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PRESS RELEASE (サービス)

2011年2月9日
富士通株式会社

要件定義のノウハウを集大成、「Tri-shaping」として体系化

ビジネス貢献にとどまらず、お客様の改革をも加速させるICTシステムの構築を目指す

当社は、お客様のビジネスに貢献する業務プロセスの分析・改善提案とICTシステム(以下、システム)の構築における要件定義(注1)の手法「Tri-shaping(トライ・シェイピング)」を新たに体系化し、2011年4月より、原則3億円以上の当社グループのプロジェクトへの適用を開始します。

「Tri-shaping」は、2009年10月に発表した「新要件定義手法」を強化・発展させ体系化したもので、以下の3つの手法で構成しています。

  1. 経営層・業務部門の要求(注2)を明確にし、立案・決定する要求形成手法
    「shapingBR」(shaping Business Requirement) (旧 「新要件定義手法」)
  2. 業務プロセスを分析し、シンプルで柔軟な業務プロセスの設計を行う業務形成手法
    「shapingBP」(shaping Business Process)
  3. 業務ルールのヌケモレ・曖昧さを低減し、システム構築のスピードアップを図る業務仕様形成手法
    「shapingBS」(shaping Business Specification)

さらに当社は、お客様向けに有償の研修サービスを2011年度下期より提供する予定です。これにより、お客様とともに課題に取り組み、ビジネスに貢献するシステムを確実に実現し、ビジネス改革のスピードアップに貢献します。

ビジネス環境の変化が激しい昨今、企業が競争優位に立つためには、どのようにビジネス改革を推進するかということがポイントとなっています。業務プロセスとシステムは、事業を支える基盤であり、変化に迅速に対応し、ビジネスに貢献できるものであることが必要です。要件定義はビジネスとシステムを橋渡しする工程であり、その重要性はますます高まってきています。

今回、当社は、現場での実践から得られたノウハウを集大成し、お客様の課題である「ビジネス改革のスピードアップと品質向上」に貢献する要件定義の手法を「Tri-shaping」として総合的に体系化し、プロジェクトに適用していきます。


要件定義の3つの切り口

  1. 「Tri-shaping」を構成する3つの要件定義手法

    要件定義においては、ビジネスに貢献する業務プロセスとシステムを実現するために、ステークホルダー(経営層、業務部門、システム部門)の要求を的確に要件定義に反映し、システム構築の過程で手戻りが発生しないように要件定義の品質を向上させること、などの課題があります。これらの課題を解決するために、当社は、以下の3つの手法を開発し、手順書や分析シートなどの15種類のツールにまとめ、「Tri-shaping」として体系化し、2011年4月よりプロジェクトへの適用を開始します。

    1. 要求の立案・決定:要求形成手法「shapingBR」(shaping Business Requirement、2009年10月に発表した「新要件定義手法」を拡張)

      ビジネス改革の目的や実現手段といった要求を見える化し精度を向上させるための手法です。この手法により、ビジネス改革の目的や手段が経営・業務にもたらす効果を明確にし、業務プロセスやシステムの構築における具体的な質の高い要求を決めます。今回の拡張では、これまでのお客様社内だけではなく、環境や社会貢献分野など社外のステークホルダーの要求も管理できるようにし、要求をステークホルダーから引き出すためのプロセスを強化しました。

    2. 業務プロセスの分析・設計:業務形成手法「shapingBP」(shaping Business Process)

      シンプルで柔軟な業務プロセスを設計するための手法です。複雑化・肥大化した業務プロセスを分析し、幹となる部分を見極め、それ以外の部分をシンプル化・スリム化することにより、予測できないビジネス環境の変化に備えるためのシンプルで柔軟な業務プロセスとシステムを設計します。

    3. 業務仕様の作成:業務仕様形成手法「shapingBS」(shaping Business Specification)

      業務ルールを正しく漏れなく洗い出し、現場の業務担当者やシステム開発者に曖昧さなく伝えるための手法です。これにより、業務部門とシステム開発者との間の誤解を減少させ、システム構築の手戻りを低減し、スピードアップを実現します。

  2. 「Tri-shaping」の特長
    1. 長年の実践から得られたノウハウを集大成

      年間2万件におよぶさまざまな業種・業務のお客様プロジェクトで得た経営・業務についての知識や、30年以上の要件定義の適用経験に基づいているため、15種類のツールには数多くのノウハウを記載しています。国際的に注目されているBABOK(注3)などの最先端の国際標準・業界標準も取り入れ、さらに、当社の実践知も兼ね備えた手法の集大成となっています。

    2. 独自の着眼点により、要件定義書の品質向上を実現

      「業務の本質を捉える方法」「業務プロセスのパターンを洗い出すための方法」など、当社独自の着眼点により、要件定義書の作成を支援します。これにより、要件定義において最も難しいとされる要件定義書の「内容品質(注4)」の向上を実現します。

    3. 要件定義のマネジメントプロセスの精度向上を実現

      要件定義を進めていく際、ステークホルダー間での合意形成や要件を絞込み、進捗状況を把握しながら適切なタイミングで対策を打つなど、プロセスを的確にコントロールし、マネジメントを行う必要があります。今回、ステークホルダーが十分な検討を経て、かつ、十分納得したうえで期限内に要件を洗練させ、確定させるマネジメント手法も盛り込みました。

当社グループでは、2007年から、要件定義の作業プロセスやドキュメントの標準化・普及活動、原則、売上3億円以上のプロジェクトにおける要件定義書診断の義務化、要件定義のスキルを持った人材の養成などに取り組んできました。今回、「Tri-shaping」の普及にあたり、まず社内において実際の現場でこの技術を適用できる人材の養成を行います。これにより、要件定義をお客様とともに行い、ビジネス環境の変化に柔軟に対応できる最適なシステムの構築を支援し、経営や業務へ貢献します。さらに、2011年度下期より、お客様向けに有償の研修サービスを提供することにより、お客様企業において要件定義のファシリテート(促進)を行う人材育成にも寄与します。

目標

適用プロジェクト数: 2011年度末までに100件

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 要件定義:
ビジネス構築、業務改善、システム構築の目的実現のために、今後のビジネスや業務プロセスやシステムが満たすべき・実現すべき条件を定義する行為。
注2 要求:
ビジネス構築、業務改善を遂行するうえで、ステークホルダーが、今後のビジネスや業務プロセスやシステムに求めていること。「要求」はステークホルダーの希望であり、実現は約束されていない。これに対し「要件」は投資対効果の検討や合意形成などの結果、実現することが意思決定されたもので、必ず実現しなければならない。要求は要件と異なり、必ずしも全てが実現されるとは限らない。
注3 BABOK:
Business Analysis Body of Knowledgeの略で、「ビジネス分析(Business Analysis)」のための「知識体系(Body of Knowledge)」。作成しているのは、非営利団体の「IIBA(International Institute of Business Analysis)」。IIBAは、国際的かつ中立的立場でビジネス分析の啓蒙を行う団体で、世界中に12,000名以上の会員と90を超える支部をもつ(2011年2月現在)。BABOKは、ビジネス分析のベストプラクティスを体系化したものであり、国内外で注目されている。
注4 内容品質:
要件の内容面での品質。たとえば、定義された要件が経営の目的にあっているか、経営の目的を達成するために必要な要件が全て洗い出されているか、開発工程に進めるほど要件が具体化され、かつ、実現可能であることが確認されているか、システムに実装すべき業務ルールが全て明確になっているかなどを指す。

本件に関するお問い合わせ

システム生産技術本部 SI生産革新統括部 情報化企画推進部
電話 03-6424-6316(直通)
メール sii-requirementtracer@ml.css.fujitsu.com


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