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PRESS RELEASE (サービス)

2010年9月30日
富士通株式会社

日本自動車研究所様がブレードサーバ「PRIMERGY」によるPCクラスタで、
自動車の衝突をシミュレーション

従来比最大30倍の計算速度を実現、10月1日に本稼働

財団法人 日本自動車研究所(所在地:茨城県つくば市、所長:小林 敏雄、以下、JARI)様は、自動車の衝突シミュレーション用計算機の新システムとして、当社のPCクラスタシステムを2010年10月1日から稼働開始します。

本システムは、当社ブレードサーバ「PRIMERGY(プライマジー) BX922 S2」によるPCクラスタシステムで構成されており,非線形動的構造解析ソフトウェア(注1)「LS-DYNA(エルエス・ダイナ)」などの計算を行います。

本システム導入により、従来のサーバと比較して計算速度が最大30倍となることで、より現実に近い緻密な人体モデルの開発,大規模な衝突のシミュレーションが可能となります。本システムにより開発した人体モデルやシミュレーション結果を自動車業界のお客様に提供し、より安全な車作りへ利用されます。

JARI様は今後、自動車関連企業と協力して、より精度の高い人体モデルを開発し、自動車の衝突安全デバイスの改良、開発に貢献し、安全なクルマ社会の形成を目標としています。

導入の背景

JARI様は世界をリードする先進的な研究に挑み、社会のニーズに応える成果を生み出し、積極的に情報を発信することで、クルマ社会に貢献することをビジョンとした試験研究機関です。研究グループの1つである衝突安全グループは,自動車が衝突した際の乗員や歩行者の安全性,傷害メカニズムなどを研究する部門です。コンピュータ上で再現した車両や人体を用いて行うシミュレーションと、実際の車両や人体ダミーなどを用いた実験を行い、自動車業界のお客様に広く研究結果を提供しています。

コンピュータシミュレーションは、実際の人体ダミーを用いた実験と比較して多くの情報が得られるため、今後の安全デバイスの改良、開発に活用されることが期待されています。そのため、JARI様においても、より精度の高い人体モデルの開発が求められており、大規模な自動車の衝突シミュレーションが可能となるコンピュータが必要とされていました。そこで高精度、かつ大規模な衝突シミュレーションに必要な環境を実現する当社のPCクラスタシステムが採用されました。

車の正面衝突シミュレーション

提供: 財団法人日本自動車研究所
(再生時間 約20秒・音声なし)

人体モデル開発例 膝の曲げ試験

提供: 財団法人日本自動車研究所
(再生時間 約14秒・音声なし)


導入したPCクラスタシステムについて

本システムは「インテル® Xeon®プロセッサーX5677(3.46GHz)」を搭載するブレードサーバ「PRIMERGY BX922 S2」15ノード(計30CPU、120コア)により構成されるLinuxクラスタシステムです。ノード間は高速インターコネクトである「InfiniBand™ QDR」(注2)で接続され、高性能な並列環境を実現しています。主に、非線形動的構造解析ソフトウェア「LS-DYNA」などを用いて、自動車の衝突事故シミュレーションを行います。

新システム導入により、従来の他社製SMP(注3)サーバによるシミュレーション計算機と比べ最大30倍の計算速度を実現しています。これにより単純な計算コストの削減はもちろん、従来までの車両単体のシミュレーションから乗員を乗せた車両でのシミュレーションまで可能となり、また、より人に近い人体モデルの作成が可能となります。

当社は、「LS-DYNA」に関する約20年の豊富な実績とノウハウを持っており、解析精度の検証、技術支援や業務改善へのコンサルティングなど、ハードウェアおよびOSを含めてトータルサポートを提供しています。当社のサポートにより、このたび、JARI様の従来システムから新システムへのスムーズな移行を実現しています。

当社は、今後もPCクラスタシステムをはじめとした幅広い製品ラインナップ、強力なサービス体制、および30年以上にわたるHPCサポートで蓄積したノウハウを通じて、高性能なテクニカルコンピューティングシステムを提供し、お客様の研究開発・解析業務をトータルでサポートしてまいります。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

  注1 非線形動的構造解析ソフトウェア:
衝突・衝撃解析、落下解析、塑性加工解析、貫通・亀裂・破壊解析などで用いられるソフトウェア。
  注2 InfiniBand QDR:
ネットワーク技術のひとつ。
  注3 SMP:
Symmetric Multiple Processor(対称型マルチプロセッサ)の略。複数のCPUが1つのメモリ空間を共有し、基本的に同等なものとして振る舞うことができるマルチプロセッシングの方法。 複数のCPUを使った同時処理が可能。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

テクニカルコンピューティング・ソリューション事業本部
TC統括営業部
電話: 03-6252-2554(直通)


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。