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PRESS RELEASE (技術)

2010年3月31日
株式会社富士通研究所

業界最小の電力センサー内蔵のスマート電源タップを開発

コンセント単位の電力を“見える”化し、オフィスの消費電力を20%削減

株式会社富士通研究所(注1)は、業界最小クラスの電力センサー内蔵のスマート電源タップ(注2)を開発しました。このタップを利用することで、従来は把握できていなかったオフィスでのコンセント単位の消費電力を見える化できます。さらに、利用者の電力消費の状況をスケジューラと連動させることにより、パソコンの消し忘れなどの不要電力を明らかにすることができ、利用者の省エネ意識を改革できます。

本タップを当社内の一部オフィスで利用してみたところ、消費電力を約20%削減することに成功(注3)しました。

開発の背景

2010年4月施行の改正省エネ法では、規制の対象範囲が拡大し、これまでの工場や事業所単位に加えて、企業全体でのエネルギー使用量が基準を超える場合にも管理が義務付けられるなど、省エネルギー化がますます重要になってきます。省エネを推進するためには、個人単位での消費電力の見える化や省エネへの意識改革などによって、個人レベルでの消費電力削減を進める必要があります。

課題

個人レベルでの消費電力削減を進めるためには、オフィスにおける個人ごとの業務に応じたエネルギーの使い方を把握する必要がありますが、それには以下の課題があります。

  1. 電力センサーの小型化

    個人の業務に応じたエネルギーの使い方を把握するには、コンセント単位での消費電力を継続的に測定する必要があります。従来のコンセント単位で消費電力を収集できるテーブルタップタイプの電力センサーは、サーバルームへの設置を想定しており、外形サイズを考慮せずに設計されていました。よって、サイズが大きすぎるためオフィスでの適用には不向きでした。

  2. 安全で容易な測定方式

    コンセント単位の電力消費をデジタル表示するプラグタイプのセンサーは、ネットワークを通じてデータを収集する機能を持たず、表示データを手作業で集める必要がありました。また、AC100Vに抵抗を挿入して両端の電圧差から電流を測定する方式のため、センサー回路とAC100V電源が直結されており、雷により数百ボルトの高電圧がAC100V電源に誘起されると、センサー回路が壊れやすいという欠点もありました。

  3. 消費電力の見える化

    把握したコンセント単位の消費電力から利用者の意識を改革するには、利用者が不要エネルギーを把握できるように、消費電力を人の業務・行動と絡めて“見える化”する必要がありました。

開発した技術

上記の課題を解決するために、以下の2つの技術を開発しました。これらの技術を組み合わせることで、オフィスでの業務と絡めた電力消費を把握できます。さらに、不要電力を見える化することによって利用者に促し、省エネルギー化を推進できます。

  1. 業界最小クラスの電力センサー内蔵のスマート電源タップ

    オフィスでの利用を考慮に入れ、コンセントごとの消費電力を測定してデータを収集できる、小型で安全なテーブルタップタイプの電力センサーを開発しました。


    図1. 業界最小クラスの電力センサー内蔵タップ
    1. 非接触で消費電力を測定できる組み込み型電力センサー

      安全性に配慮して、AC100Vの電源に非接触で電流を測定できる専用電流センサーを開発しました(図2)。本電流センサーは、磁気センサーであるホール素子と、磁界をホール素子に収束するフェライトにて構成し、フェライトの設計を最適化することでコンセントごとに1W単位で最大2.0KWまでの電力測定を実現しました。

    2. 小型外形サイズでコンセントごとに電力測定を可能とする電極構造

      センサー装着部はコンセントから電極を延伸した構成にすることで、隣り合うコンセントでの電力消費による影響を最小限にしました(図3)。これにより、4つのコンセントの個別電力を業界最小サイズの小型テーブルタップサイズで測定できるようになり、オフィスのレイアウトを変更することなく、さまざまな場所でのきめ細かい消費電力の把握が可能になります。


    図2. 新開発した電流センサー図3. センサー装着部の電極構造
  2. 業務と絡めた消費電力の見える化技術

    スケジューラと連携して利用者の業務と消費電力を関連付けて表示したり、所属部門内の他のメンバーの消費電力と比較表示することで、無駄な電力をわかりやすく見える化します。これにより、離席時の電気スタンドやディスプレイの電源オフ、消費電力が多いデスクトップPC利用から消費電力の少ないノートPC利用へ移行などを促すことができるため、個人単位での省エネルギー化が促進できます。


    図4. 消費電力見える化技術

効果

今回開発した電力センサー内蔵タップと消費電力の見える化技術により、オフィスの個人個人が不要な電力を削減することを推進できます。これにより、業務の生産性を損なうことなく、オフィスの省エネルギー化が実現できます、当社の一部オフィスで本タップを試行したケースでは、従来に比べ約20%の消費電力を削減することに成功しました。

今後

今後は、社内・社外での実証実験を通じて、本技術の機能や省エネルギー効果の検証を進める予定です。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

  注1 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 村野和雄、本社 神奈川県川崎市。
  注2 業界最小クラスの電力センサー内蔵のスマート電源タップ:
コンセント1口あたりの比較。
  注3 消費電力を約20%削減することに成功:
富士通研究所内の一部グループにおける試行実験の結果。適用部署により効果は大きく変動する可能性があります。

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
ヒューマンセントリックコンピューティング研究所 IPサービスシステム研究部
電話: 044-754-2667(直通)
E-mail: fgi-staff@ml.labs.fujitsu.com


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