PRESS RELEASE (技術)
2007-0154
2007年7月20日
株式会社富士通研究所
~紙面輪郭がなくても、文字の並び方向から歪み補正を実現~
昨今、コンパクトデジタルカメラやカメラ付き携帯電話の普及にともない、デジタルカメラはスナップや風景写真だけでなく、会議室中のホワイトボードの板書や電車の時刻表など、日常におけるさまざまな情報の記録にも活用されるようになりました。しかし、デジタルカメラで文書を撮影する場合、正面から撮影できないと画像に歪みが生じ、文書が読みづらくなってしまいます。
従来の歪み補正技術では、文書全体を撮影し、いびつな四角形として写っている紙面輪郭を長方形に補正することで、画像の歪みを補正していました。しかし、この方式では、紙面輪郭を含めて文書の全体を撮影する必要があり、必要な部分のみを手軽に撮影することができないという問題がありました。
今回開発した歪み補正技術では、いびつな四角形の紙面輪郭を長方形に補正する従来方法に加え、文書内に存在する文字の並びや下線、表などを解析し、それらの文字や罫線などが平行に整列するように画像補正を行います。
これまでの技術では、紙面輪郭から歪んでいる方向とその角度を示す水平および垂直消失点(注5)を求め、消失点に向かう直線を平行にすることで歪み補正していました(図1)。
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今回開発した技術では、文書中に整列して書かれている文字や罫線の並びや方向から、消失点の位置を推定します(図2)。垂直方向の消失点の検出には、文字の並びだけでなく漢字に含まれる垂直ストローク方向情報も使用しており、紙面輪郭がなくても高精度な検出を可能にしています。
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さらに今回、デジタルカメラなどの組込み機器への搭載に向け、高速化も実現しました。歪みの補正具合を粗調整から微調整へ段階的に計算し、十分な補正精度が得られた時点で、補正処理を終了します。必要最小限の演算が選択されるため、処理時間が短縮されます。また、高速・低精度と低速・高精度の2種類のアルゴリズムを組合せ、高速で高精度な補正を実現しています。これにより、一般的なパソコンで、メガピクセル画像を0.1秒程度で補正処理を行うことが可能です(Pentium4 2.6ギガヘルツで、100万画素の画像を処理した場合)。
撮影画像に紙面輪郭が写っていない場合でも、被写体の歪み補正を行うことが可能です。そのため、掲示物や紙文書を撮影する際に、紙面輪郭を気にする必要がなく、必要な箇所を拡大して撮影できます。
さらに、高速な画像補正処理性能を活かし、組込み機器にも対応できます。
本技術は、コンパクトデジタルカメラなどの組込み機器への搭載を目指します。
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
株式会社富士通研究所 ソフトウェア&ソリューション研究所 言語・メディア研究部
電話: 044-754-2678(直通)
E-mail: lm-pr@ml.labs.fujitsu.com
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