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PRESS RELEASE (技術)

2010年4月6日
株式会社富士通研究所
株式会社ジー・サーチ

英文特許の理解を助ける読解支援技術の開発に成功!

従来の3倍の効率で英文特許の理解が可能に

株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)は、英文特許の理解を助ける特許読解支援技術を開発し、株式会社ジー・サーチ(注2)(以下、ジー・サーチ)が提供している特許情報配信サービス「フォーカス」への適用を開始しました。

今回開発した技術は、英文特許を対象に、特許文で特徴的な表現を手がかりに文章の構造を解析し、解析した結果によって原文を項目ごとのブロックに分割してわかりやすく表示します。さらに、項目ごとのブロック単位で機械翻訳した結果を、日本語として自然な流れに並び替えて表示することができます。

これにより、原文と翻訳された日本語を項目ごとのブロック単位で速やかに対比することができるため、英語のスキルに関係なく幅広いユーザの英文特許読解を支援でき、従来と比較して、平均3倍の効率(注3)で英文特許の内容を理解することが可能です。

開発の背景

先端技術メーカーにとって特許戦略は会社の経営を左右する重要なものです。ビジネスがグローバル化するにつれて、自社技術の特許を外国出願して権利化する必要が増加するため、外国企業と特許紛争が起きる頻度も増加しています。このため、技術者たちが日常業務の中で国内・海外の特許調査を行うことは避けて通れない時代となっています。

英文特許に関しては、ジー・サーチなど数社から、英文特許を機械翻訳してユーザに配信するサービスが提供されていますが、機械翻訳の品質とユーザの要求する品質との間には依然ギャップが存在するため、特許分野での機械翻訳の利用はなかなか広がっていないのが現状です。

課題

従来、機械翻訳システムを特許文に対応させるために、専門用語の単語登録や、特許文特有の言い回しが解析できる文法の追加などが行なわれてきました。しかし、特許文は長文が多く文章が複雑であるため、チューニングで対応できる範囲には限界があります。

また、どれだけ機械翻訳の品質が向上しても、100%完全な翻訳は困難であるため、長い文章をすべて原文と見比べて翻訳結果が正しいかどうかを判断するために、多くの時間を費やさないといけません。したがって、できるだけ精度の高い翻訳を実現した上で、原文と翻訳文をある程度の項目ごとに容易に対比できるようにすることが課題となっていました。

開発した技術

富士通研究所は、上記の課題を解決するために、以下の2つの技術を開発し、幅広いユーザに対して英文特許の読解を支援できるようになりました。

  1. 特許定型文の雛形起用技術

    まず、英文特許の特徴的表現に着目した定型文の雛形を適用します。たとえば、カンマまでを一つのブロックとする、または、英文特許によく表現されるcomprisingという単語が出てきたらその前までを一つのブロックにする、などのルールに沿って文章を分割します。

    その後、雛形の適用で分割された英文の論理構造を解析します。たとえば、隣り合うブロックが、並列の意味なのか、階層関係の意味なのかを判断します。

    これにより、英文特許の文書を主題、構成要素、説明などの意味のあるブロック単位に分割し、英文のまま、ブロックの種類で色分けして表示することが可能になりました。

  2. 分割&組み立て翻訳技術

    分割された英文からブロックごとにそのブロックの分類に適した日本語文章を生成する技術を開発しました。たとえば、主題、構成要素なら名詞句として、説明なら文としてスタイルを変えて翻訳します。また、全体で自然な日本語になるように、語順への並べ変えを自動で行います。これにより、従来は英文特許全文を一度で機械翻訳していたところを、ブロックごとの短い文をそれぞれ翻訳することで、機械翻訳の大幅な品質向上を実現しました。

効果

英語のスキルを問わず幅広いユーザに対して英文特許の読解を支援できるようになりました。本技術により、原文と翻訳された日本語を見比べる時でも、項目ごとに簡単に比較できるため、従来と比較して、平均3倍の効率で英文特許の内容を理解することが可能です。

今後

今後は、特許調査の対象として注目を集めている中国語や韓国語への対応を進め、対象言語を広げていく予定です。

商標について

記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。

以上

注釈

  注1 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。
  注2 株式会社ジー・サーチ:
代表取締役社長 木ノ内芳則、本社 東京都港区。
  注3 平均3倍の効率:
ある和文特許について、構成要素が類似する英文特許の選別に要する時間を、従来の機械翻訳を使った時と本技術を使った時で比較。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
ソフトウェア&ソリューション研究所 言語・メディア研究部
電話: 044-754-2960
E-mail: pat-mt@ml.labs.fujitsu.com


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