PRESS RELEASE (技術)
2008-0124
2008年6月10日
株式会社富士通研究所
~高いセキュリティを確保しながら情報共有が可能に~
株式会社富士通研究所(注1)はこのほど、紙や電子データ内の機密情報を部分的に暗号化し、許可された人だけが特定の暗号化された領域を閲覧することができる技術の開発に、世界で初めて成功しました。本技術により、印刷物や電子データを配布する際に、個人情報など漏えいを防ぐ必要のある部分のみを暗号化することが可能になり、ドキュメントのセキュリティが大幅に向上し、安心して組織内外での情報共有を行うことができます。
本技術のソフトウェア製品への適用事例は、6月13日に目黒雅叙園(東京都目黒区)、7月9日にホテル阪急インターナショナル(大阪府大阪市)にて、株式会社PFU(以下、PFU)(注2)が開催する「PFU ITフェア」(注3)にてご覧いただけます。
近年、個人情報漏えい事件が多発し、2005年4月には個人情報保護法が施行されるなど、特に個人情報を多く抱える企業や自治体には大きな課題となっており、情報の持ち出しや配布を厳しく制限するなどセキュリティ確保が行われてきました。一方、組織内では、電子メールやFax、グループウェアなどを活用して、蓄積されたノウハウや情報を共有しています。
そこで、紙媒体および電子データの双方において、セキュリティ確保と利便性の高い情報共有という相反する問題に対処することが、今後のセキュリティ技術に求められています。
高いセキュリティを確保しながら、利便性の高い情報共有を実現するためには、以下の課題がありました。
漏えい経路別に見ると、特に紙媒体からの情報漏えいは深刻で、全体の40%を占めています(注4)が、従来の暗号化技術は印刷後の復号を想定したものではないため、紙媒体の情報の暗号化・復号は不可能でした。
ドキュメント全体を暗号化し、閲覧者を限定する方式は、特に紙媒体において著しく情報共有を阻害します。ドキュメント内の必要な部分のみを暗号化し、特定の人のみが閲覧できるように閲覧権限を制御する技術が必要です。
上記課題を解決するため、紙媒体と電子データの双方において、ドキュメントの必要な部分のみを暗号化し、権限のある人のみが閲覧できる技術を、世界で初めて開発しました。(図1)
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本技術の特長は以下のとおりです。
今回、画像スクランブル(注5)をベースに、セキュリティの強化と画質劣化後も復号を可能にする画像変換を加えた暗号化技術を開発しました。(図2)
これにより、高いセキュリティを確保したまま印刷や非可逆圧縮(注6)後も復号可能となり、世界で初めて紙媒体の情報を暗号化・復号することに成功しました。この技術は、ドキュメント全体だけでなく、部分的に暗号化することも可能です。
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部分暗号化された領域、復号鍵、権限をセットにして対応させることで、権限によってドキュメント内の閲覧可能領域を変えることができる技術を世界で初めて開発しました。これにより、セキュリティを確保しながら、さまざまな権限の人が1つのドキュメントを共有することが可能になります。
また、テンプレートを用いた暗号化と閲覧権限設定も可能なため、面倒な暗号化作業を自動化することも可能です。
紙媒体(印刷物)・電子データを問わず、暗号化・復号が可能です。また、1つのドキュメント内に公開が可能な情報と不可能な情報が混在しても必要な部分だけ暗号化し、領域ごとに閲覧権限の制御をすることで、セキュリティを確保しながら積極的な情報共有が可能となります。
さらに紙を暗号化できるため、情報漏えいの経路としても最も多いとされる、紙媒体からの情報漏洩を防ぐことができます。
本技術により、オフィス、病院、官公庁をはじめとして情報漏えいに対処しながら情報の共有化を進める必要のある組織や、複数の企業への発注依頼書や障害管理表の共有など、外部との情報共有が必要な組織において、セキュリティの確保とコスト削減が可能になります。
株式会社PFUは本技術を適用した製品、ソリューションを提供していく予定です(2008年度目標)。
以上
[技術に関するお問い合わせ]
株式会社富士通研究所
画像・バイオメトリクス研究センター 画像システム研究部
電話 : 044-754-2639 (直通)
E-mail : pet_press@ml.labs.fujitsu.com
[製品化に関するお問い合わせ]
株式会社PFU
ドキュメントソフトウェア事業部
電話 : 076-283-8698 (直通)
E-mail : webmaster@pfu.fujitsu.com
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