流トラッキングのデータなど、高速かつ大量なデータレスポンス・スループットへの対応が求められています。
本製品は、メモリ上に配置したデータへのマイクロ秒レベルの超高速アクセスと秒レベルの切替えによる業務サービスの継続性を備えたインメモリデータ管理ソフトウェアです。メモリ上のデータは常に複数のサーバに複製しており、障害時の秒レベルでのサーバ切替えとデータ保全を実現しています。また、アプリケーションに影響を与えることなく迅速なシステム拡張、サーバ追加が可能です。さらに、24時間365日の継続性が求められるシステムでも、運用中にサーバの組込み、データ復元が可能であり、幅広いシステムに適用できます。
「Primesoft Server」は、当社がメインフレームで培った高信頼・高可用テクノロジーと、高度な基礎研究に基づくデータ管理、ネットワーク、クラスタに関する先進技術を結集して開発しています。大量のデータを高速に処理する社会システムのインフラ構築を強力に支援します。
「Primesoft Server V1.1」の主な特長
- マイクロ秒レベルの高速アクセス
本製品では、アプリケーションからのトランザクションデータだけでなく、更新ログも含めたすべてのデータをメモリ上に配置することで、ディスクへのアクセスが不要になり、さらにサーバ間のネットワークアクセスに独自プロトコル(特許出願済)を採用することで、マイクロ秒レベルの高速アクセスを実現しています。
- データの冗長化による高信頼性、データ復旧の高速性
インメモリで管理しているトランザクションデータは、常時、自動的に待機側サーバへミラーリング(特許出願済)し、データを冗長化しています。また、待機側サーバではミラーリングされたデータを即時反映し、インメモリデータ全体を現用サーバと同じ状態にしてメモリ上に保持しています。これらにより、現用サーバが万一ダウンした際は、データの安全性を保ち数秒でデータ復旧し、無停止の業務サービスを実現します。
- システムの処理量増加に合わせた柔軟なシステム拡張
データを複数のサーバに分散配置し、データの配置場所を仮想化することで、アプリケーションはデータの所在を認識不要なほか、容易にサーバ追加が可能です。これらにより、システムの急激な処理量の増加に柔軟に対応することが可能となり、システム拡張を安全かつ迅速に行うことができます。
- 24時間365日運用に向けた安定した業務サービスの提供
24時間365日稼働するシステムでも、定期保守のためにサーバ停止が必要な場合があります。本製品では、メモリ上に配置したデータを冗長化しているため、業務サービスを継続したまま、運用中に一部のサーバを停止し、保守を行うことが可能です。また、保守作業完了後も、業務サービスに影響を与えずに、バックグラウンドで最新データへの復元・システムへの組込みを行うことが可能なため、24時間365日の安定した業務サービスが継続可能です。
「Primesoft Server V1.1」の適用シーン
本製品は高速性と信頼性を必要とするさまざまなシステムに適用可能です。
- ネットオークションシステム、投票システムなど瞬間的に大量データを扱うシステム
- 新たな入力手段(センサー・RFID・モバイル端末など)を活用し定常的に大量のデータを扱うシステム
このようなシステムに本製品を適用することにより、大量に発生する入力データを遅延なく受け付け、データの一貫性を保った高速処理を実現し、24時間365日冗長性を維持した運用を継続することが可能となります。
株式会社東京証券取引所 専務取締役CIO 鈴木 義伯 様からのコメント
新売買システム(arrowhead)の高速化を支えている、「Primesoft Server」の発売開始を歓迎します。
「Primesoft Server」の高速性により、arrowhead構築時に掲げた性能目標を大幅に上回り、従来比で1,000分の1となる、2ミリ秒の応答時間を達成できました。
これによって、証券取引における新しいビジネスモデルを実現することができ、市場の活性化に大きく貢献しました。
販売価格、および出荷時期
製品名 | 標準価格(税別) | 出荷時期 |
---|---|---|
Primesoft Server Enterprise Edition V1.1 | プロセッサライセンス 650万円 |
2011年7月より |
動作環境
サーバ | : | 当社 基幹IAサーバ「PRIMEQUEST 1000シリーズ」、ブレードサーバ「PRIMERGY BX」 |
OS | : | Red Hat Enterprise Linux 5 |
サーバ、対象OSの詳細については、下記の関連リンクをご参照ください。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 「arrowhead」:
- 東京証券取引所様の次世代株式売買システム「arrowhead」は2010年1月4日から稼動を開始。プレスリリースはこちら
- 注2 アルゴリズム取引:
- コンピュータシステムが株価や出来高などに応じて、自動的に株式売買注文のタイミングや数量を決めて注文を繰り返す取引。
関連リンク
本件に関するお問い合わせ
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