PRESS RELEASE
2011年3月10日
地方独立行政法人 静岡県立病院機構
富士通株式会社
静岡県立病院機構が地域医療連携システムを4月に本稼働
県全域をカバーできる連携システムの実現を目指す
地方独立行政法人静岡県立病院機構(所在地:静岡県静岡市、理事長:神原 啓文、以下、静岡県立病院機構)は、総務省の地域ICT利活用広域連携事業の委託を受け、富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本 正已、以下、富士通)と共同で、地域医療連携システム「ふじのくにバーチャル・メガ・ホスピタル(以下、ふじのくにねっと)」を構築しました。2011年2月から3中核病院(注1)と13診療所(注2)を対象に実証実験を開始し、4月から本稼働させます。
「ふじのくにねっと」は、富士通の地域医療連携のパッケージをベースに構築されており、複数の中核病院や診療所が共通の電子カルテシステムを情報共有できるN対N型の地域医療連携システムです。また、静岡県立病院機構は、県内のデータセンターに全国初となる県全域をカバーする地域医療連携システムの基盤を整備し、2016年度までに、全8医療圏(注3)にまたがる県全域の医療関連機関(約27中核病院、約210診療機関)の参加を目標としています。今後、中核病院や診療所だけではなく介護施設や薬局などにもネットワークを広げ、より広範囲な地域医療連携の実現と、緊急時や災害時にも患者様が県内どこでも一貫した医療サービスを安心して受けることができる、医療社会の実現に貢献していきます。
近年、静岡県は深刻な医師不足(人口10万人当たり医師数:全国ワースト4位(注4))による医療サービスのレベル低下や診療科の休止や縮小、医療機関の都市部への集中による地域偏在により、医療サービスの地域格差が発生しています。また、東海地震発生の危険にもさらされており、大規模災害時に県全域にわたる広域医療連携体制の構築が緊急の課題となっています。そんな中、静岡県では、以前から静岡県版電子カルテシステム(注5)など地域医療連携強化に取り組んできましたが、紹介状などのデータの受け渡しにCD-Rや紙・Faxが使用されていることから、付帯事務作業が発生し医療施設職員の作業負荷増大などの問題が起きていました。
「ふじのくにねっと」の参画病院の一つである
静岡県立総合病院
そこで静岡県立病院機構は、複数の中核病院と診療所で電子カルテシステムなどの患者情報・診療情報を共有できる地域医療連携システム「ふじのくにねっと」をこのたび構築、2011年2月より3中核病院と13診療所で実証実験を実施し検証の上、4月から本稼働させます。また、静岡全域での医療サービス向上のため、地域医療連携システムを設置する「しずおか広域医療連携ネットワークセンター」に、全国初となる県全域の医療機関が連携できる基盤を整備し、2016年度までに県内の全8医療圏にまたがる医療関連機関(約27中核病院、約210診療機関)の参加を目指しています。
静岡県立病院機構は、「ふじのくにねっと」をベースに、複数の中核病院と診療所で診療情報を共有できるN対N型の地域医療連携システムである富士通の地域医療連携のパッケージを採用し、病院―病院間、病院―診療所間連携の強化促進を図っています。これにより、静岡県内では中核病院や診療所の機能・役割に応じて組み合わせた複数施設での一貫した医療サービスの提供が可能となり、医師不足や医療サービスの地域格差の補完が図れます。また、急性期医療(注6)を担う中核病院と初期医療を担う診療所との役割分担と連携が強化されることで、医師不足とコンビニ受診(注7)による中核病院の医師の業務負荷が軽減され、医療サービス改善が期待されます。さらに、診療所から中核病院に患者を紹介する際の課題となっている、紹介状・返書の作成や送付もオンラインで実施できるため、作成業務や管理業務を効率化できます。大規模災害時には、他地域・病院から受け入れた患者様の過去の診療情報をオンデマンドで確認できることで、迅速な診療が可能となります。
ふじのくにバーチャル・メガ・ホスピタル(イメージ図)
静岡県立病院機構は、これらのことを実現することで、患者様が平常時・災害時に関わらず県内どこでも、一貫した医療サービスを安心して受けられる医療社会の実現を目指します。また、今後「ふじのくにねっと」のクラウド型データセンター化を視野に入れ、より広範囲に連携し利便性を高めるため、介護施設や薬局などの医療関連機関に連携先を広げていく予定です。
富士通は、今後も「ふじのくにねっと」のシステム基盤をサポートするとともに、随時、必要とされる機能の追加や強化に努めていく方針です。また、「ふじのくにねっと」のノウハウを元に、他都道府県における広域地域医療連携の展開を目指していきます。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 3中核病院:
- 静岡県立総合病院、藤枝市立総合病院、焼津市立総合病院。
- 注2 13診療所:
- 上記中核3病院が属する医療圏内の診療所など。
- 注3 医療圏:
- 都道府県が定めている、病院の病床の整備を図るために地域的単位として区分する区域。
- 注4 全国ワースト4位:
- 出典:平成20年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況(2009年12月17日厚生労働省報道発表資料)。
- 注5 静岡県版電子カルテシステム:
- 2006年1月に稼働した県内医療機関の病診連携、病病連携を促進し、医療の質を向上させるため、共通使用できる電子カルテ情報の標準化・交換システム。
- 注6 急性期医療:
- 発症間もなく症状の比較的激しい時期の患者様に、一定期間集中的な治療を実施すること。
- 注7 コンビニ受診:
- 一般的に外来診療をしていない休日や夜間の時間帯に、救急外来を受診される緊急性のない軽症患者の行動のこと。
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