PRESS RELEASE (システムプラットフォーム)
2008-0036
2008年2月19日
富士通株式会社
~国内最高水準の性能を誇る大規模並列計算機システムを納入~
当社はこのほど、独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(理事長:立川 敬二、本社:東京都調布市、以下、JAXA)様より、当社の次世代テクニカルコンピューティングサーバ「FX1(エフエックスワン)」を中核とする新スーパーコンピュータシステムを受注しました。
本システムは、JAXA様の調布事業所において現在稼働中の当社スーパーコンピュータ「PRIMEPOWER HPC2500」で構成される「数値シミュレータⅢ」の後継として導入されるもので、システムの中核となる大規模並列計算機システムは、3,392ノードの「FX1」から構成され、理論ピーク性能135テラフロップス(注1)(以下、TFLOPS)を実現する大規模システムです。
JAXA様では、ロケットをはじめとする宇宙輸送システムや航空機の研究開発などにおいて先進的な数値シミュレーション技術の活用を積極的に進めており、この新スーパーコンピュータシステムは、これら研究開発の中心的計算エンジンの役割を果たしつつ、JAXA様の今後の研究開発活動推進の一翼を担って行くことを期待されています。
なお、本システムは、2008年4月より現行システムからの移行を開始し、2009年4月より本格稼働する予定です。
将来型宇宙輸送システムの研究における 数値解析の様子(資料提供:JAXA) |
JAXA様は、1987年より、航空宇宙分野における計算機を用いた数値シミュレーション技術の発展と普及を目標に「数値シミュレータ計画」を推進しており、2002年度より「PRIMEPOWER HPC2500」を中核としたスーパーコンピュータシステム「数値シミュレータⅢ(理論ピーク性能9.6TFLOPS、総メモリ容量3.6テラバイト)」を利用していましたが、開発現場における計算処理の大型化、多様化への対応として新システムへの刷新を決定したものです。
JAXA様では、「JAXA長期ビジョン」(注2)において、世界トップレベルの性能を持つ次期基幹ロケット、再使用可能な将来型の宇宙輸送システム、国産航空機の開発に関わる研究や、月・惑星探査の実現などを掲げており、今回導入する新スーパーコンピュータシステムは、概念検討や開発段階における事前評価や設計支援、地上では再現不可能な宇宙環境シミュレーションなどへの利用を通じて、これらのプロジェクトの推進に寄与します。
新スーパーコンピュータシステムの中核となる大規模並列計算機システムは、3,392ノードの「FX1」から構成され、理論ピーク性能は現行システムの約15倍となる135TFLOPS、総メモリ容量は約30倍となる100テラバイト、総ストレージ容量は約16倍となる11ペタバイトの大規模システムです。
また、このシステムの他に、大規模メモリ空間を利用した数値シミュレーションのためのベクトル計算機やスカラSMP計算機など複数のサブシステムを設けることで、利用目的に応じた最適かつ効率的な計算環境を実現します。
本システムにより、「JAXA長期ビジョン」に沿った各種研究開発活動と数値シミュレーション技術の発展・普及に貢献してまいります。
今回導入するシステムは、宇宙3機関統合後、JAXAとして調達する初めてのスパコンシステムです。航空分野での利用をこれまで同様に推進するとともに、ロケットエンジン解析、ロケットプルーム音響解析や宇宙機の概念設計への適用を通じて、宇宙開発・宇宙科学や惑星探査分野での本格利用と開発への実質的貢献を目指したいと考えています。
今回採用された「FX1」は、マルチコアCPUの性能を最大限に引き出す新しいアーキテクチャーを採用しています。自社開発高性能クアッドコアCPU「SPARC64™Ⅶ」とその性能を最大限に引き出すための高性能コンパイラ、バランスの取れた高いメモリバンド幅を実現する自社開発のチップセットにより、既存のマルチコアCPUのシステムでは実現困難な非常に高い実行効率の計算を可能にします。また、通信経路上で通信データに対して種々の演算を施すことが可能な高機能インターコネクト(注3)を活用することで、並列アプリケーションのスケーラビリティを飛躍的に向上させるとともに、長年のテクニカルコンピューティング分野での経験で培われた並列処理ソフトウェア「Parallelnavi(パラレルナビ)」が提供するさまざまな運用機能・豊富な開発環境ツール群により、高性能並列計算環境を容易に利用することを実現します。
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
PDF 次世代テクニカルコンピューティングサーバ「FX1」の特長・仕様(112KB)
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